第9章 関係詞

前置詞+関係代名詞
─ フォーマルな英語と複雑な修飾を攻略する

"in which" "to whom" ── この形を見たことはあっても、なぜ前置詞が前に出るのか疑問に思ったことはありませんか。
さらに "the man who I thought was..." のような連鎖関係代名詞節や、
as / than / but の関係代名詞用法まで、入試頻出の発展的内容をまとめて攻略します。

1前置詞+関係代名詞 ─ フォーマルさを生む語順

関係代名詞が前置詞の目的語にあたる場合、前置詞の位置には2つの選択肢があります。 前置詞を関係代名詞の前に送り込むと、文がフォーマルな印象になります。

📝 2つの語順を比較
Yokohama is the city which I was born in.
横浜は私が生まれた都市だ。(前置詞が文末 ← 口語的)
Yokohama is the city in which I was born.
横浜は私が生まれた都市だ。(前置詞が関係詞の前 ← フォーマル)
🧠 ネイティブの感覚:前置詞を前に出す = 「きちんと整える」意識

前置詞が文末でフラフラ残っている文よりも、前置詞を関係代名詞の前に送り込んで文の形を整えるほうがフォーマルに感じられます

この「ひと手間かけて整える」という意識が、書き言葉やスピーチなどの改まった場面で好まれる理由です。

なお、前置詞の後ろなので、人の場合は whom が使われることにも注意しましょう。

📏 文法ルール:前置詞+関係代名詞

前置詞 + which(先行詞が人以外)

前置詞 + whom(先行詞が人)

※ 前置詞の直後に that は置けない。× in that, × to that
※ 前置詞の直後に who は置けない。× to who(← whom を使う)
📝 前置詞+関係代名詞の例文
My father is the person to whom I handed my passport.
父は私がパスポートを手渡した人物だ。
This camera, for which I paid 500 dollars, doesn't work!
このカメラ、500ドル払ったのに、動きません!
💡 ここが本質:前置詞+関係代名詞 = 関係副詞と同じ意味

in which = where、on which = when と、前置詞+which は関係副詞と同じ意味を表すことがあります。

Yokohama is the city in which I was born. = ... the city where I was born.

ただし、前置詞+which のほうがよりフォーマルで正確な表現とされます。

2前置詞を動かせない場合

すべての前置詞を関係詞の前に送り込めるわけではありません。 句動詞(動詞+前置詞でひとまとまりの意味を成す表現)の前置詞は動かすことができません。

⚠️ 落とし穴:句動詞の前置詞は分離不可

look for(探す)、be fond of(好き)、take advantage of(利用する)など、動詞と前置詞がセットで1つの意味を成す句動詞の前置詞は、関係詞の前に出すことができません。

✕ 誤:This is the file for which I was looking.

○ 正:This is the file which I was looking for.

look for は「探す」でひとまとまりの意味なので、for だけを前に出すと意味がわかりづらくなります。

3連鎖関係代名詞節 ─ I think が割り込む形

関係代名詞の直後に I think や I believe などの「判断を示す表現」が入り込んだように見える形を連鎖関係代名詞節と呼びます。 入試の関係詞の問題としては最頻出項目のひとつです。

📏 文法ルール:連鎖関係代名詞節

先行詞 + who / which / that + (S + V) + ...

関係代名詞の直後に I think / I believe / I suppose / she said などの「S + V」が割り込む形。

※ 割り込んだ I think を取り除けば、元の関係代名詞の構造が見える。
※ 格は割り込みを取り除いた後の関係代名詞の役割で判断する(主格なら who)。
📝 連鎖関係代名詞節の例文
There was no objection from the man who I thought was sure to protest.
必ず異議を唱えるだろうと思った男性からは、何の反対もなかった。
I'll always do what I think is best for everybody.
私はみんなのために最善だと思うことをいつでもするつもりだ。
🧠 ネイティブの感覚:I think は「私の意見では」の挿入

連鎖関係代名詞節は、関係代名詞の直後に「判断する主体を示すSV」を加えた形と理解できます。

the girl who is honest「正直者のその少女」

the girl who I think is honest「正直者だと私が思うその少女」

I think を加えることで「私の意見では」というニュアンスが出ます。ニュース英語などで判断の責任の所在を明らかにするために多用されます。

⚠️ 落とし穴:whom を選んでしまうミス

連鎖関係代名詞節では、I thought の目的語が欠けているように見えるため、目的格の whom を選んでしまう受験生が非常に多いです。

✕ 誤:the man whom I thought was sure to protest.

○ 正:the man who I thought was sure to protest.

I thought を取り除くと "the man who ___ was sure to protest" となり、空所は was の主語。だから主格の who が正解です。

4関係代名詞としての as / than / but

as / than / but はふだん接続詞や前置詞として使われますが、特定の条件下で関係代名詞として使われることがあります。 入試でたまに出題されるので、パターンを押さえておきましょう。

関係代名詞 as

📏 文法ルール:関係代名詞 as

such A as ...「...するような A」

the same A as ...「...するのと同じ A」

as is (often) the case with A「A にはよくあることだが」

※ 非制限用法の as は、先行する文(または後続する文)の内容全体を先行詞とすることがある。
📝 関係代名詞 as / than / but の例文
Such a plan as you proposed would never succeed.
あなたが提案したような計画では決してうまくいかないだろう。
As is often the case with Naomi, she got up very early.
ナオミにはいつものことだが、彼女はとても早く起きた。
Don't spend more money than is needed.
必要以上にお金を使ってはいけない。(than = 主格の関係代名詞)
There is no one but has weaknesses.
弱点のない人はいない。(but = that ... not に相当、二重否定)
🔬 ワンポイント:but の関係代名詞用法は古い表現

関係代名詞 but は「否定文 + but = 二重否定」の形でかなり古風な表現です。入試では稀に出題されますが、実際に使うことはほとんどありません。

There is no rule but has some exceptions. = どんなルールにも例外はある。

5前置詞+関係代名詞+to不定詞

前置詞 + 関係代名詞 + to不定詞」が直前の名詞を修飾する形があります。 近年の入試の整序問題でよく問われるパターンです。

📝 前置詞+関係代名詞+to不定詞
Derek found an ideal environment in which to learn foreign languages.
デレクは外国語を習得するのに理想的な環境を見つけた。
I am looking for a partner with whom to work.
私は一緒に働くパートナーを探している。
📏 文法ルール:前置詞+関係代名詞+to不定詞

名詞 + 前置詞 + which / whom + to不定詞

「前置詞+関係代名詞」のセットが必ず to不定詞の前に来る。

※ この形では前置詞を後置することはできない。
※ × an environment which to learn foreign languages in(不可)

6つながりマップ

前置詞+関係代名詞を学んだら、次のトピックへ進みましょう。

  • → G-9-5 非制限用法:カンマ + which の形は前置詞 + which と組み合わせて使われることが多い。
  • → G-9-2 関係副詞:in which = where、on which = when のように、前置詞+関係代名詞は関係副詞と書き換えが可能。
  • → G-9-1 関係代名詞の基本:前置詞の後ろでは whom が使われることを確認。that は前置詞の直後には置けない。

📋まとめ

  • 前置詞+関係代名詞:前置詞を関係詞の前に送り込むとフォーマルな印象に
  • 前置詞の直後には which / whom のみ。that / who は不可
  • 句動詞(look for, be fond of 等)の前置詞は分離できない
  • 連鎖関係代名詞節:who I think / which I believe 等の割り込み。格は割り込みを除いて判断
  • 関係代名詞 as(such A as / as is the case)・thanbut の特殊用法
  • 前置詞+関係代名詞+to不定詞:整序問題頻出のパターン

確認テスト

Q1. 前置詞+関係代名詞の形がフォーマルに感じられる理由を説明してください。

▶ クリックして解答を表示前置詞が文末でフラフラ残る形よりも、前置詞を関係代名詞の前に送り込んで文の形を整える「ひと手間」がフォーマルな感触を与えるから。

Q2. 連鎖関係代名詞節 "the man who I thought was honest" で who が正解になる理由を説明してください。

▶ クリックして解答を表示I thought を取り除くと "the man who ___ was honest" となり、空所は was の主語にあたる。主格なので who が正解。I thought の目的語が欠けているように見えて whom を選ぶのは典型的なミス。

Q3. なぜ "for which I was looking" は不自然なのですか。

▶ クリックして解答を表示look for は「探す」という意味の句動詞であり、動詞と前置詞がセットで1つの意味を成している。句動詞の前置詞を分離して関係詞の前に送ると意味が壊れるため不自然。

Q4. "such A as ..." の as はどんな働きをしていますか。

▶ クリックして解答を表示関係代名詞としての働き。先行詞に such がある場合に用いられ、「...するような A」の意味を表す。as は節内で主語または目的語として機能する。

9入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

9-4-1 A 基礎 前置詞+関係代名詞 空所補充

Yokohama is the city (  ) I was born.

  • ① which
  • ② in which
  • ③ in that
  • ④ at where
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

② in which

解説

判断のポイント:"I was born" だけでは意味が不完全で、「...で生まれた」の「で」にあたる前置詞 in が必要です。

in which = where で、先行詞 the city が後続節で場所を示す副詞として働いています。③ in that は前置詞の直後に that を置けないので不可。④ at where は前置詞+関係副詞の組み合わせで不可です。

「横浜は私が生まれた都市だ」

B 発展レベル

9-4-2 B 発展 連鎖関係代名詞節 空所補充

The position was filled by a man (  ) she thought was thoroughly competent.

  • ① of which
  • ② who
  • ③ whose
  • ④ whom
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解答

② who

解説

判断のポイント:連鎖関係代名詞節の問題です。she thought を取り除くと "a man who ___ was thoroughly competent" となり、空所は was の主語にあたります。

主格の関係代名詞なので ② who が正解です。she thought の目的語が欠けているように見えるため ④ whom を選ぶのは典型的なミスです。

「その地位は、彼女が申し分なく有能だと考えていた男性によって占められた」

得点の差がつくポイント
  • 割り込みの SV(she thought)を取り除いて関係代名詞の格を判断できるかが鍵
  • whom を選ぶ典型的ミスに注意

C 応用レベル

9-4-3 C 応用 関係代名詞 as 整序

次の日本語を英語にしなさい。語句を正しく並べ替えること。

「こうした事柄の通例として、そのうわさはたちまち町中に広がった。」

( these / case / the / affairs / is / as / with ), the rumor swept through the town.

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解答

As is the case with these affairs

解説

判断のポイント:「...にはよくあることだが」を表す慣用表現 as is (often) the case with A を使います。

この as は関係代名詞で、後続する文の内容(うわさが広がったこと)を先行詞としています。非制限用法の as は先行詞となる文よりも前に置かれることが多いのが特徴です。

得点の差がつくポイント
  • as is the case with A の慣用表現を知っているかが前提
  • as が関係代名詞として節内で主語の働きをしている