第9章 関係詞
関係詞の非制限用法
─ カンマで「追加情報」をねじ込む技術
"My brother Jeff, who is a chef, lives in Newcastle." ── このカンマつきの関係詞は、ふだんのものとは意味が異なります。
先行詞を「絞り込む」のではなく、「追加情報を差し込む」使い方。
この違いを理解することが、正確な英文読解と入試突破の鍵です。
1制限用法と非制限用法 ─ カンマ1つで意味が変わる
関係詞にはカンマの有無で大きく意味が異なる2つの使い方があります。
これまで学んできたカンマなしの形は制限用法、カンマつきの形は非制限用法と呼ばれます。
💡 ここが本質:制限用法 = 絞り込み、非制限用法 = 追加情報
制限用法(カンマなし):先行詞が何を指しているかを絞り込むために使う。
非制限用法(カンマあり):先行詞についての追加情報を差し込むために使う。
制限用法は「どの人・モノか」を特定する役割。非制限用法は「ちなみに」と補足する役割です。
📝 カンマの有無で意味が変わる
She has a son who is a college student.
彼女には大学生の息子が1人いる。(制限用法 → ほかにも息子がいることを暗示)
She has a son, who is a college student.
彼女には息子が1人いて、大学生です。(非制限用法 → 息子は1人だけ)
🧠 ネイティブの感覚:カンマ = 「ねじ込み」のサイン
英語では文のある要素に追加情報を加えるとき、それが「ねじ込まれた」ことを示すためにカンマでくくることが非常に頻繁にあります。
"Barbara Chang, the hotel manager, greeted us personally."(ホテルマネージャーであるバーバラ・チャンが直々に挨拶にきた)── このカンマと同じニュアンスです。
発音の際もカンマの前後を空けて読み、「ねじ込んでいること」を明示します。
🔬 ワンポイント:固有名詞には非制限用法を使う
Jeff、Tokyo など固有名詞はそれ自体で1人・1つに特定できるため、絞り込む必要がありません。固有名詞に追加説明を行う際には非制限用法(カンマつき)が必須です。
2非制限用法で使える関係詞
関係詞のほとんどは非制限用法で使えますが、使えないものもあります。
ここをしっかり押さえることが入試突破のポイントです。
📏 文法ルール:非制限用法で使える / 使えない関係詞
| 使える |
使えない |
| who / whom / whose / which / where / when |
that / why / how / 関係詞の省略 |
※ that は先行詞を節に「導く」だけの働きで、先行詞をしっかり受けることができないため非制限用法では不可。
※ 関係詞の省略も不可。カンマで文が断絶されるため、ガッチリと先行詞を受ける関係詞が必要。
📝 非制限用法のさまざまな関係詞
Jim, who speaks French, works as a tourist guide.
ジムは、フランス語を話すのですが、旅行ガイドをしています。
Amy, whose last name is Tanaka, was born in Canada.
エイミーは、姓は田中ですが、カナダで生まれました。
I'm going to spend two weeks in New York, where my brother lives.
ニューヨークに2週間滞在する予定です。そこには兄が住んでいます。
⚠️ 落とし穴:非制限用法で that を使ってしまう
非制限用法では that は使えません。これは入試で非常に頻出のポイントです。
✕ 誤:We stayed at the Grand Hotel, that some friends recommended to us.
○ 正:We stayed at the Grand Hotel, which some friends recommended to us.
3前文の内容を受ける which ─ 最重要パターン
非制限用法の which には、先行する文の内容全体(または一部)を先行詞として受ける、非常に重要な用法があります。
これは入試・読解で最も頻出のパターンのひとつです。
📝 前文の内容を受ける which
I had to play the piano in front of the whole school, which made me nervous.
全校生徒の前でピアノを演奏しなくてはなりませんでしたが、ドキドキでした。(which = 前文全体の内容)
My dad is cooking dinner, which doesn't happen very often.
父が夕食を作っているが、それはそんなによくあることではない。(which = 前文全体の内容)
She tried to swim across the river, which was impossible.
彼女は泳いでその川を渡ろうとしたが、それは不可能だった。(which = 前文の一部 "to swim across the river")
📏 文法ルール:前文受けの which
非制限用法の which は、先行する文の内容全体または一部を先行詞として受けることができる。
この which は主格・目的格のいずれでも使われ、「それ」「そのこと」と訳すとわかりやすい。
※ この用法は非制限用法(カンマつき)の which にのみ可能。制限用法の which では不可。
4数量表現 + of which / of whom
非制限用法の which / whom は、数量を表す語と組み合わせて使われることがあります。
「A of which / whom」の形で、「そのうちのA」という意味を表します。
📝 数量表現 + of which / of whom
We looked at two apartments, both of which were excellent.
2軒のアパートを見ましたが、その両方ともがすばらしいものでした。
She had three sons, all of whom became doctors.
彼女には3人の息子がいたが、全員が医者になった。
He lent me two books, neither of which I have read.
彼は私に本を2冊貸してくれたが、私はそのどちらも読んでいない。
🔬 ワンポイント:よく使われる数量表現
先行詞が「人以外」の場合:both of which / some of which / half of which / none of which / neither of which
先行詞が「人」の場合:all of whom / some of whom / none of whom / many of whom
5関係形容詞 which ─ which + 名詞の非制限用法
非制限用法の which が直後に名詞を伴い、「which + 名詞」の形になることがあります。
この which は名詞を修飾しているので関係形容詞と呼ばれます。
前置詞を伴って「前置詞 + which + 名詞」の形になることが多いのが特徴です。
📝 関係形容詞 which の例文
The bus may be late, in which case you should take a taxi.
バスが遅れるかもしれないが、その場合はタクシーを拾うべきだ。(in which case = in that case)
Please come at noon, by which time I'll be back in the office.
正午にいらしてください。そのころには私もオフィスに戻っていますので。(by which time = by that time)
I was told to take a bath, which advice I followed.
風呂に入るように言われ、私はその勧めに従った。(which advice = that advice)
6つながりマップ
非制限用法を学んだら、次のトピックへ進みましょう。
- → G-9-6 複合関係詞:whoever / whatever / whichever / wherever / whenever / however を学ぶ。
- → G-9-4 前置詞+関係代名詞:非制限用法では前置詞+which の組み合わせが頻繁に使われる。
- → G-9-1 関係代名詞の基本:制限用法と非制限用法の違いを、基本に立ち返って確認する。
📋まとめ
- 制限用法(カンマなし)= 先行詞を絞り込む / 非制限用法(カンマあり)= 追加情報を差し込む
- 非制限用法では that は使えない。関係詞の省略も不可
- 非制限用法の which は前文の内容全体・一部を先行詞にできる(最頻出)
- 数量表現 + of which / of whom:both of which / all of whom など
- 関係形容詞 which:in which case / by which time のように which + 名詞の形
- 固有名詞に説明を加える場合は非制限用法が必須
確認テスト
Q1. 制限用法と非制限用法の違いを一言で説明してください。
▶ クリックして解答を表示制限用法は先行詞が何を指すかを「絞り込む」使い方。非制限用法は先行詞についての「追加情報を差し込む」使い方。カンマの有無で区別される。
Q2. 非制限用法で that が使えない理由を説明してください。
▶ クリックして解答を表示that は先行詞を節に「導く」だけの働きで、先行詞をしっかり受けることができない。カンマで文が一度断絶されるため、続けるにはガッチリと先行詞を受ける関係詞(who / which 等)が必要だから。
Q3. "He got the job, which surprised everyone." の which は何を先行詞としていますか。
▶ クリックして解答を表示前文の内容全体("He got the job" = 彼がその仕事を得たこと)を先行詞としている。「彼はその仕事を得たが、それはみんなを驚かせた」の意味。
Q4. "She has a son who is a doctor." と "She has a son, who is a doctor." の意味の違いは何ですか。
▶ クリックして解答を表示前者(制限用法)は「医者の息子が1人いる」で、他にも息子がいることを暗示する。後者(非制限用法)は「息子が1人いて、その息子が医者だ」で、息子は1人だけであることを意味する。
9入試問題演習
この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。
A 基礎レベル
As a result of working at the newspaper, I met my future husband, ( ) was also working there.
- ① when
- ② which
- ③ that
- ④ who
▶ クリックして解答・解説を表示
解説
判断のポイント:空所の前のカンマに注目。非制限用法です。先行詞 my future husband は「人」で、空所の後の was の主語が欠けているので、主格の関係代名詞 who を入れます。
非制限用法では that は使えないので ③ that は不可です。
「その新聞社で働いた結果として、私は未来の夫に出会ったが、彼もやはりそこで働いていた」
B 発展レベル
We got stuck in a traffic jam, ( ) made us forty minutes late for the meeting.
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解説
判断のポイント:カンマの後で、前文全体の内容(交通渋滞に巻き込まれたこと)を受けて「それが...」と続ける形です。
前文の内容を先行詞にできるのは非制限用法の which です。② that は非制限用法で使えないので不可。③ it だと2つの文をつなぐ接続詞がなく文法エラーです。
「交通渋滞に巻き込まれてしまい、それで私たちは会議に40分遅れてしまった」
C 応用レベル
Please come at noon, ( ) I'll be back in the office.
- ① when
- ② at which
- ③ by which time
- ④ during
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解説
判断のポイント:「そのころまでに」という意味で by which time(= by that time = by noon)を入れます。
which が名詞 time を伴う関係形容詞の用法です。先行詞は noon で、by which time は「その時までに」の意味。
「正午にいらしてください。そのころには私もオフィスに戻っていますので」
得点の差がつくポイント
- 関係形容詞 which(which + 名詞)の知識が必要
- by which time = by that time の対応関係が理解できるかが鍵