第9章 関係詞

関係代名詞 what
─ 先行詞を「内蔵」した万能パーツ

who や which には必ず先行詞がありました。しかし what だけは違います。
what は「先行詞 + 関係代名詞」を1語に凝縮した特殊な存在。
この what を使いこなせると、英語の表現力が一気に広がります。

1what = the thing(s) which ─ 先行詞を含む関係代名詞

G-9-1 で学んだ who / which / that には必ず先行詞がありました。 しかし関係代名詞 what は、先行詞なしで使います。 なぜなら、what は「先行詞 the thing(s)」と「関係代名詞 which」を1語に凝縮した存在だからです。

💡 ここが本質:what = 先行詞 + 関係代名詞

what = the thing(s) which(...するもの・こと)

what は先行詞を内蔵しているため、単独で名詞節(名詞のかたまり)を作ることができます。

what 節は文の中で主語・目的語・補語・前置詞の目的語として使われます。

🧠 ネイティブの感覚:what は「ぼんやりしたモノ・コト」を指す

who は「人」、which は「モノ」と指定しますが、what はもっとぼんやりと「何か」を指します。

具体的に何なのかは、後続する節が教えてくれます。"This is exactly what I wanted." と言うとき、ネイティブは「これはまさに、ほら、私が欲しかったやつだ」という意識で what を使っています。

先行詞が不要なのは、what 自身がすでに「モノ・コト」の意味を含んでいるからです。

📝 基本の例文
What is cheap is not always bad.
安いものがいつも悪いとは限らない。(what節 = 主語)
This is exactly what I wanted for my birthday.
これはまさに私が誕生日に欲しかったものです。(what節 = 補語)
⚠️ 落とし穴:what の前に先行詞を置いてしまう

what はすでに先行詞を含んでいるので、前に名詞(先行詞)を置くことはできません。

✕ 誤:I don't know the thing what he wants.

○ 正:I don't know what he wants.

○ 正:I don't know the thing which he wants.

「the thing + which」か「what」のどちらか一方を使いましょう。両方同時に使うことはできません。

2what 節の4つの働き ─ 主語・目的語・補語・前置詞の目的語

what 節は名詞節を作ります。名詞と同じように、文の中で4つの位置に置くことができます。 what 自体も節の中で主語・目的語・補語のいずれかの働きをしている点に注目しましょう。

📏 文法ルール:what 節の位置と what の働き
what 節の位置 例文
主語 What matters most is your health.(一番大切なのは健康だ)
目的語 He spends what he earns on his son.(稼いだ分を息子に使う)
補語 This town is not what it was twenty years ago.(20年前とは違う)
前置詞の目的語 I'm interested in what she said.(彼女の言ったことに興味がある)
※ what 節が主語になる場合、動詞は原則として三人称単数扱い。
📝 what の節内での働きに注目
What seems easy at first often turns out to be difficult.
最初は易しいと思えることが、後になって難しいとわかることがある。(what = 節内の主語)
I'd rather not say what I really think about him.
彼について本当に考えていることはどうも言いたくない。(what = 節内の目的語)
🔬 ワンポイント:what 節の2つの解釈

what 節は「文的」に解釈する場合と「名詞的」に解釈する場合があります。

文的:I don't know where she lives.「彼女がどこに住んでいるのか

名詞的:It's far from where I live.「私が住んでいる場所

どちらの解釈でも本質的な意味は同じなので、文脈に応じて柔軟に解釈すればOKです。

3関係形容詞 what ─ what + 名詞の形

what には、後ろに名詞を伴う使い方があります。 「what + 名詞 (+S) + V」で「...するすべての(名詞)」という意味になり、= all the + 名詞 + that ... と同じ意味です。 この what は名詞を修飾しているので関係形容詞と呼ばれます。

📏 文法ルール:関係形容詞 what

what + 名詞 (+S) + V = all the + 名詞 + that (+S) + V

「...するすべての(名詞)」

※ what little + 名詞 で「少ないながら持っているすべての(名詞)」という意味になる。入試頻出。
📝 関係形容詞 what の例文
I will give you what information I have.
私が持っているすべての情報をあなたにあげよう。(= all the information that I have)
Mary lost what little money she had.
メアリーは、少ないながら持っていたすべてのお金をなくした。
I sent my brother what little money I had at that time.
私は田舎に住む弟に、そのとき持っていたなけなしのお金を送った。
⚠️ 落とし穴:what little money は「少ないお金」ではない

what little money は「少ないお金」ではなく、「少ないながらも持っている全部のお金」です。

little は「少ない」という意味を添えますが、what が「すべて」を意味するので、ニュアンスは「なけなしの全額」となります。

4what を用いた慣用表現

what を使った慣用表現は入試で非常によく問われます。 すべて what の「...するもの・こと」という基本の意味から派生しているので、丸暗記ではなく意味を理解して覚えましょう。

what S is / what S was

📝 「今のS」「昔のS」
Jack owes what he is to the support of his wife.
現在のジャックがあるのは、妻の援助のおかげである。(what he is = 今の彼)
This town is very different from what it was twenty years ago.
この町は20年前とは大きく異なっている。(what it was = 昔のそれ)

A is to B what C is to D

📝 「AとBの関係はCとDの関係と同じ」
Words are to the translator what facts are to the scientist.
翻訳者にとっての言葉は、科学者にとっての事実と同じである。

what is called A / what is more / what is worse

📝 その他の慣用表現
John is what is called a man of culture.
ジョンはいわゆる文化人だ。(= what we call a man of culture)
He is a famous scholar, and what is more, he is a talented poet.
彼は有名な学者であり、その上、才能ある詩人でもある。
It was cold, and what was worse, the heater broke down.
寒かったし、さらに悪いことには、暖房器具も壊れた。
📏 文法ルール:what を用いた慣用表現一覧
表現 意味
what S is 今の S(の姿)
what S was / used to be 昔の S(の姿)
what S will be 将来の S(の姿)
what S should be S のあるべき姿
A is to B what C is to D AとBの関係はCとDの関係と同じ
what is called A いわゆる A
what is more その上、さらに
what is worse さらに悪いことには

5接続詞 that との見分け方

what と that はどちらも名詞節を作りますが、まったく異なる働きをしています。 入試ではこの見分けがよく問われます。判断の基準は明快です。

📏 文法ルール:what と that の見分け方

接続詞 that:後ろに完全な文が続く(名詞が欠けていない)

関係代名詞 what:後ろの節に名詞が1つ欠けている(空所がある)

※ 空所の後が「完結した文」→ that。「名詞が欠けた文」→ what。
📝 that と what の比較
My parents know that I want this book.
両親は私がこの本を欲しがっていることを知っている。(that以下は完全な文)
My parents know what I want ___.
両親は私が欲しいものを知っている。(want の目的語が欠けている → what)
🔬 ワンポイント:見分けのコツ

迷ったら、空所の後ろの文を取り出してそれだけで文が完成するかチェックしましょう。

"I want this book." → 完全な文 → that

"I want ___." → 目的語が欠けている → what

6つながりマップ

関係代名詞 what を学んだら、次のトピックへ進みましょう。

  • → G-9-4 前置詞+関係代名詞:フォーマルな "in which" や連鎖関係代名詞節など、より複雑な関係詞の構造を学ぶ。
  • → G-9-5 非制限用法:カンマ + 関係詞で追加情報を加える使い方。what は非制限用法では使えないことにも注意。
  • → G-9-6 複合関係詞:whatever は what の「強調版」。「何でも」「何が...しようとも」を表す。
  • → G-11 接続詞:接続詞 that との使い分けをさらに詳しく学ぶ。

📋まとめ

  • what = the thing(s) which:先行詞を内蔵した関係代名詞で、名詞節を作る
  • what 節は文の主語・目的語・補語・前置詞の目的語として使える
  • what 自体も節内で主語・目的語・補語のいずれかの働きをする
  • 関係形容詞 what:what + 名詞 = all the + 名詞 + that(...するすべての名詞)
  • 慣用表現:what S is(今のS)、what is called(いわゆる)、what is more(その上)など
  • 接続詞 that との見分け:後ろが完全な文 → that名詞が欠けた文 → what

確認テスト

Q1. 関係代名詞 what が先行詞なしで使える理由を説明してください。

▶ クリックして解答を表示what は先行詞 the thing(s) と関係代名詞 which を1語に凝縮した存在であり、すでに先行詞の意味を内蔵しているから。what = the thing(s) which。

Q2. 次の空所に入るのは that と what のどちらですか。 ─ "A large portion of ( ) the Japanese eat every day is imported."

▶ クリックして解答を表示what。空所の後ろは "the Japanese eat every day" で、eat の目的語が欠けている。前置詞 of の後に名詞節を作る what を入れる。「日本人が毎日食べるもの」の意味。

Q3. "what little money" はどういう意味ですか。

▶ クリックして解答を表示「少ないながらも持っているすべてのお金」=「なけなしのお金」。what(関係形容詞)+ little(少ない)+ money で、= all the little money that ... の意味。

Q4. "what S is" と "what S was" の意味の違いを説明してください。

▶ クリックして解答を表示what S is = 「今のS(の姿)」、what S was = 「昔のS(の姿)」。what は is / was の補語として「Sがどんな状態であるか(あったか)」を表す。

9入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

9-3-1 A 基礎 what の用法 空所補充

(  ) matters most to him is where he works after graduation.

  • ① The thing
  • ② When
  • ③ What
  • ④ How
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

③ What

解説

判断のポイント:空所を含む節が文全体の主語になっています。空所の後ろの matters の主語が欠けているので、節内で主語として働ける関係代名詞 what を入れます。

What matters most to him は「彼にとって一番大事なこと」という名詞節で、文全体の主語です。

「彼にとって一番大事なのは、卒業後どこで働くかということだ」

B 発展レベル

9-3-2 B 発展 what S is 空所補充

Without American influences, Japanese culture would not be (  ) it is today.

  • ① that
  • ② what
  • ③ when
  • ④ which
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

② what

解説

判断のポイント:be 動詞の補語の位置に名詞節が必要です。空所の後ろ "it is today" では is の補語が欠けているので、節内で補語として働ける what を選びます。

what it is today は「今日の日本文化の姿」という意味の慣用表現(what S is = 今のS)です。

「アメリカの影響がなければ、日本文化は今日のようにはなっていないだろう」

C 応用レベル

9-3-3 C 応用 what の整序 整序

次の日本語を英語にしなさい。語句を正しく並べ替えること。

「私たちは紙の裏に、注文したいものの絵を描いた。」

On the back of the paper we ( wanted / of / order / pictures / we / drew / what / to ).

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

drew pictures of what we wanted to order

解説

判断のポイント:"pictures of A"(Aの絵)のAの位置に what 節をまとめます。

what we wanted to order は「私たちが注文したかったもの」という名詞節で、前置詞 of の目的語になっています。what は節内では order の目的語です。

得点の差がつくポイント
  • pictures of A「Aの絵」という語法の知識が必要
  • what 節が前置詞 of の目的語になることを理解できるかが鍵