mustには「〜しなければならない」と「〜に違いない」の2つの顔があります。
一見まったく別の意味に見えますが、実は根っこは同じ。
その「圧力」というコアイメージを掴めば、mustの世界はシンプルに見えてきます。
mustには「〜しなければならない(義務)」と「〜に違いない(推量)」という2つの意味があります。 この2つは一見バラバラに思えますが、根っこにある感覚は同じです。
mustのコアイメージは「高い圧力」です。
何らかの行動に駆り立てる高い圧力が「義務」を生み出し、ある結論に強く導く圧力が「確信(推量)」を生み出しています。
どちらも「逃れようがない強い力」が働いている── それがmustの正体です。
義務は「外からの圧力」── 「やらなきゃ!」と行動に駆り立てる力。命令文に匹敵するほどの強い圧力です。
推量は「証拠からの圧力」── 「そうに違いない!」と結論に押し出す力。A、B、Cときたら次はDだ、というような「それ以外考えられない」感覚です。
どちらも「避けられない」── この感覚がmustの核心です。
mustの「義務」は非常に強い圧力として受け取られます。 「どうしてもやらねばならない」というレベルの圧力であり、相手に向けて使った場合は命令文と同等の強さをもちます。
S + must + 動詞の原形 「〜しなければならない」
must:話し手自身の内的な判断・意志による義務。「今、差し迫って感じている圧力」。
have to:外的な事情・規則による客観的な義務。「外部の状況がそうさせている」。
例:"I must study harder."(自分でそう思う)vs "I have to study harder."(先生に言われた・成績が悪い等)
ただし実際の会話では、この区別は曖昧なことも多く、have to の方がカジュアルでよく使われます。mustは「現在差し迫った圧力」のため、過去形がなく、過去には had to を使います。
mustの強い圧力は「勧め」にもつながります。相手にとってよいことを強く勧める場面で使うと、好感度の高い表現になります。
例:"You must try this cake!"(このケーキ、絶対食べてみて!)
mustの「推量(確信)」にも高い圧力が感じられます。 根拠や証拠をもとに「それ以外は考えられない」と結論に押し出される── 間違えようのない結論に導く強い圧力が、「〜に違いない」という確信を表します。
S + must + 動詞の原形 「〜に違いない」(現在の推量)
S + must + have + 過去分詞 「〜だったに違いない」(過去の推量)
「〜に違いない」の否定、つまり「〜のはずがない」を表すとき、must not は使いません。
✕ 誤:He must not be a doctor.(彼は医者であるはずがない)
○ 正:He can't be a doctor.(彼は医者であるはずがない)
must not は「禁止(してはいけない)」の意味になってしまいます。推量の否定にはcannot(can't)を使いましょう。
| 肯定 | 否定 | |
|---|---|---|
| 義務 | must do(しなければならない) | don't have to do(しなくてよい) |
| 推量 | must do(に違いない) | cannot do(のはずがない) |
must not(mustn't)は「禁止」を表します。 mustの強い圧力に not が加わることで、「絶対にしてはならない」という強い禁止の意味になります。 Don't ...(〜するな)と同等の強さをもつ表現です。
must not = 「してはいけない」(禁止)── 強い圧力で「ダメ!」と止める。
don't have to = 「しなくてもよい」(不必要)── 義務がないので自由。
この2つはまったく意味が異なります。入試で最も問われるポイントのひとつです。
mustの「圧力」は行動を駆り立てる力でした。そこに not が加わると、「その行動をしないこと」に圧力がかかります。
つまり「しないことがmustだ」=「絶対にするな」。これが must not の感覚です。
一方、don't have to は「義務そのものがない」。圧力がゼロなので、やってもやらなくても自由です。
| 肯定 | 否定 | |
|---|---|---|
| must | 〜しなければならない(義務) | must not:〜してはいけない(禁止) |
| have to | 〜しなければならない(義務) | don't have to:〜しなくてよい(不必要) |
mustの用法を学んだら、関連するトピックへ進みましょう。
Q1. mustの2つの意味(義務・推量)に共通するコアイメージを一言で答えてください。
Q2. 次の2文の意味の違いを説明してください。
(a) You must not speak here.
(b) You don't have to speak here.
Q3. 「彼が医者のはずがない」を英語にするとき、He must not be a doctor. は正しいですか。
Q4. 「彼女は会議のことを忘れたに違いない」を英語にしてください。
この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。
I promised I would be on time. I ( ) be late.
③ must not
判断のポイント:「時間通りに行くと約束した」のだから、「遅れてはならない」という禁止の意味が文脈に合います。
must not =「〜してはならない」(禁止)が正解。④ don't have to は「する必要はない」であり、約束を守る文脈には合いません。
「時間通りに行くと約束した。遅れてはならない。」
He ( ) be in because I can hear his radio.
④ must
判断のポイント:because 以下に「ラジオの音が聞こえる」という根拠が示されています。根拠をもとに話し手が判断しているので、推量の must「〜に違いない」が適切です。
② must have は後ろに過去分詞が必要ですが、空所のあとは be(原形)なので不可。must be で「〜に違いない」が成立します。
「彼のラジオの音が聞こえるので、彼は中にいるに違いない。」
次の2文がほぼ同じ意味になるように空所を埋めなさい。
(a) In many schools in the U.S.A., you don't have to wear a uniform.
(b) In many schools in the U.S.A., you ( )( )( ) a uniform.
need not wear
判断のポイント:don't have to =「〜する必要はない」(不必要)と同じ意味になる表現を選びます。
need not(needn't)=「〜する必要はない」で、don't have to と同義です。
ここで must not を入れると「着てはいけない(禁止)」になってしまい、意味が変わるので注意。must not ≠ don't have to は最重要ポイントです。
「アメリカの多くの学校では、制服を着る必要はない。」