can, will, must, may ── これらの助動詞は、動詞に「話し手の気持ち」を乗せる道具です。
「できる」「するつもりだ」「しなければならない」── 同じ事実でも、助動詞を変えるだけで意味がガラリと変わります。
まずは助動詞の基本ルールをしっかり押さえ、表現の幅を一気に広げましょう。
英語の文には、動詞だけでは伝えきれない情報があります。 たとえば「彼は泳ぐ」(He swims.) という文に、「泳げる」「泳ぐだろう」「泳がなければならない」といった話し手の判断を加えたいとき、動詞 swim だけでは無力です。
そこで登場するのが助動詞(modal verb)です。 助動詞は動詞の前に置いて、「能力」「意志」「義務」「推量」など、話し手のものの見方・判断・気持ちを動詞にプラスする働きをします。
動詞 swim はすべて同じなのに、前に置く助動詞を変えるだけで意味がまったく違いますね。 助動詞は、いわば話し手が事実を見るときのフィルターです。
助動詞の本質は「主観のフィルター」です。
動詞が表すのは「事実」や「動作」そのもの。助動詞が加わることで、その事実に対する話し手の見方── 可能性、義務、推量、意志 ── が上乗せされます。
つまり、助動詞とは「客観的な事実」を「話し手の主観」で包む道具だと言えます。
助動詞には、一般の動詞とは異なる独自のルールがあります。 このルールを知らないと、英作文でミスを連発してしまいます。4つの鉄則を押さえましょう。
① 助動詞 + 動詞の原形:助動詞の後ろの動詞は、必ず原形になる。
② 助動詞は2つ並べられない:will can のように助動詞を連続させることはできない。
③ 否定は助動詞 + not:助動詞の直後に not を置く。
④ 疑問は助動詞を主語の前へ:助動詞を文頭に動かして疑問文を作る。
一般動詞の疑問文・否定文では do / does / did を使いますが、助動詞がある文では助動詞自身がその役割を果たします。 do は不要です。
ネイティブスピーカーにとって、助動詞は動詞にかぶせる「レンズ」のようなものです。
同じ事実 "He goes." を、義務のレンズ(must)で見れば「行かなければならない」、可能性のレンズ(may)で見れば「行くかもしれない」、能力のレンズ(can)で見れば「行ける」になります。
レンズを入れ替えるだけで、まったく違う景色が見える── それが助動詞の面白さです。
英語で使われる主要な助動詞を一覧で確認しましょう。 それぞれの助動詞には核心となるイメージがあり、そこから複数の意味が生まれています。
| 助動詞 | 核心イメージ | 主な意味 |
|---|---|---|
| can | 潜在的な力がある | 能力(できる)、許可(してよい)、可能性(ありうる) |
| could | canの距離感バージョン | 過去の能力、丁寧な依頼、控え目な可能性 |
| may | 開かれたドア | 許可(してよい)、推量(かもしれない) |
| might | mayの距離感バージョン | 控え目な推量、丁寧な許可 |
| will | 意志の力 | 意志(するつもり)、推量(だろう)、習性(するものだ) |
| would | willの距離感バージョン | 丁寧な依頼、過去の習慣、仮定法 |
| shall | 運命的な力 | 提案(しましょうか)、規則・法律 |
| should | 進むべき道 | 義務・助言(すべきだ)、推量(はずだ) |
| must | 高い圧力 | 義務(しなければならない)、確信(に違いない) |
この表の「核心イメージ」がポイントです。 各助動詞は複数の意味をもちますが、すべて1つの核心イメージから派生しています。 このイメージを掴むことで、丸暗記に頼らず意味を理解できるようになります。
could, might, would, should は、形の上では can, may, will, shall の「過去形」です。しかし、過去の意味になるとは限りません。
could = can の過去(昔はできた)/ 丁寧な依頼(Could you ...?)/ 仮定法(もし〜できたら)
would = will の過去(〜するつもりだった)/ 丁寧な依頼(Would you ...?)/ 仮定法(もし〜だったら)
英語の過去形には「時間的な距離」だけでなく「心理的な距離」を表す働きがあります。過去形を使うことで「控え目・丁寧・非現実」のニュアンスが生まれるのです。この原理は仮定法(G-10)とまったく同じです。
助動詞を使った文の否定文・疑問文は、一般動詞の文よりシンプルです。 do / does / did を使う必要がなく、助動詞だけで疑問・否定を作れます。
肯定文:S + 助動詞 + 動詞の原形 ...
否定文:S + 助動詞 + not + 動詞の原形 ...
疑問文:助動詞 + S + 動詞の原形 ...?
助動詞の後ろは必ず動詞の原形です。to 不定詞にしたり、三人称単数の -s を付けたりしてはいけません。
✕ 誤:He can to swim.
○ 正:He can swim.
✕ 誤:He musts go.
○ 正:He must go.
✕ 誤:She cans speak English.
○ 正:She can speak English.
助動詞自身が「時」を引き受けるため、後ろの動詞は原形のまま。また、助動詞には主語に合わせた変化がありません。
助動詞は便利ですが、1つだけ不便な点があります。それは助動詞を2つ並べられないことです。 たとえば「泳げるようになるだろう」を英語にしたいとき、will can swim とは言えません。
このような場合は、助動詞と同じ意味をもつ助動詞相当のフレーズを使います。
| 助動詞 | 代用フレーズ | 使う場面 |
|---|---|---|
| can | be able to | 他の助動詞と併用するとき / to不定詞が必要なとき |
| must | have to | 他の助動詞と併用するとき / 過去形が必要なとき(had to) |
| will | be going to | すでに決まっている予定を表すとき |
助動詞の基本を学んだら、各助動詞の詳しい使い方へ進みましょう。
Q1. 助動詞の本質的な役割を一言で説明してください。
Q2. 次の英文の誤りを正してください。
She can to play the piano very well.
Q3. 「彼女はすぐに泳げるようになるだろう」を英語にするとき、will can swim としてはいけない理由と、正しい英文を答えてください。
Q4. Could you ...? が Can you ...? より丁寧に聞こえるのはなぜですか。
この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。
You ( ) be quiet in the library.
② must
判断のポイント:「図書館では静かにしなければならない」という義務の意味から must が適切です。
③ musts は不可。助動詞は主語に関わらず形が変化しません(三単現の -s は付かない)。④ must to も不可。助動詞の後ろは動詞の原形であり、to は不要です。
「図書館では静かにしなければならない」
We will ( ) get up early tomorrow because of the trip.
② have to
判断のポイント:will の後ろに空所があるので、ここにさらに助動詞(must)を置くことはできません。助動詞は2つ並べられないからです。
must と同じ意味をもつ代用表現 have to を使います。will の後ろなので have to は原形のまま。③ must to、④ should to は、助動詞に to を付けた誤った形です。
「旅行のため、明日は早起きしなければならないだろう」
次の各文から、文法的に正しいものを1つ選びなさい。
② He cannot swim.
判断のポイント:助動詞がある文の否定文は「助動詞 + not」で作ります。do / does は不要です。
① does not can、④ do not can は、一般動詞の否定文のルール(do + not + 原形)を助動詞に誤って適用した形です。③ not can は not の位置が間違っています(not は助動詞の後ろに置く)。
正しい否定文は「助動詞 + not + 原形」の語順です。cannot は can + not が一語になった形(can't とも書ける)。