第2章 時制

「...してから〜経った」の表現
─ 1つの日本語に5つの英語がある

「彼が日本を離れてから5年になる」── この1文を英語にする方法が5通り以上あることを知っていますか。
入試では書き換え問題・空所補充・整序英作文のいずれでも頻出のこの表現パターンを、
根っこの発想から理解して完全マスターしましょう。

1基本パターン ─ It has been ... since S + 過去形

「〜してから...になる」── この表現の出発点となるのが、It has been + 期間 + since + S + 過去形の構文です。 英語では「ある出来事を起点として、今に至るまでどれだけ時間が経ったか」を述べるとき、この形がもっとも基本になります。

📏 文法ルール:時間経過の基本構文

It has been + 期間 + since + S + 過去形

「Sが〜してから(期間)になる / 〜してから(期間)が経った」

※ 主節の It has been は「現在まで続く時間経過」を現在完了で表す。
※ since節は「起点(過去の一点)」を表すので、動詞は過去形を使う。
📝 例文で確認
It has been five years since he left Japan.
彼が日本を離れてから5年になる。
It has been ten years since the two companies merged.
その2つの会社が合併してから10年になる。
It has been a long time since I last saw you.
あなたに最後に会ってからずいぶん経ちますね。(= お久しぶりです)
💡 ここが本質:since以下は「起点」、主節は「経過」

この構文を理解するカギは、since以下が「過去の一点(起点)」を、主節が「今に至るまでの期間の長さ」を表しているという点です。

時間の流れをイメージしてみましょう。「he left Japan」という過去の出来事を起点に、そこから現在まで「five years」という時間が流れている。この構文はその時間の流れを丸ごと表しているのです。

だからこそ、主節には現在完了(has been)を使い、since節には過去形を使います。起点は過去の一点なので、現在完了は使えません。

2バリエーション ─ 同じ意味の5つの表現

「彼が日本を離れてから5年になる」── この1つの日本語に対して、英語では5つの異なる言い方ができます。 入試では書き換え問題として頻出なので、すべてのパターンを整理しておきましょう。

📏 文法ルール:「〜してから...になる」の5つの書き換えパターン
No. 構文パターン 主語
1 It has been 5 years since he left Japan. It(形式主語)
2 5 years have passed since he left Japan. 期間(5 years)
3 He left Japan 5 years ago. 人(He)
4 He has been away from Japan for 5 years. 人(He)
5 It is 5 years since he left Japan. It(形式主語)
※ パターン5の It is ... since は主にイギリス英語で用いられる形。入試ではパターン1〜4が重要。
※ パターン4は「動作動詞 → 状態動詞」への変換が必要(left → has been away from)。
📝 各パターンの例文
1. It has been five years since he left Japan.
彼が日本を離れてから5年になる。【It has been ... since 型】
2. Five years have passed since he left Japan.
彼が日本を離れてから5年が過ぎた。【have passed since 型】
3. He left Japan five years ago.
彼は5年前に日本を離れた。【ago 型】
4. He has been away from Japan for five years.
彼は5年間日本を離れている。【現在完了 + for 型】
5. It is five years since he left Japan.
彼が日本を離れてから5年になる。【It is ... since 型(主に英)】
🧠 ネイティブの感覚:5つの表現の「視点の違い」

5つの表現は意味はほぼ同じですが、何を主語にするか = どこに視点を置くかが違います。

パターン1・5:It を主語にして「経過した時間そのもの」を客観的に述べる。

パターン2:「5年という時間が通り過ぎた」と、時間の流れを主語にして擬人的に表現する。

パターン3:「彼が5年前に離れた」と、過去の行為そのものに焦点を当てる。

パターン4:「彼は5年間ずっと離れている」と、現在まで続く状態に焦点を当てる。

どの視点から切り取るかの違いであり、伝えている事実は同じです。

パターン4の「動作→状態」変換に注意

パターン4だけは他のパターンと少し性質が異なります。 since構文では「起点となる動作(left)」を使いますが、パターン4では現在完了 + forを使うため、動作動詞を状態動詞に変換する必要があります。

動作動詞(since構文) 状態動詞(for構文)
he left Japan he has been away from Japan
our grandfather died our grandfather has been dead
she joined this company she has been in this company
I lost my wallet my wallet has been missing
⚠️ 落とし穴:since節に現在完了を使ってしまう

since節は「過去の起点(いつ始まったか)」を表す部分です。起点は過去の一点なので、動詞は必ず過去形を使います。

✕ 誤:It has been five years since he has left Japan.

○ 正:It has been five years since he left Japan.

since = 「〜以来」と覚えている人がつい現在完了と組み合わせてしまいますが、since節自体の中では「いつ起きたか」を特定する過去形を使います。ここは入試で最も狙われるポイントです。

🔬 ワンポイント:have passed の主語は「時間」

パターン2の Five years have passed since ... で注意すべきは、主語が「Five years(5年間)」という複数名詞であることです。

そのため、動詞は have passed(複数形)になります。has passed ではありません。

ただし Ten years is a long time.(10年は長い時間だ)のように、期間をひとまとまりとして扱う場合は単数扱いになることもあります。文脈による判断が必要です。

3last の用法と「〜してから初めて」の表現

「〜してから...になる」の表現と密接に関連するのが、the first timethe last time を使った表現です。 あわせて整理しておきましょう。

「これが初めて」── It is the first time + 現在完了

📏 文法ルール:「〜するのは初めてだ」

This / It is the first time (that) S + have/has + 過去分詞

「Sが〜するのはこれが初めてだ」

※ 主節が is(現在形)のとき、that節は現在完了を使う。
※ 主節が was(過去形)のとき、that節は過去完了を使う。
※ 「初めて」=「今回までの経験がゼロ」→ 完了形(経験用法)で表すのが英語の発想。
📝 例文で確認
This is the first time I have visited Kyoto.
京都を訪れるのはこれが初めてです。
It was the first time she had eaten sushi.
寿司を食べるのはそれが彼女にとって初めてだった。
⚠️ 落とし穴:the first time のあとに過去形を使ってしまう

「初めてだ」→「過去に経験がない」ということなので、経験を表す完了形を使うのが正しい形です。

✕ 誤:This is the first time I visited Kyoto.

○ 正:This is the first time I have visited Kyoto.

日本語の「初めてだ」から過去形を連想しがちですが、英語では「今までの経験の有無」を完了形で表します。

「前回〜したとき」「久しぶりに」── the last time / It has been a long time since

🔬 ワンポイント:the last time と久しぶりの表現

the last time + S + 過去形:「前回(最後に)Sが〜したとき」

例:The last time I saw him, he was still a student.(前回彼に会ったとき、彼はまだ学生だった)

It has been a long time since + S + 過去形:「Sが〜してからずいぶん経つ」(= 久しぶり)

例:It has been a long time since I had a real vacation.(ちゃんとした休暇をとってからずいぶん経つ)

口語では Long time, no see.(お久しぶり)や It's been ages since ... などのカジュアルな表現もよく使われます。

📝 例文で確認
The last time I played tennis was three years ago.
この前テニスをしたのは3年前だった。
It has been a long time since we last met.
最後に会ってからずいぶん経ちますね。
It has been almost a decade since I married my husband.
夫と結婚してからもうすぐ10年になる。
💡 ここが本質:「起点」を意識すればすべてつながる

この章で学んだすべての表現に共通する考え方は、「過去の一点を起点として、そこから現在までの時間を捉える」ということです。

It has been ... since ...(〜してから...経った)も、the first time + 現在完了(今回が初めて = 今までの経験ゼロ)も、the last time + 過去形(前回〜したとき)も、すべて「時間の起点と現在」の関係を表しています。

この「起点感覚」は、現在完了の「since + 過去形」の基本感覚そのものです。

4つながりマップ

この記事で学んだ「時間経過の表現」は、次のトピックと深くつながっています。

  • → G-2-5 現在完了:It has been ... since ... の has been は現在完了の「継続」用法。for / since の基本もここで確認できます。
  • → G-2-5 for と since の使い分け:パターン1(since + 起点)とパターン4(for + 期間)の違いは、for / since の基本を理解すればクリアになります。
  • → G-2-2 過去形:パターン3(S + 過去形 ... ago)や since節の中の過去形は、過去時制の基本知識が前提です。

📋まとめ

  • 「〜してから...になる」の基本形は It has been + 期間 + since + S + 過去形
  • 同じ意味を 5つのパターンで表現できる(It has been ... since / have passed since / ago / 現在完了 + for / It is ... since)
  • 5つのパターンは「視点(主語)」が異なるだけで、伝えている事実は同じ
  • since節の動詞は必ず過去形(起点は過去の一点。現在完了は使わない)
  • パターン4では動作動詞→状態動詞への変換が必要(left → has been away from)
  • It is the first time + 現在完了で「〜するのは初めてだ」を表す
  • 覚え方の核心:「過去の起点 → 現在までの時間」を意識すれば、すべてのパターンが1つにつながる

確認テスト

Q1. 「〜してから...になる」の基本構文を完成させてください。
It (  )(  ) five years since he left Japan.

▶ クリックして解答を表示has been。It has been + 期間 + since + S + 過去形で「Sが〜してから(期間)になる」。

Q2. since節の動詞に現在完了を使えない理由を説明してください。

▶ クリックして解答を表示since節は「過去の一点(起点)」を表す部分だから。起点は過去の特定の瞬間なので、過去形を使う。現在完了は「過去から現在にかけての幅」を表すので、起点を示すには不適切。

Q3. 次の2文がほぼ同じ意味になるように空所を埋めてください。
Our grandfather died almost ten years ago.
= Our grandfather has been (  )(  ) almost ten years.

▶ クリックして解答を表示dead for。動作動詞 died を状態動詞 dead に変換し、期間を表す for とともに使う。「祖父が亡くなってからほぼ10年になる」

Q4. 次の英文の誤りを正してください。
This is the first time I visited London.

▶ クリックして解答を表示visited → have visited。This is the first time のあとは「経験」を表す現在完了(have + 過去分詞)を使う。主節が is(現在形)→ that節は現在完了。

7入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

2-8-1 A 基礎 時間経過の表現 空所補充

It (  ) ten years since the two companies merged.

  • ① has been
  • ② has passed
  • ③ is passed
  • ④ passed
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

① has been

解説

判断のポイント:It と since に注目します。

It ... since の構文は It has been [is] + 期間 + since S + 過去形 の形をとります。空所に入るのは① has been です。

② has passed は主語が Ten years のときに使う形(Ten years have passed since ...)。主語が It のときは has been を使います。

「その2つの会社が合併してから10年になる」

B 発展レベル

2-8-2 B 発展 時間経過の書き換え 空所補充

Ten years (  ) since I left my home to work in this city.

  • ① had passed
  • ② passed
  • ③ have passed
  • ④ is passed
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

③ have passed

解説

判断のポイント:主語の Ten years と since に注目します。

主語が「期間(Ten years)」で since が続く場合は、期間 + have passed since + S + 過去形のパターンです。Ten years は複数名詞なので ③ have passed が正解。

④ is passed は受動態のように見えますが、pass は自動詞なので受動態にはできません。

この文は It has been ten years since I left my home to work in this city. と書き換え可能です。

得点の差がつくポイント
  • 主語が It か 期間 かで、has been / have passed を使い分ける
  • 期間が主語のとき、複数形(have passed)になることに注意

C 応用レベル

2-8-3 C 応用 書き換え 記述式

次の2文がほぼ同じ意味になるように、空所に適語を入れなさい。

It's been almost ten years since our grandfather died.

= Our grandfather has been (  )(  ) almost ten years.

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

dead for

解説

判断のポイント:It has been ... since 構文から、現在完了 + for 構文への書き換え問題です。

since構文の動作動詞 died(死んだ)を、状態動詞 dead(死んでいる)に変換し、期間を表す for とともに使います。

dead は形容詞で「死んでいる(状態)」を表します。die は「死ぬ(動作)」を表す動詞です。この「動作→状態」の変換が書き換え問題の核心です。

同じ書き換え:Almost ten years have passed since our grandfather died. / Our grandfather died almost ten years ago.

得点の差がつくポイント
  • died(動作)→ dead(状態)の変換ができるかどうか
  • since(起点)→ for(期間)の変換を正しく行えるか
  • 同様の変換:left → been away from, joined → been in, lost → been missing