第13章 強調・倒置・省略・話法

話法
─ 直接話法と間接話法の転換

「先生がテストだって言ってたよ」── 他の人の発言を伝えることは日常茶飯事です。
英語には、発言をそのまま引用する直接話法と、話し手の立場で言い換える間接話法の2つの方法があります。
話法の転換では、時制・人称・場所/時間表現の3つを正しく変える必要があります。

1直接話法と間接話法 ─ 2つの伝え方

人の発言を伝える方法には直接話法間接話法の2つがあります。

📏 文法ルール:直接話法と間接話法

直接話法:カンマと引用符(" ")で実際の発言をそのまま引用する

間接話法:発言をそのまま使わず、話し手の立場で言い換えて伝える

※ 間接話法では「レポート文」の形(say + that節 / tell + 人 + that節 など)が基本。
📝 例文で確認
直接話法:She said, "I love you."
彼女は「あなたを愛しています」と言った。
間接話法:She said (that) she loved me.
彼女は私を愛していると言った。
💡 ここが本質:間接話法は「話し手の現在の立場から再構成する」

間接話法では、発言そのままではなく、自分の現在の立場から再構成することが最も大切です。

彼女の "I" は、話し手の立場からすれば "she" であり、"you" は "me" になります。また、彼女の発言は過去のことなので、love は loved(時制の一致)になります。

2話法の転換 ─ 時制の一致

間接話法では、伝達動詞(said など)が過去形の場合、時制の一致により発言内容の時制も1つ過去にずれます。

直接話法の時制 間接話法の時制
現在形(is / love) 過去形(was / loved)
過去形(was / loved) 過去完了形(had been / had loved)
現在完了形(have done) 過去完了形(had done)
will would
can could
may might
📝 例文で確認
He said, "It is rainy." → He said it was rainy.
彼は「雨が降っている」と言った。(現在形 → 過去形)
He said, "It will be rainy." → He said it would be rainy.
彼は「雨になるだろう」と言った。(will → would)
He said, "It was rainy." → He said it had been rainy.
彼は「雨だった」と言った。(過去形 → 過去完了形)

3人称代名詞の転換

間接話法では、話者の視点が変わるため、人称代名詞を適切に変える必要があります。

📝 例文で確認
My dad said, "I'll lend you the money."
父は「お金を貸してあげるよ」と言った。
→ My dad said he would lend me the money.
父は私にお金を貸してくれると言った。(I → he, you → me)
⚠️ 落とし穴:機械的に変換しない ─ 文脈で判断する

人称代名詞の転換は「だれが・だれに向かって・だれのことを言っているか」を文脈から判断する必要があります。

発言者の "I" が話し手からみて "he/she" になるのか "I"(話し手自身の場合)のままなのかは、状況次第です。

4場所・時間表現の転換

間接話法では、発言の場所・時に依存する表現も話し手の視点から言い換える必要があります。

直接話法 間接話法
this that
these those
here there
now then
today that day
yesterday the day before / the previous day
tomorrow the next day / the following day
last week the week before / the previous week
next week the next week / the following week
... ago ... before / ... earlier
📝 例文で確認
My brother called from Paris and said, "I'm leaving here tomorrow."
兄はパリから電話をかけてきて「ここを明日出発するよ」と言いました。
→ My brother called from Paris and said he was leaving there the next day.
兄はパリから電話をかけてきて、そこを翌日出発すると言いました。
🔬 ワンポイント:話し手にとっても「ここ」「明日」なら変えなくてよい

場所・時間表現の転換は、あくまで「話し手の視点で言い換える必要がある場合」に行います。話し手にとっても here や tomorrow が適切なら、そのまま使えます。

5伝達動詞と文の形の選び方

元の発言がどのような種類の文かによって、間接話法で使う伝達動詞文の形が変わります。

元の発言 伝達動詞 + 文の形
平叙文「言った」(say だけ) say (that) ...
平叙文「人に言った」(say to A) tell A (that) ...
Yes/No 疑問文 ask (A) if / whether ...
疑問詞付き疑問文 ask (A) + wh節(平叙文の語順)
命令文 tell A to do ...
否定の命令文(Don't ...) tell A not to do ...
依頼文(Please ...) ask A to do ...
Let's ... の提案 suggest (that) S (should) do ...
📝 例文で確認
He said to her, "You may be able to answer this question."
→ He told her (that) she might be able to answer that question.
She said to me, "Do you like the movie?"
→ She asked me if I liked the movie.(Yes/No疑問文 → if節)
He said to me, "Where does she live?"
→ He asked me where she lived.(疑問詞付き → wh節・平叙文の語順)
My mom said to me, "Be back by ten."
→ My mom told me to be back by ten.(命令文 → tell A to do)
My mother said to me, "Don't talk to wolves in the woods."
→ My mother told me not to talk to wolves in the woods.(否定命令 → tell A not to do)
He said, "Let's try again."
→ He suggested (that) we (should) try again.(Let's → suggest)
🧠 ネイティブの感覚:say to A は tell A に

直接話法で said to A と使っていても、間接話法では told A (that) ... に変えるのが自然です。said to A that ... はほぼ使われません。tell のほうがコンパクトに表現できるからです。

⚠️ 落とし穴:間接疑問文の語順

間接話法で疑問文を伝えるとき、疑問詞のあとは平叙文の語順になります。疑問文の語順のままにしないよう注意しましょう。

✕ 誤:He asked me where did she live.

○ 正:He asked me where she lived.

6つながりマップ

話法を学んだら、次のトピックへ進みましょう。

  • → G-2 時制:時制の一致は、時制の基本を理解していることが前提です。
  • → G-8 名詞節(that節・wh節・if/whether節):間接話法はthat節・wh節・if節の知識が不可欠です。
  • → G-5 不定詞:命令文の間接話法 tell A to do は不定詞の用法の一つです。
  • → G-14 可算名詞と不可算名詞:次章へ進み、名詞の世界を学びましょう。

📋まとめ

  • 直接話法:引用符で発言をそのまま引用。間接話法:話し手の立場で言い換えて伝える
  • 時制の一致:伝達動詞が過去 → 発言内容も1つ過去にずれる(is→was, will→would)
  • 人称代名詞:話し手の視点から適切に変換(I→he/she, you→me など)
  • 場所・時間表現:here→there, tomorrow→the next day, ago→before など
  • 伝達動詞の使い分け:平叙文 → say/tell、疑問文 → ask + if/wh節、命令文 → tell A to do、提案 → suggest
  • 間接疑問文では、疑問詞のあとは平叙文の語順になることに注意

確認テスト

Q1. 直接話法と間接話法の違いを一言で説明してください。

▶ クリックして解答を表示直接話法は発言をそのまま引用する方法。間接話法は話し手の立場で言い換えて伝える方法。間接話法では時制の一致・人称代名詞・場所/時間表現の3つを適切に変える必要がある。

Q2. He said, "I will come tomorrow." を間接話法に書き換えてください。

▶ クリックして解答を表示He said (that) he would come the next day [the following day]. will → would(時制の一致)、I → he(人称)、tomorrow → the next day(時間表現)の3つが変わる。

Q3. She said to me, "Don't open the door." を間接話法に書き換えてください。

▶ クリックして解答を表示She told me not to open the door. 否定の命令文 → tell A not to do の形。said to me は told me に変える。

Q4. 間接話法で疑問文を伝えるとき、語順はどうなりますか。

▶ クリックして解答を表示疑問詞のあとは平叙文の語順になる。例:"Where does she live?" → He asked me where she lived.(× where did she live)。Yes/No疑問文なら ask + if/whether + 平叙文の語順。

9入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

13-5-1 A 基礎 平叙文の話法転換 空所補充

(a) He said to her, "You may be able to answer this question."

(b) He (  ) her that (  )(  ) be able to answer that question.

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

told, she might

解説

判断のポイント:said to her → told her(伝達動詞の変換)。You → she(人称代名詞の転換)。may → might(時制の一致)。this → that(指示代名詞の転換)。

「彼は彼女に、その質問に答えられるかもしれないと言った」

B 発展レベル

13-5-2 B 発展 命令文の話法転換 空所補充

(a) My mother said to me, "Don't talk to wolves in the woods."

(b) My mother told (  ).

  • ① me to speak not wolves
  • ② not to me talk to wolves
  • ③ me not to talk to wolves in the woods
  • ④ to me not to speak wolves
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

③ me not to talk to wolves in the woods

解説

判断のポイント:否定の命令文 Don't ... の間接話法は tell A not to do ... を使います。

tell me not to talk to wolves in the woods「森でオオカミに話しかけないようにと私に言った」が正しい形です。

not の位置に注意。tell me not to do ... の語順です(not to me talk ... ではない)。

C 応用レベル

13-5-3 C 応用 疑問文の話法転換 空所補充

(a) He said to me, "Where does she live?"

(b) He (  ) me (  ) she (  ).

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

asked, where, lived

解説

判断のポイント:疑問文の間接話法では、伝達動詞に ask を使います。疑問詞付き疑問文なので、ask + 人 + wh節の形です。

wh節のあとは平叙文の語順になることが最大のポイント。does she live → she lived(平叙文の語順 + 時制の一致)。

「彼は、彼女がどこに住んでいるのか私に尋ねた」

得点の差がつくポイント
  • where のあとを疑問文の語順(does she live)にしてしまうミスが多い
  • 間接疑問文では必ず「平叙文の語順」にすることを忘れない
  • does live → lived と、助動詞 does を消して本動詞を過去形にする