第13章 強調・倒置・省略・話法

省略
─ わかりきったことは言わない、英語のシャープさ

「誰が空港に連れて行ってくれるの?」「僕の兄だよ(= My older brother will.)」──
英語では、前後関係から十分に意味がわかるものはしばしば省略されます。
繰り返しを避け、文を軽くシャープに保つ── これが英語の省略テクニックです。

1省略とは ─ なぜ省略するのか

省略(ellipsis)とは、前後関係から十分に意味がわかる要素を繰り返さずに取り除くことです。不必要な繰り返しを避けることで、文をよりシャープで自然にする英語の重要なテクニックです。

🧠 ネイティブの感覚:繰り返しは「重い」

英語ネイティブにとって、すでにわかっている情報をもう一度言うのは「重たい」感覚です。省略は怠惰ではなく、コミュニケーションをスムーズにする積極的な選択です。

代用(one / do / so など)と省略は、どちらも「繰り返しを避ける」テクニック。英語の自然さの鍵を握っています。

2助動詞のあとの省略

前文の内容がすでに明らかな場合、助動詞のあとの動詞句を省略して、助動詞だけで文を終えることができます。これは省略の最も典型的なパターンです。

📝 例文で確認
Who will take us to the airport? — My older brother will.
誰が空港に連れて行ってくれるの? — 僕の兄だよ。(will take us to the airport が省略)
I've decided to study abroad next year, and my best friend has, too.
来年留学することに決めたんだ。親友もだよ。(has decided to study abroad next year が省略)
I didn't cheat on the test, honest! — Nobody is saying that you did.
カンニングなんてしなかったよ、本当だよ! — 誰も君がやったなんて言ってないよ。

be動詞のあとの省略

📝 例文で確認
Gary is late again. — He always is!
ゲイリーはまた遅刻だよ。— 彼はいつもだよ!(is late が省略)

3接続詞のあとの「主語 + be動詞」の省略

接続詞(when, while, if, though, unless など)のあとで、「主語 + be動詞」がわかりきっている場合は省略されることがあります。省略することで、はるかにシャープな印象を与えます。

📏 文法ルール:接続詞 + 分詞/形容詞/前置詞句

接続詞 + (S + be動詞が省略) + 分詞 / 形容詞 / 前置詞句

※ 省略されるのは主節の主語と同じ主語 + be動詞。
※ when, while, though, if, unless, once などで頻出。
📝 例文で確認
I took some great photos while traveling around Australia.
オーストラリアを旅行している間、すごい写真を撮ったよ。(while I was traveling ...)
Children, when accompanied by an adult, are allowed in the museum.
子どもは、大人のつき添いがあるときには美術館への入場が許されている。(when they are accompanied ...)
If possible, I'd like to change my appointment time.
可能なら、予約の時間を変更したいのですが。(If it is possible ...)

4to不定詞のあとの省略(代不定詞)

to不定詞のあとの動詞句がすでに明らかな場合、to だけを残してあとを省略することができます。この to を代不定詞と呼びます。

📝 例文で確認
I'll give you a hand, if you want me to.
お望みでしたらお手伝いします。(to give you a hand が省略 → to だけ残る)
"Would you like to come with us?" — "I'd love to."
「一緒に来ませんか?」「ぜひ」(to come with you が省略)

5if節の慣用的省略

if節の「主語 + be動詞」が省略された形は非常に頻繁に使われ、ほぼ定型表現として定着しています。入試でも頻出なので、まとめて覚えましょう。

省略形 元の形 意味
if any if there are any たとえあるにしても / もしあれば
if ever if S ever do たとえあるにしても(頻度)
if anything if there is anything どちらかと言えば
if possible if it is possible 可能ならば / できれば
if necessary if it is necessary 必要ならば
if so if it is so そうだとしたら
if not if it is not so そうでないとしたら
📝 例文で確認
There are few mistakes, if any, in this long essay.
この長い作文には、たとえあるにしても、ほとんど間違いはない。
Mr. and Mrs. Thatcher seldom, if ever, go out in the evening.
サッチャー夫妻は、たとえあるにしても、めったに夜は外出しない。
I should be there by 7, but if not, I'll call you.
7時には行けるはずだけど、行けなかったら電話するよ。
💡 ここが本質:if any と if ever の使い分け

if any は準否定の数量形容詞 few / little(ほとんどない)とセットで使われます。「数量」に関する「たとえあるにしても」です。

if ever は準否定の頻度副詞 seldom / rarely(めったにない)とセットで使われます。「頻度・回数」に関する「たとえあるにしても」です。

6つながりマップ

省略を学んだら、次のトピックへ進みましょう。

  • → G-13-5 話法:間接話法では、省略や代用のテクニックが随所に活きてきます。
  • → G-13-3 前置:前置と省略は、どちらも情報構造を操作するテクニック。あわせて理解しましょう。
  • → G-12 否定:few / little / seldom / rarely は準否定語。if any / if ever の理解に不可欠です。
  • → G-5 不定詞:代不定詞(to だけ残す省略)は不定詞の知識が前提です。

📋まとめ

  • 省略 = 前後関係からわかる要素を繰り返さず取り除く。英語の自然さ・シャープさの鍵
  • 助動詞のあとの省略:前文の動詞句が省略され、助動詞だけ残る(My brother will.)
  • 接続詞のあとの「S + be」の省略:while traveling / when accompanied / if possible
  • 代不定詞:to のあとの動詞句を省略し、to だけ残す(I'd love to.)
  • if節の慣用的省略:if any(few/littleと)、if ever(seldom/rarelyと)、if possibleif necessary など

確認テスト

Q1. "I'd love to." の to のあとには何が省略されていますか。

▶ クリックして解答を表示前文の動詞句が省略されている。例えば "Would you like to come?" に対しては to come(with you など)が省略されている。この to を代不定詞と呼ぶ。

Q2. "While traveling in Italy, ..." の while のあとに省略されている語句は何ですか。

▶ クリックして解答を表示主節の主語と同じ主語 + be動詞が省略されている。例えば主節の主語が I なら "while I was traveling ..." の I was が省略されている。

Q3. if any と if ever の違いは何ですか。

▶ クリックして解答を表示if any は数量の「たとえあるにしても」で、few / little とセットで使う。if ever は頻度の「たとえあるにしても」で、seldom / rarely とセットで使う。

Q4. "If possible" を省略しない形に戻してください。

▶ クリックして解答を表示If it is possible。if のあとに it is が省略されている。

9入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

13-4-1 A 基礎 接続詞のあとの省略 空所補充

The lady is very quiet and doesn't speak unless (  ).

  • ① spoken to
  • ② she is not spoken
  • ③ she speaks
  • ④ never speaking
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

① spoken to

解説

判断のポイント:unless のあとの「主語 + be動詞」が省略されたパターンです。

元は unless she is spoken to(話しかけられない限り)で、she is が省略されています。speak to A「Aに話しかける」の受動態 A is spoken to が基本。

「その女性はとても物静かで、話しかけられない限り口をきくことはない」

B 発展レベル

13-4-2 B 発展 if any 空所補充

There are few mistakes, if (  ), in this long essay.

  • ① some
  • ② any
  • ③ even
  • ④ there are
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

② any

解説

判断のポイント:few(ほとんどない)とセットで使われる省略の慣用表現です。

if any(たとえあるにしても)= if there are any mistakes。few と if any は定番の組み合わせです。

「この長い作文には、たとえあるにしても、ほとんど間違いはない」

C 応用レベル

13-4-3 C 応用 if ever 空所補充

Mr. and Mrs. Thatcher seldom, if (  ), go out in the evening.

  • ① any
  • ② few
  • ③ little
  • ④ ever
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

④ ever

解説

判断のポイント:seldom(めったに~しない)は頻度を表す準否定の副詞です。頻度に関する「たとえ~するにしても」は if ever を使います。

if any は「数量」、if ever は「頻度」── この使い分けが決め手です。seldom / rarely とセットなら if ever、few / little とセットなら if any と覚えましょう。

「サッチャー夫妻は、たとえあるにしても、めったに夜は外出しない」

得点の差がつくポイント
  • if any と if ever の使い分けを理解しているかが鍵
  • seldom = 頻度 → if ever / few = 数量 → if any