第12章 疑問詞・疑問文
修辞疑問文・慣用的な疑問文
─ 疑問の形で「別の意図」を伝える
「どうしてこんなに部屋が散らかっているの?」── 理由を聞いているのではなく、「掃除しなさい」と言っているのです。
英語にも、疑問文の形をとりながら提案・命令・否定など別の意図を伝える表現が数多くあります。
ここでは、入試頻出の修辞疑問文と慣用的な疑問文を整理します。
1修辞疑問文 ─ 答えを求めない疑問文
言いたいこととは反対の内容を述べる疑問文を修辞疑問文と呼びます。
答えを求めているわけではなく、断定を強める効果があります。
💡 ここが本質:修辞疑問文 = 疑問文の反対が「真意」
肯定の疑問文 → 真意は否定
Who can solve such a difficult problem?(誰がそんな難問を解けるか → 誰も解けない)
否定の疑問文 → 真意は肯定
Who cannot solve such an easy problem?(誰がそんな簡単な問題を解けないか → 誰でも解ける)
Who knows ...?「だれが...を知っているのか」→「だれも知らない」
📝 例文で確認
Who knows who will win the election?
選挙で誰が勝つのか、誰にわかるだろうか。(→ 誰にもわからない)
Who knows the trouble we have experienced?
私たちが経験した苦労をだれが知っているだろうか。(→ だれも知らない)
What is the use of doing ...?「...して何の役に立つのか」→「役に立たない」
📝 例文で確認
What is the use of doing such a thing?
そんなことをして何の役に立つのでしょうか。(→ 何の役にも立たない)
🔬 ワンポイント:Who knows? の2つの意味
Who knows? は修辞疑問文として「だれも知らない」という意味のほかに、会話の定型表現として「知らないよ / 何とも言えない / やってみなきゃわからない」という意味でも使われます。
2How come ...? と What ... for?
理由や目的を尋ねる慣用的な疑問文です。どちらも会話で頻繁に使われます。
How come + 平叙文 ...?「どうして...するのですか」
📏 文法ルール:How come ...?
How come + S + V ...?(平叙文の語順が続く)
Why ...? と同じ意味だが、How come の後は疑問文の語順ではなく平叙文の語順になる。
※ How come は How does[did] it come (about) that ...? の省略形と考えられている。
📝 例文で確認
How come you did not join the party yesterday?
どうして昨日のパーティーに来なかったの?
⚠️ 落とし穴:How come の後を疑問文の語順にしてしまう
✕ 誤:How come did you not join the party?
○ 正:How come you did not join the party?
How come の後は必ず平叙文の語順。Why did you not join ...? とは語順が異なります。
What ... for?「何のために...するのですか」
📝 例文で確認
What did you come here today for?
今日は何のためにこちらに来たのですか?
What ... for? は疑問代名詞 what が前置詞 for の目的語で、「何のために」という意味になります。
Why ...? に近い意味ですが、what は代名詞なので for の目的語になれるのに対し、why は副詞なので前置詞の目的語にはなれません。
3Why don't you ...? / Why don't we ...?
形は否定疑問文ですが、実際には提案を表す慣用表現です。
📏 文法ルール:提案を表す Why don't ...?
Why don't you do ...? =「...したらどうですか」(相手への提案)
Why don't we do ...? =「(一緒に)...しましょう」(自分も含めた提案)
※ Why not do ...? も同じ意味の省略形。
※ Why not? 単独では「そうしよう」(同意)や「どうして?」(理由を尋ねる)の意味で使われる。
📝 例文で確認
Why don't you stay a little longer?
もう少し泊まっていきなよ。(相手への提案)
Why don't we take the kids to the zoo on Saturday?
土曜日に子どもたちを動物園に連れて行こうよ。(一緒にする提案)
"I don't know what this word means." "Why don't you consult a dictionary?"
「この単語の意味がわかりません」「辞書をひいてみたらどうですか」
Let's have a picnic. ── Why not?
ピクニックに行こうよ。── そうしよう。(同意)
その他の「疑問の形で別の意図を伝える」表現
📝 例文で確認:命令・拒絶
Why must you always leave the lights on?
なぜいつも電気をつけっぱなしにするの? → 電気を消しなさい。(命令)
"You need to apologize to her." "Why should I?"
「彼女に謝らなくちゃ」「なぜ私が?」 → いやです。(拒絶)
4What about ...? / How about ...?
What about A / doing ...? および How about A / doing ...? は、
「Aはどうですか / ...するのはどうですか」と提案を表す慣用表現です。
📝 例文で確認
How about going for a bike ride along the river?
川沿いにサイクリングに行きませんか?(提案)
What about this matter again tomorrow?
明日もう一度この件について話し合いませんか?(提案)
Would you like a cup of coffee?
コーヒーはいかがですか?(丁寧な提案・勧誘)
🧠 ネイティブの感覚:疑問文は「押しつけない」コミュニケーション
英語では、命令形で「〜しなさい」と言うよりも、疑問文の形にすることで相手に選択の余地を残すのが丁寧な表現です。
Why don't you ...? / How about ...? / Would you like ...? はすべて、疑問の形を借りることで、相手に押しつけずに提案しています。この「疑問文で別の意図を伝える」感覚は、英語コミュニケーションの重要な特徴です。
5つながりマップ
- → G-13-1 強調構文と強調表現:疑問詞の強調(on earth / in the world)や強調構文と疑問詞の組み合わせを学びます。
- → G-12-3 否定疑問文と付加疑問文:否定疑問文の作り方と答え方を復習しておきましょう。修辞疑問との関連が深いです。
- → G-12-1 疑問詞を使った疑問文:疑問詞の基本的な使い方を確認しておきましょう。
📋まとめ
- 修辞疑問文 = 言いたいこととは反対の内容を述べる疑問文。断定を強める効果がある
- Who knows ...? →「だれも...を知らない」/ What is the use of doing ...? →「...しても何の役にも立たない」
- How come + 平叙文 ...? = Why ...? と同じ意味。ただし後は平叙文の語順
- What ... for? =「何のために」(what は前置詞 for の目的語)
- Why don't you do ...? =「...したらどう」(提案)/ Why don't we do ...? =「...しましょう」
- What / How about ...? =「...はどうですか」(提案)
確認テスト
Q1. 修辞疑問文の「真意」を読み取る方法を説明してください。
▶ クリックして解答を表示修辞疑問文の真意は、疑問文の内容と反対になる。肯定の疑問文の真意は否定、否定の疑問文の真意は肯定。例:Who can solve this?(誰が解けるか)→ 真意は「誰も解けない」。
Q2. How come ...? の後はなぜ平叙文の語順になるのですか。
▶ クリックして解答を表示How come は How does[did] it come (about) that ...?(どうしてそういうことになるのか)の省略形と考えられている。that以下は名詞節で平叙文の語順だったため、省略後も平叙文の語順が続く。
Q3. Why don't you ...? と Why don't we ...? の違いを説明してください。
▶ クリックして解答を表示Why don't you do ...? は「あなたが...したらどうですか」と相手への提案。Why don't we do ...? は「(一緒に)...しましょう」と自分も含めた提案。
Q4. Who knows the trouble we have experienced? を修辞疑問でない普通の文に書き換えてください。
▶ クリックして解答を表示Nobody knows the trouble we have experienced.(私たちが経験した苦労はだれも知らない。)肯定の修辞疑問文の真意は否定なので、Nobody ... に書き換えられる。
8入試問題演習
この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。
A 基礎レベル
( ) did you come here today for?
- ① What
- ② Why
- ③ When
- ④ Where
▶ クリックして解答・解説を表示
解説
判断のポイント:文末の for に注目します。
What ... for? は「何のために...するのですか」と目的・理由を尋ねる慣用表現です。疑問代名詞 what は前置詞 for の目的語になっています。
② Why は疑問副詞で前置詞の目的語にはなれないため、文末の for とつながりません。
「今日は何のためにこちらに来たのですか?」
B 発展レベル
どうして昨日のパーティーに来なかったの。
How ( not / did / come / you ) join the party yesterday?
▶ クリックして解答・解説を表示
解答
How come you did not join the party yesterday?
解説
判断のポイント:How come の後は平叙文の語順になることがポイントです。
How come + S + V ...? の語順なので、How come you did not join ... が正解です。
How come did you not join ...? の語順は不可。Why ...? なら Why did you not join ...? と疑問文の語順になりますが、How come は平叙文の語順が続きます。
C 応用レベル
次の2文がほぼ同じ意味になるように、空所に適語を入れなさい。
( ) knows the trouble we have experienced?
= Nobody knows the trouble we have experienced.
▶ クリックして解答・解説を表示
解説
判断のポイント:Nobody ... を修辞疑問文で表現できるかがポイントです。
修辞疑問文 Who knows ...?(だれが...を知っているのか)の真意は Nobody knows ...(だれも...を知らない)です。
肯定の修辞疑問文の真意は否定になるという原則を理解していれば、Who を入れることで Nobody knows ... と同じ意味になることがわかります。
得点の差がつくポイント
- 修辞疑問文の「肯定の疑問文 = 否定の真意」という原則を理解しているか
- Who knows ...? = Nobody knows ... の書換パターンは入試頻出