第9章 関係詞

関係代名詞の基本
─ 名詞を「後ろから説明する」英語のしくみ

「あれがこの詩を書いた女の子です」── 日本語では名詞のに説明を置きますが、英語では後ろから説明を加えます。
who / which / that は、名詞と説明文をガッチリつなぐ接着剤
この「名詞 → 説明」の流れを身体に染み込ませれば、関係代名詞は一気に得意分野に変わります。

1関係代名詞のしくみ ─ 先行詞と空所の組み合わせ

英語では、ある名詞についてもっと詳しく説明したいとき、その名詞の後ろに説明の文をつなげます。 このとき、名詞(先行詞)と説明文を結びつける役割を果たすのが関係代名詞です。

🧠 ネイティブの感覚:「名詞 → 説明」の流れ

ネイティブスピーカーが "That is the girl who wrote this poem." と言うとき、意識の流れは次の通りです。

1. まず "That is the girl"(あれがその女の子だよ)と言い切る。

2. 次に "who wrote this poem"(この詩を書いたんだ)と後ろから説明を加える。

これは "Look at the girl in the red jacket."(赤いジャケットの女の子を見て)と同じ「名詞 → 説明」の流れ。関係代名詞は、その説明を文(節)で行うための道具なのです。

関係代名詞を理解する最大のポイントは、後ろの説明文(関係詞節)に空所(穴)があることです。 この空所の位置に先行詞が入ると考えれば、意味がすっきり見えてきます。

📝 空所の組み合わせで意味が変わる
That is the man who ___ called Cindy.
あれはシンディに電話をかけた男だ。(空所 = 主語 → 「彼が電話した」)
That is the man who Cindy called ___.
あれはシンディが電話をかけた男だ。(空所 = 目的語 → 「シンディが彼に電話した」)
💡 ここが本質:関係代名詞 = 先行詞と空所をガッチリ結ぶ接着剤

関係代名詞は、先行詞(名詞)と後続の節(説明文)をつなげる働きをします。

節の中には名詞が1つ欠けた「空所」があり、その空所と先行詞が組み合わされることで修飾関係が成立します。

「先行詞の種類(人 or 人以外)」「空所の位置(主語 / 目的語 / 所有格)」によって、使う関係代名詞が決まります。

2主格の関係代名詞 ─ who / which

先行詞が関係詞節の中で主語の働きをする場合、主格の関係代名詞を使います。 先行詞が「人」なら who、「人以外(モノ・動物・出来事など)」なら which です。

📏 文法ルール:関係代名詞の格変化
先行詞 主格 所有格 目的格
who whose whom (who)
人以外 which whose which
両方OK that --- that
※ 目的格の whom はフォーマルな場面に限られ、口語では who が圧倒的に多い。
※ 目的格の関係代名詞は省略できる。主格・所有格は省略できない。
📝 主格の例文
I have a friend who wants to be an astronaut.
宇宙飛行士になりたい友だちがいます。(who = 主語の位置)
I like stories which have happy endings.
私はハッピーエンドの物語が好きです。(which = 主語の位置)
⚠️ 落とし穴:関係詞節内の動詞の形に注意

関係詞節の動詞は、先行詞の数に一致させます。主格の関係代名詞は先行詞の「代わり」だからです。

✕ 誤:I have a friend who want to be an astronaut.

○ 正:I have a friend who wants to be an astronaut.

先行詞 a friend が三人称単数なので、動詞には -s がつきます。

3目的格の関係代名詞 ─ 省略できるのはなぜ?

先行詞が関係詞節の中で目的語の働きをする場合、目的格の関係代名詞を使います。 そして、目的格の関係代名詞には大きな特徴があります ── 省略できるのです。

📝 目的格の例文
The car (which) I want to get is eco-friendly.
私が買いたい車は環境に配慮したものです。(空所 = 目的語)
The man (who) you were talking to is my cousin.
あなたが話していた男性は私のいとこです。(空所 = 前置詞の目的語)
🧠 ネイティブの感覚:省略が好まれる理由

実は日常会話でもっとも好まれるのは、関係代名詞を省略した形です。

関係代名詞は先行詞と節を結ぶ「補助的な要素」にすぎないため、空所が目的語の位置にあれば、関係代名詞がなくても意味がわかります。

一方、空所が主語の位置にある場合は省略できません。"I met the girl loves Tom." では2つの文が奇妙に重なってしまい、修飾関係が見えなくなるからです。

📏 文法ルール:関係代名詞の省略

目的格の関係代名詞は省略できる。

主格・所有格の関係代名詞は省略できない。

※ 空所が目的語 → 省略OK(文の構造がわかるから)
※ 空所が主語 → 省略NG(文の構造が壊れるから)

4所有格の関係代名詞 ─ whose

先行詞をその所有するものによって説明するとき、whose を使います。 whose は先行詞が「人」でも「人以外」でも使えます。

📝 所有格の例文
I have a friend whose father is a lawyer.
お父さんが弁護士をしている友だちがいます。
You should avoid using technical terms whose meanings you don't understand very well.
意味があまりよくわからない専門用語を使うのは避けるべきだ。
🔬 ワンポイント:whose の使い方のコツ

whose はちょっと複雑に感じられますが、コツは「whose + 所有物」をまずセットで言い切ることです。

例:a friend → whose father → is a lawyer(友だち → そのお父さんが → 弁護士だ)

「先行詞が人以外でも whose を使う」ことは入試でよく問われます。of which でも表現できますが、whose のほうが自然です。

5万能選手 that ─ 迷ったら that を使え

関係代名詞 that は、先行詞が「人」でも「人以外」でも使える万能選手です。 who や which のように先行詞を厳密に「指定」する機能はなく、先行詞と節をしっかりつないでいくだけのシンプルな単語です。

🧠 ネイティブの感覚:that =「導く」意識

that には「ここから説明が始まるよ」と聞き手を導く意識があります。

who / which のように「人」「モノ」とガッチリ指定するわけではなく、ただ「しっかりつないでいく」だけ。だから先行詞を選ばず、変化形もないのです。

堅苦しすぎず、かといってラフでもないので、迷ったら that を使え ── これが最も実用的なアドバイスです。

that を優先する場面

次の場合は、who / which より that が好まれます。

📝 that が優先される場合
The human is the only animal that uses fire.
人間は火を使う唯一の動物だ。(only / first / last など「唯一」の意味を含む語)
The kindest thing that we can do for others is to listen to them.
他人にできるもっとも親切なことは、話を聞いてあげることだ。(最上級)
This is everything that I have.
これが私が持っているすべてだ。(every / all / any / no などの限定語)
I like people and things that make me laugh.
私を笑わせてくれる人やモノが好きだ。(先行詞に人とモノが両方含まれる場合)
⚠️ 落とし穴:that が使えない場面もある

以下の場合は that を使えません。これは入試で頻出のポイントです。

カンマ + that(非制限用法では that 不可 → G-9-5 で詳しく学習)

前置詞 + that(前置詞の直後に that は置けない → G-9-4 で詳しく学習)

6つながりマップ

関係代名詞の基本を学んだら、次のトピックへ進みましょう。

  • → G-9-2 関係副詞:where / when / why / how の用法。先行詞が「副詞」として働く場合のしくみを学ぶ。
  • → G-9-3 関係代名詞 what:先行詞を含む特殊な関係代名詞。what = the thing(s) which のしくみ。
  • → G-9-4 前置詞+関係代名詞:フォーマルな文体で使われる "in which" "to whom" などの形。
  • → G-9-5 非制限用法:カンマ + 関係詞で「追加情報」を加える使い方。

📋まとめ

  • 関係代名詞は、先行詞(名詞)と後続する節(説明文)をつなぐ接着剤
  • 関係詞節には空所(穴)があり、先行詞と空所の組み合わせで修飾関係が成立する
  • 先行詞が「人」→ who(主格)/ whom(目的格)/ whose(所有格)
  • 先行詞が「人以外」→ which(主格・目的格)/ whose(所有格)
  • that は人・人以外を問わず使える万能選手。迷ったらthatを使え
  • 目的格の関係代名詞は省略可能、主格・所有格は省略不可

確認テスト

Q1. 関係代名詞の基本的な働きを簡潔に説明してください。

▶ クリックして解答を表示先行詞(名詞)と後続する節を結びつけ、名詞を後ろから説明する修飾関係を作る働き。節の中には名詞が1つ欠けた「空所」があり、先行詞と空所が組み合わされて意味が決まる。

Q2. 次の空所に入る関係代名詞は? ─ "Global warming is an important issue ( ) we have to discuss more seriously."

▶ クリックして解答を表示which(または that)。先行詞 an important issue は「人以外」で、空所は discuss の目的語の位置。目的格なので省略も可能。

Q3. 主格の関係代名詞が省略できない理由を説明してください。

▶ クリックして解答を表示主格を省略すると、先行詞の直後に動詞が来てしまい、2つの文が奇妙に重なって文の構造が見えなくなるため。例:"I met the girl loves Tom." では修飾関係が判別できない。

Q4. that が who / which より優先される場面を2つ挙げてください。

▶ クリックして解答を表示① 先行詞に the only / the first / the last など「唯一」を含む語がつく場合。② 先行詞に最上級がつく場合。他にも、every / all / any / no がつく場合や、先行詞に人とモノが両方含まれる場合がある。

9入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

9-1-1 A 基礎 主格 空所補充

That was the man (  ) did it.

  • ① which
  • ② who
  • ③ whom
  • ④ whose
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

② who

解説

判断のポイント:空所の後ろに注目。他動詞 did と目的語 it があるので、主語が欠けています。

先行詞 the man は「人」なので、関係詞節内で主語の働きをする主格の関係代名詞 ② who が正解です。

「そいつがそれをやった男だった」

B 発展レベル

9-1-2 B 発展 所有格 空所補充

A doctor (  ) job is operating on patients is called a surgeon.

  • ① who
  • ② whose
  • ③ whom
  • ④ that
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

② whose

解説

判断のポイント:空所の前後の A doctor と job の関係に注目します。「医者の仕事が患者の手術であること」という所有関係があります。

所有格の関係代名詞 ② whose を入れると、"whose job is operating on patients"(仕事が患者の手術であるところの)となり、文意が成立します。

whose は必ず直後に名詞を伴う点にも注意しましょう。

「仕事が患者を手術することである医者は、外科医と呼ばれる」

C 応用レベル

9-1-3 C 応用 目的格の省略 整序

次の日本語を英語にしなさい。語句を正しく並べ替えること。

「私たちの進歩は一生の間に出会う人々に左右されるといえる。」

We can say that our development depends ( upon / our lives / whom / of / we meet / in the course / the people ).

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

upon the people whom we meet in the course of our lives

解説

判断のポイント:"the people"(人々)を先行詞にして、"whom we meet in the course of our lives"(一生の間に出会う)という関係代名詞節を続けます。

他動詞 meet の目的語が欠けていて、先行詞 the people がその欠けた語にあたります。目的格の関係代名詞 whom を使います(省略も可能)。

得点の差がつくポイント
  • depend upon A「Aに左右される」と in the course of A「Aの間に」の知識が必要
  • whom は目的格の関係代名詞で、省略しても正解になりうる