第8章 比較

比較対象にtoを用いる表現
─ ラテン比較級と prefer のルール

英語の比較表現では通常 than を使いますが、superior / inferior / senior / juniorprefer では比較の対象を to で示します。
これらはラテン語に由来する表現で、入試でも「than ではなく to」が問われる頻出ポイントです。

1ラテン比較級とは何か

英語にはラテン語から借りてきた比較表現があります。これらの単語はもともとラテン語の比較級なので、英語の比較級の語尾 -er や more をつけません。そして比較の対象には than ではなく to を使います。

💡 ここが本質:than ではなく to を使う理由

superior, inferior, senior, junior などの単語は、それ自体がラテン語の比較級です。英語の比較級 -er / more とは別系統のため、than ではなく to で比較対象を示します。

また、これらの表現では「何(誰)に対して」という方向性が意識されるため、「到達点」を示す前置詞 to との相性がよいのです。

📏 文法ルール:to で比較対象を示す主な表現

A is superior to B「BよりAが優れている」

A is inferior to B「BよりAが劣っている」

A is senior to B「BよりAが先輩である / 年上である」

A is junior to B「BよりAが後輩である / 年下である」

prefer A to B「BよりもAを好む」

A is preferable to B「BよりもAが好ましい」

🧠 ネイティブの感覚:to の「方向性」で比較する

前置詞 to の基本イメージは「〜に向かって / 〜に対して」です。superior to B と言うとき、「Bに対して上位にある」という方向性のイメージで捉えるのがネイティブの感覚です。

これは than の「〜より」という差の意識とは少し違い、「対比の相手に向かって位置関係を示す」ニュアンスがあります。

2superior / inferior

A is superior to B「BよりAが優れている」

superior は「優れている」を意味するラテン比較級です。比較対象は to で示します。反対に「劣っている」は inferior to です。

📝 例文で確認
This product is superior to that one.
この製品はあの製品よりも優れている。
His work is far inferior to mine.
彼の作品は私のものよりはるかに劣っている。
⚠️ 落とし穴:than を使わない

superior / inferior は「ラテン語の比較級」なので、英語式の than を使いません。

✕ 誤:This product is superior than that one.

○ 正:This product is superior to that one.

また、more superior のように more をつけるのも誤りです。superior 自体が「より優れた」という比較の意味を含んでいます。

🔬 ワンポイント:superior / inferior の強調

ラテン比較級を強調するには far(はるかに)や much(ずっと)を用います。much more superior のような形はとりません。

This smartphone is far superior to the previous model.(このスマホは前のモデルよりはるかに優れている)

3senior / junior

A is senior to B「BよりAが年上 / 先輩である」

senior は「年上・先輩・地位が上」を、junior は「年下・後輩・地位が下」を表します。どちらも比較の対象は to で示します。

📝 例文で確認
Ken is senior to me in the company.
ケンは会社で私より先輩だ。
She is three years junior to him.
彼女は彼より3歳年下だ。
📏 文法ルール:年齢差の表し方

年齢差は 数詞 + years + senior / junior + to で表せます。

He is three years senior to me. = He is three years older than I.

older / younger + than と senior / junior + to を混同しないように注意しましょう。

⚠️ 落とし穴:older than と senior to の混在

older は英語本来の比較級で than を使い、senior はラテン比較級で to を使います。混ぜて使わないように注意しましょう。

✕ 誤:He is senior than me.

○ 正:He is senior to me.

○ 正:He is older than me.

4prefer A to B と preferable

prefer A to B「BよりもAを好む」

prefer もラテン語由来の動詞で、比較の対象には to を使います。「BよりAの方が好き」と言いたいときに prefer A to B の形をとります。

📝 例文で確認
I prefer tea to coffee.
私はコーヒーより紅茶が好きだ。
Most children prefer playing to studying.
ほとんどの子どもは勉強より遊ぶほうが好きだ。
Any job is definitely preferable to none.
どんな仕事であっても仕事がないより好ましいに決まっている。
⚠️ 落とし穴:to のあとに原形動詞を続けない

prefer A to B の to は前置詞です。不定詞の to と勘違いして、動詞の原形を続けないように注意しましょう。

✕ 誤:I prefer reading to watch TV.

○ 正:I prefer reading to watching TV.

to は前置詞なので、後ろには名詞動名詞が来ます。

📏 文法ルール:prefer の構文パターン

prefer A to B:「BよりAを好む」(A, B は名詞 / 動名詞)

prefer to do:「〜するほうを好む」(不定詞も可)

prefer to do A rather than (do) B:「Bするよりも Aするほうを好む」

A is preferable to B:「BよりAが好ましい」(形容詞 preferable)

prefer の過去形は preferred(r を重ねる)です。スペルにも注意しましょう。

🧠 ネイティブの感覚:prefer の「心の向かう先」

prefer はラテン語の prae(前に)+ ferre(運ぶ)が語源で、「Aを前に持ってくる = Aを選ぶ」が原義です。to は「〜に対して」の方向性を持つため、prefer A to B で「Bに対してAを前に出す → Aのほうが好き」という構造になります。

心がどちらに向かうかを to で示すのは、superior to や senior to と同じ感覚です。

5つながりマップ

  • → G-8-3 比較級を用いた表現:than を使う通常の比較級表現と比較して、to を使う表現の特徴を整理しましょう。
  • → G-8-1 原級・比較級・最上級の基本:比較変化の基礎を確認するならこちら。ラテン比較級は変化しないことを思い出しましょう。
  • → G-8-5 最上級を用いた表現:superior は最上級的な意味を含むこともあります。最上級表現との関連を押さえましょう。

📋まとめ

  • ラテン比較級(superior / inferior / senior / junior)はthan ではなく to で比較対象を示す
  • これらの単語自体が比較級なので、more をつけない(more superior は誤り)
  • prefer A to B「BよりAを好む」。to は前置詞なので後ろには名詞 / 動名詞
  • A is preferable to B「BよりAが好ましい」も to で対象を示す
  • ラテン比較級を強調するには far / much を使う

確認テスト

Q1. superior / inferior / senior / junior で比較の対象を示すとき、than と to のどちらを使いますか。

▶ クリックして解答を表示to を使う。これらはラテン語由来の比較級なので、英語式の than ではなく to で比較対象を示す。

Q2. 「私はコーヒーより紅茶のほうが好きだ」を prefer を使って英語にしてください。

▶ クリックして解答を表示I prefer tea to coffee.

Q3. prefer A to B の to は前置詞ですか、それとも不定詞の to ですか。

▶ クリックして解答を表示前置詞。そのため to のあとには名詞か動名詞が来る。動詞の原形を続けるのは誤り。

Q4. 「彼女は彼より3歳年下だ」を junior を使って英語にしてください。

▶ クリックして解答を表示She is three years junior to him.

8入試問題演習

A 基礎レベル

8-6-1 A 基礎 ラテン比較級 空所補充

My father is (  ) to Mr. Tanaka in the company.

  • ① older
  • ② more senior
  • ③ senior
  • ④ elder
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

③ senior

解説

空所のあとが to なので、ラテン比較級の senior が正解。① older なら than が必要。② more senior は誤り(senior 自体が比較級)。④ elder は名詞の前で「年上の」を意味する限定用法の形容詞で、to とは結びつかない。

B 発展レベル

8-6-2 B 発展 prefer 空所補充

Most children prefer playing (  ) studying.

  • ① than
  • ② to
  • ③ for
  • ④ in
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

② to

解説

prefer A to B「BよりAを好む」の形。prefer はラテン語が語源の動詞なので、比較の対象を to で示す。playing と studying はどちらも動名詞で対になっている。

得点の差がつくポイント
  • prefer A to B の to は前置詞なので、あとに来るのは名詞か動名詞
  • than を選ぶと不正解。prefer は than とは結びつかない

C 応用レベル

8-6-3 C 応用 ラテン比較級 誤り指摘

次の英文の下線部のうち、誤りを含む箇所を選びなさい。

①In terms of sound quality, this speaker is ②much more superior ③to the one ④we bought last year.

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

② much more superior → much superior

解説

superior はそれ自体がラテン語の比較級なので、英語式の比較級を作る more をつけることはできない。強調するには much / far を単独で使い、much superior to とする。① in terms of「〜の点で」、③ to は正しく前置詞、④ we bought は関係代名詞の省略で正しい。

得点の差がつくポイント
  • superior / inferior / senior / junior に more をつけない(二重比較級の誤り)
  • 強調は far / much を単独で使う:far superior, much inferior