第7章 分詞

分詞構文の応用
─ 独立分詞構文・慣用表現・付帯状況の with

It having rained the night before, the road was muddy. ── 「前の晩に雨が降ったので、道路はぬかるんでいた。」
G-7-4で学んだ分詞構文の基本を発展させます。受動態の分詞構文、主語が異なる独立分詞構文、入試頻出の慣用的な分詞構文、そしてwith + 名詞 + 分詞の付帯状況表現まで、応用パターンを一気に攻略しましょう。

1受動態の分詞構文

分詞構文は基本的に現在分詞(doing)で表しますが、受動態の場合は being done の形になります。そして、この being はしばしば省略され、過去分詞(done)だけで文が始まることが多いのが特徴です。

文法ルール:受動態の分詞構文

基本形:Being done ..., S + V ...

being 省略形:Done ..., S + V ...(こちらが頻出)

完了形:Having been done ..., S + V ...

having been 省略形:Done ..., S + V ...(完了の意味でも省略可能)

※ being / having been が省略されても意味は変わりません。省略形のほうがはるかに多く使われます。
例文で確認:受動態の分詞構文
Written in easy Japanese, this textbook is good for school children.
やさしい日本語で書かれているので、このテキストは児童にちょうどよい。(= Being written ...の being が省略)
Seen from the airplane, the lake looks like a huge doughnut.
飛行機から見ると、その湖は巨大なドーナツのように見える。(= Being seen ...の being が省略)
Not trained, the dog barks at anyone.
訓練されていないので、その犬はだれに対してもほえる。(否定形:Not being trained の being 省略)
落とし穴:文頭の過去分詞は「受動」を見抜く

文頭に過去分詞がいきなり来ると戸惑いやすいですが、「文の主語が〜される」という受動関係を確認しましょう。

Written in easy Japanese ← this textbook が「書かれている」(受動)→ OK

Writing in easy Japanese ← this textbook が「書いている」(能動)→ 不自然

文の主語との関係が能動なら doing、受動なら done。この判断が入試のカギです。

2独立分詞構文

分詞構文では、分詞の意味上の主語は文の主語と一致するのが原則でした。しかし、両者が異なる場合は、分詞の前に意味上の主語を明示します。これを独立分詞構文と呼びます。

ネイティブの感覚:主語が違うときは明示する

分詞構文では、分詞の主語を省略するのが基本です。省略できるのは「文の主語と同じだから」。逆に、主語が異なるときは省略せず、きちんと主語を置いてあげる必要があります。

"Today being my sister's birthday, I bought her some chocolates." ── 「チョコを買った」のは「私」、「誕生日」なのは「今日」。主語が違うので Today を明示しています。

文法ルール:独立分詞構文の形

名詞(意味上の主語)+ doing / done ..., S + V ...

Today being my sister's birthday, I bought her some chocolates.

(今日は妹の誕生日なので、彼女にチョコレートを買ってあげた。)

※ 分詞の意味上の主語と文の主語が一致しない場合に、意味上の主語を分詞の前に置く。

天候の it を使った独立分詞構文

「雨が降った」のように天候を表す場合、主語は it です。文の主語と異なるので、it を明示した独立分詞構文になります。

例文で確認:天候の it
It having rained the night before, the road was muddy.
前の晩に雨が降ったので、道路はぬかるんでいた。(It = 天候の it、having rained = 完了分詞構文)
It being a national holiday, many stores were closed.
祝日だったので、多くの店は閉まっていた。

There being 構文

there is ... の分詞構文では、there は省略せずに残します。there が分詞構文の意味上の主語の役割を担っていると考えましょう。

例文で確認:There being
There being no chairs, we sat on the floor.
椅子がなかったので、私たちは床に座った。
There being no available information on the crime, the police asked the mass media for cooperation.
その犯罪に関して情報が入手できなかったので、警察はマスコミに協力を求めた。
ここが本質:独立分詞構文の3パターン

1. 名詞 + doing / done:一般的な独立分詞構文

2. It + doing / being ...:天候・時などの it が意味上の主語

3. There being ...:there is 構文の分詞構文化

3慣用的な分詞構文

分詞構文の中には、慣用表現として定着しているものが多くあります。これらは文の主語に関係なく使われ、文頭に置いて後続する内容を指定する「前置き表現」として機能します。入試では暗記項目として頻出なので、まとめて覚えましょう。

ネイティブの感覚:前置きで「枠組み」を示す

慣用的な分詞構文の多くは、後に続く内容への「前置き」として働きます。FACTBOOKの「指定ルール」に通じる考え方です。

"Judging from his accent, ..." ── 「彼のアクセントから判断した限りにおいてですが」と前置きして、後続の内容を指定しています。先に枠組みを示してから本題に入るリズムです。

慣用的な分詞構文 意味
generally speaking 一般的に言えば
strictly speaking 厳密に言えば
frankly speaking 率直に言えば
roughly speaking おおまかに言えば
speaking [talking] of A A と言えば
judging from A A から判断すると
considering A A を考慮すれば
given A A を考慮すれば(= considering)
weather permitting 天気がよければ
all things considered すべてを考慮してみると
例文で確認:慣用的な分詞構文
Generally speaking, a dog is called man's best friend.
一般的に言って、犬は人間の最良の友と呼ばれている。
Judging from his accent, he must be from Osaka.
彼のアクセントから判断すると、彼は大阪出身に違いない。
Considering your love of the outdoors, I am really surprised that you decided to live in the city.
あなたのアウトドア好きを考えれば、都会に住むと決めたことに本当に驚いている。
ワンポイント:weather permitting と all things considered

weather permitting は独立分詞構文の一種です。weather(天気)が permit(許す)── 天気が許せば = 天気がよければ。

all things considered は受動態の独立分詞構文です。all things が consider される ── すべてのことが考慮されると = 総合的に考えてみると。being が省略された形です。

4with + 名詞 + 分詞(付帯状況の with)

分詞構文の「2つのできごとを同時的に並べる」という本質を、前置詞 with で明示した形が付帯状況の withです。「〜しながら」「〜したまま」という同時進行の状況を表します。

ネイティブの感覚:with = 「つながり」の明示

with は「つながり」を表す前置詞です。ここでは「時のつながり = 同時」を表しています。

"She looked at me with a big smile on her face." ── 「彼女が私を見た」のと「満面の笑みが顔にあった」のが同時に起きていることを with が示しています。

with 以下に分詞を置けば、より動的な描写が可能になります。

文法ルール:with + 名詞 + 分詞

能動関係(名詞が〜する)→ with + 名詞 + doing

受動関係(名詞が〜される)→ with + 名詞 + done

※ 名詞と分詞の関係が「能動」か「受動」かで、doing / done を使い分ける。
※ 分詞の代わりに形容詞・前置詞句・副詞が来ることもある。
例文で確認:with + 名詞 + doing(能動)
I listened to the music with my heart beating.
私は心を高鳴らせながらその曲を聞いた。(my heart が beat する → 能動 → doing)
With summer approaching, medical experts have made recommendations to prevent sunburn.
夏の到来にあわせて、医療専門家は日焼け防止の提言をした。(summer が approach する → 能動 → doing)
例文で確認:with + 名詞 + done(受動)
She prayed for peace with her eyes closed.
彼女は目を閉じて平和を祈った。(her eyes が close される → 受動 → done)
He lay on the sofa with his arms folded and soon fell asleep.
彼は腕を組んでソファーに横になり、すぐに眠りに落ちた。(his arms が fold される → 受動 → done)
落とし穴:doing か done かの判断ミス

with の直後の名詞と分詞の関係に注目してください。文の主語との関係ではありません。

with his arms folded ← his arms が fold「される」→ 受動 → done

with his arms folding ← his arms が fold「する」→ 腕が自分で折りたたむ? → 不自然

「名詞が〜する」なら doing、「名詞が〜される」なら done。必ず名詞を主語にして判断しましょう。

ワンポイント:with + 名詞 + 形容詞 / 前置詞句 / 副詞

付帯状況の with では、分詞の代わりに形容詞・前置詞句・副詞が来ることもあります。

with one's mouth full(口にものをほおばって)── 形容詞

with a pipe in one's mouth(パイプをくわえて)── 前置詞句

with one's hat on(帽子をかぶったまま)── 副詞

5分詞構文の強調形 ─ as S do

分詞構文で分詞を強調したいとき、現在分詞の直後に as S do の形を置くことがあります。この S は文の主語に一致します。

文法ルール:分詞構文の強調形

Doing as S do ..., S + V ...

Standing as it does on a hill, the restaurant commands a fine view.

(このとおり丘の上に立っているので、そのレストランは眺めがすばらしい。)

※ as it does の it は文の主語 the restaurant を指す。does は stands の代動詞。
※ 「このとおり〜している」と分詞の内容を強調するニュアンス。
例文で確認
Standing as it does on a hill, the restaurant commands a fine view.
このとおり丘の上に立っているので、そのレストランは眺めがすばらしい。
Living as she does in a remote village, she seldom has visitors.
このとおりへき地の村に住んでいるので、彼女にはめったに来客がない。

6つながりマップ

  • ← G-7-4 分詞構文の基本:分詞構文の作り方・意味・否定など基本を確認できます。基本が不安なら戻って復習しましょう。
  • → G-7-1 名詞を修飾する分詞:分詞の「修飾」機能全体を俯瞰しましょう。名詞修飾(G-7-1)と文修飾(G-7-4, 7-5)の違いを意識できれば分詞の全体像が見えてきます。
  • → G-8-1 原級・比較級・最上級の基本:分詞を終えたら、次は比較表現へ。形容詞・副詞の運用力をさらに高めましょう。

📋まとめ

  • 受動態の分詞構文:being done → being を省略して done で始まることが多い
  • 独立分詞構文:分詞の意味上の主語 ≠ 文の主語 → 名詞 + doing / done
  • 天候の it → It having rained ...、there is → There being ...
  • 慣用的な分詞構文:generally speaking, judging from, considering, weather permitting, all things considered など
  • with + 名詞 + 分詞:付帯状況(同時進行)を表す。能動 → doing、受動 → done
  • 強調形:doing as S do ...「このとおり〜しているので」

確認テスト

Q1. 受動態の分詞構文 being done の being は省略できますか。また、省略するとどんな形になりますか。

▶ クリックして解答を表示省略できる。省略すると過去分詞(done)だけで文が始まる形になる。例:Written in easy Japanese, ...(= Being written ...)。完了形 having been done の having been も省略可能。

Q2. 独立分詞構文とは何ですか。どのような形をとりますか。

▶ クリックして解答を表示分詞の意味上の主語が文の主語と異なるとき、分詞の前に意味上の主語を置く形。「名詞 + doing / done ..., S + V ...」の形をとる。天候の It doing ...、There being ... も独立分詞構文の一種。

Q3. 「with + 名詞 + 分詞」で doing と done を使い分ける基準は何ですか。

▶ クリックして解答を表示with の直後の名詞と分詞の関係で判断する。名詞が「〜する」(能動関係)なら doing、名詞が「〜される」(受動関係)なら done を使う。例:with my heart beating(心が鳴る → 能動 → doing)、with his arms folded(腕が組まれる → 受動 → done)。

Q4. 次の慣用的な分詞構文の意味を答えてください。(a) generally speaking (b) judging from A (c) weather permitting

▶ クリックして解答を表示(a) 一般的に言えば (b) Aから判断すると (c) 天気がよければ。いずれも文の主語に関係なく使われる慣用表現。weather permitting は独立分詞構文の一種(weather が permit する)。

9入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

7-5-1 A 基礎 受動態の分詞構文 空所補充

( ) in easy Japanese, this textbook is good for school children.

  • (1) Wrote
  • (2) Written
  • (3) Writing
  • (4) To write
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(2) Written

解説

判断のポイント:文の主語 this textbook と write の関係を確認します。

テキストは「書かれる」ものなので受動関係。受動態の分詞構文 Being written の being が省略された (2) Written が正解です。

(3) Writing は能動を表すので、「このテキストが(自分で)書いている」という不自然な意味になり不可。

「やさしい日本語で書かれているので、このテキストは児童にちょうどよい。」

B 発展レベル

7-5-2 B 発展 独立分詞構文 空所補充

( ) the night before, the road was muddy.

  • (1) It having rained
  • (2) Having rained
  • (3) Having been rained
  • (4) It being rained
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) It having rained

解説

判断のポイント:the night before(前の晩に)から、述語動詞 was よりも前の時を表すので完了分詞構文が必要。また「雨が降る」の主語は天候の it で、文の主語 the road とは異なるため独立分詞構文にします。

天候の it を意味上の主語に置いた完了分詞構文 (1) It having rained が正解。

(2) Having rained では主語が the road になり「道路が雨を降らせた」で不可。(3) rain は自動詞なので受動態にできず不可。

「前の晩に雨が降ったので、道路はぬかるんでいた。」

得点の差がつくポイント
  • rain の主語は天候の it → 文の主語と異なるので独立分詞構文
  • the night before → 「前の時」を表すので完了分詞構文(having done)

C 応用レベル

7-5-3 C 応用 with + 名詞 + 分詞 空所補充

He lay on the sofa with his ( ) and soon fell asleep.

  • (1) arms folded
  • (2) arms folding
  • (3) fold arms
  • (4) folding arms
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) arms folded

解説

判断のポイント:with + 名詞 + 分詞の形で、名詞と分詞の関係を判断します。

his arms と fold の関係は「腕が組まれる」という受動関係。よって過去分詞を用いた (1) arms folded が正解です。

(2) arms folding では「腕が(自分で)折りたたむ」という能動の意味になり不自然。(3)(4) は with + 名詞 + 分詞の語順になっていません。

「彼は腕を組んでソファーに横になり、すぐに眠りに落ちた。」

得点の差がつくポイント
  • with + 名詞 + 分詞の語順と、名詞と分詞の能動/受動関係を正しく判断する
  • fold「〜を折りたたむ / 〜を組む」は他動詞 → arms は「組まれる」側 → done