第7章 分詞

名詞を修飾する分詞
─ doing は「躍動」、done は「受動・完了」

「走っている少年」は a running boy、「壊された窓」は a broken window。
分詞は動詞から生まれた「形容詞のようなもの」です。名詞の前に置くか後ろに置くか、現在分詞を使うか過去分詞を使うか ── そのルールは実にシンプル。
「説明は後ろに、指定は前から」── この原則を身につければ、分詞の修飾は迷いなく使いこなせます。

1分詞のコア ─ doing と done の正体

分詞には現在分詞(doing)過去分詞(done)の2種類があります。どちらも動詞から派生した語で、形容詞のように名詞を修飾したり、補語になったりする「パッケージ」です。

ネイティブの感覚:doing = 躍動、done = 受動・完了

現在分詞(doing)は、動詞-ing形がもつ「躍動感」のイメージ。「まさに動いている最中」のリアルな感覚です。進行形で「〜している」を表すのと同じ根っこをもっています。

過去分詞(done)には2つの意味があります。他動詞なら「受動(〜された)」自動詞なら「完了(〜してしまった)」です。

この2つのコアイメージさえ掴めば、分詞の章全体を貫く判断基準が手に入ります。

ここが本質:分詞 = 動詞が形容詞の服を着たもの

分詞は動詞の意味を保ちながら、形容詞として働く語です。

現在分詞 doing:「〜している / 〜する」(能動・進行の感覚)

過去分詞 done:「〜された / 〜してしまった」(受動・完了の感覚)

名詞との関係が能動なら doing、受動なら done。これが分詞の使い分けの大原則です。

例文で確認:doing と done のコア
the running water
流れている水(水が流れている = 能動 → doing)
the stolen car
盗まれた車(車が盗まれた = 受動 → done)
the fallen leaves
落ちた葉(葉が落ちてしまった = 完了 → done)

2前置修飾 ─ 名詞の「種類」を指定する

分詞を名詞の前に置くと、その名詞が「どういった種類のものなのか」を指定します。日本語の語順と同じなので、直感的にわかりやすい形です。

文法ルール:前置修飾(分詞1語 → 名詞の前)

分詞が単独(1語)で名詞を修飾するとき → 名詞の前に置く

doing + 名詞 / done + 名詞

※ 日本語の「走っている少年」「壊された窓」と同じ語順。名詞の「種類」を指定する感覚です。
例文で確認:前置修飾
A crying baby is hungry.
泣いている赤ちゃんはお腹がすいている。(どんな赤ちゃん? → 泣いている種類の)
She works as a working mother.
彼女はワーキングマザーとして働いている。
Boiled eggs are easy to make.
ゆで卵は簡単に作れる。(どんな卵? → ゆでられた種類の)
Japan is a developed country.
日本は先進国だ。(develop = 発展する → 発展してしまった国)
ワンポイント:前置修飾でよく使われる分詞

現在分詞:working class(労働者階級)、English-speaking countries(英語を話す国々)、developing country(発展途上国)

過去分詞:spoken English(英語の話しことば)、written English(英語の書きことば)、used cars(中古車)、boiled water(沸騰した水)

これらは「どういう種類のものか」を指定する前置修飾の典型例です。

3後置修飾 ─ 名詞を後ろから「説明」する

分詞が他の語句を伴って長くなる場合は、名詞の後ろに置きます。英語の大原則「説明は後ろに」に従った形です。

文法ルール:後置修飾(分詞 + 他の語句 → 名詞の後ろ)

分詞が他の語句を伴うとき → 名詞の後ろに置く

名詞 + doing ... / 名詞 + done ...

※ 名詞をまず言い切り、「それはね...」と後ろから説明を加えるリズムです。
※ 関係代名詞 who / which + 動詞 で書き換えられることが多い。
ネイティブの感覚:「名詞 → 説明」のリズム

英語は「配置のことば」。後ろに置いた語句は、前の要素を説明するのが大原則です。

"the man" と言っただけでは誰かわからない。そこで "eating popcorn" と後ろに加え、「ポップコーンを食べている、ね」と説明する。これが後置修飾のリズムです。

日本語の「ポップコーンを食べている男性」と比べると語順が逆転しますが、英語では「まず主役を言い、あとから詳細を足す」のが自然な流れなのです。

例文で確認:後置修飾
The man eating popcorn is my brother.
ポップコーンを食べている男性は私の兄です。
The woman driving the bus is very kind.
そのバスを運転している女性はとても親切だ。
The things stolen from the museum were found.
博物館から盗まれたものが見つかった。
I have a friend living in China.
私には中国に住んでいる友人がいる。
落とし穴:前置修飾と後置修飾の判断ミス

分詞が他の語句を伴っているのに名詞の前に置いてしまうのはよくあるミスです。

誤:The in China living friend ...

正:The friend living in China ...

判断基準はシンプル:分詞1語なら前、語句を伴うなら後ろ。これを守ればOKです。

4現在分詞と過去分詞の使い分け

前置修飾でも後置修飾でも、名詞と分詞の関係が判断のカギです。名詞が動作を「する側」なのか「される側」なのかで、doing か done かが決まります。

文法ルール:doing と done の選び方

名詞が「〜する / 〜している」(能動関係)現在分詞 doing

名詞が「〜される / 〜された」(受動関係)過去分詞 done

※ 自動詞の過去分詞は「完了(〜してしまった)」の意味になる。
例:fallen leaves(落ちてしまった葉 = 落ち葉)、retired people(退職した人々)
名詞と動詞の関係 使う分詞
能動(名詞が〜する) 現在分詞 doing a sleeping baby(眠っている赤ちゃん)
受動(名詞が〜される) 過去分詞 done a broken leg(折られた脚)
完了(自動詞・〜した) 過去分詞 done fallen leaves(落ちた葉)
例文で確認:能動 vs 受動の判断
A ship carrying more than 500 passengers sank.
500人以上の乗客を乗せた船が沈んだ。(ship が carry する = 能動 → doing)
The main languages spoken in Canada are English and French.
カナダで話されている主な言語は英語とフランス語だ。(languages が speak される = 受動 → done)

5感情動詞の -ing と -ed ─ 最頻出の使い分け

感情を表す動詞(excite, surprise, interest など)は、-ing と -ed の使い分けで特に間違いが多い最頻出ポイントです。

ポイントは、英語の感情動詞が「〜させる」という他動詞であること。excite は「興奮する」ではなく「興奮させる」が本来の意味です。

ここが本質:原因なら -ing、感情を抱いた人なら -ed

-ing(exciting, surprising ...):感情の原因となる側に使う → 「〜させるような」

-ed(excited, surprised ...):感情を抱いた人に使う → 「〜した、〜して」

The game was exciting.(試合が興奮させた → 原因 = -ing)

I was excited.(私が興奮させられた → 人 = -ed)

動詞 -ing(原因に使う) -ed(人に使う)
surprise(驚かせる) surprising(驚かせるような) surprised(驚いて)
interest(興味を抱かせる) interesting(興味を起こさせる) interested(興味があって)
excite(興奮させる) exciting(わくわくさせる) excited(わくわくして)
bore(退屈させる) boring(退屈な) bored(退屈して)
disappoint(がっかりさせる) disappointing(がっかりな) disappointed(がっかりして)
tire(疲れさせる) tiring(疲れさせる) tired(疲れて)
落とし穴:人が主語でも -ing になるケース

「主語が人なら -ed」と機械的に覚えると間違えることがあります。

正:He is totally disappointing as the President.

(彼は大統領としてはまったくがっかりだ。= 彼が「がっかりさせる原因」→ -ing)

主語が人であっても、その人が感情の「原因」として述べられているなら -ing を使います。「人か物か」ではなく「原因か、感情を抱いた側か」で判断しましょう。

例文で確認
The class was very tiring.
その授業はとても疲れるものだった。(授業 = 原因 → -ing)
I was really tired after the class.
授業のあと、本当に疲れた。(私 = 疲れた人 → -ed)

6つながりマップ

名詞を修飾する分詞を学んだら、次のトピックへ進みましょう。

  • → G-7-2 補語としての分詞:分詞が SVC / SVOC の補語になるパターン。名詞の修飾と同じ「能動なら doing、受動なら done」の原則がそのまま使えます。
  • → G-7-4 分詞構文の基本:分詞が文全体を修飾する形。名詞修飾から一歩進んだ、分詞の応用です。
  • → G-5 不定詞:to 不定詞の形容詞的用法も名詞の後置修飾。分詞との違いを比較すると理解が深まります。
  • → G-9 関係詞:後置修飾の分詞は、関係代名詞 + 動詞で書き換えられることが多い。両者の関係を押さえておきましょう。

📋まとめ

  • 分詞は動詞が形容詞の働きをするもの。doing = 能動・進行done = 受動・完了
  • 前置修飾:分詞1語 → 名詞の前に置き、種類を「指定」する
  • 後置修飾:分詞+他の語句 → 名詞の後ろに置き、「説明」する
  • 名詞と動詞の関係が能動なら doing、受動なら done(自動詞は完了で done)
  • 感情動詞は原因 → -ing感情を抱いた人 → -ed
  • 覚え方の核心:「名詞が "する側" なら doing、"される側" なら done」

確認テスト

Q1. 分詞が名詞の前に置かれるのはどんなときですか。後ろに置かれるのはどんなときですか。

▶ クリックして解答を表示分詞が単独(1語)のときは名詞の前に置く(前置修飾)。分詞が他の語句を伴って長くなるときは名詞の後ろに置く(後置修飾)。

Q2. 次の空所に入るのは現在分詞・過去分詞のどちらですか。
the language ( ) in Brazil

▶ クリックして解答を表示過去分詞 spoken。language と speak の関係は「言語が話される」という受動関係なので、過去分詞を使う。the language spoken in Brazil(ブラジルで話されている言語)。

Q3. exciting と excited の違いを説明してください。

▶ クリックして解答を表示exciting は感情の「原因」に使い「わくわくさせるような」の意味。excited は感情を「抱いた人」に使い「わくわくした」の意味。excite が「興奮させる」という他動詞であることがポイント。

Q4. fallen leaves の fallen が過去分詞なのに「受動」ではなく「完了」の意味になるのはなぜですか。

▶ クリックして解答を表示fall は自動詞(「落ちる」)なので受動態を作れない。そのため、過去分詞は「受動(〜された)」ではなく「完了(〜してしまった)」の意味になる。fallen leaves = 落ちてしまった葉 = 落ち葉。

9入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

7-1-1 A 基礎 名詞修飾 空所補充

Look at the ( ) baby. She looks so peaceful.

  • (1) sleep
  • (2) slept
  • (3) sleeping
  • (4) to sleep
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(3) sleeping

解説

判断のポイント:baby と sleep の関係を考えます。

「赤ちゃんが眠っている」という能動関係なので、現在分詞 sleeping が正解です。単独の分詞なので名詞 baby の前に置かれています。

「眠っている赤ちゃんを見て。とても安らかに見える。」

B 発展レベル

7-1-2 B 発展 後置修飾 空所補充

The main languages ( ) in Canada are English and French.

  • (1) spoken
  • (2) speaking
  • (3) speak
  • (4) to speak
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) spoken

解説

判断のポイント:languages と speak の関係を考えます。

「言語が話される」という受動関係なので、過去分詞 spoken が正解です。in Canada という語句を伴っているので、名詞 languages の後ろに置かれています。

「カナダで話されている主な言語は英語とフランス語です。」

C 応用レベル

7-1-3 C 応用 感情動詞 空所補充

George looked ( ) when I asked him to sing.

  • (1) embarrassed
  • (2) embarrasses
  • (3) embarrassing
  • (4) embarrassment
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) embarrassed

解説

判断のポイント:George と embarrass(当惑させる)の関係を考えます。

George は感情を「抱いた人」であり、「当惑させられた」という受動関係です。したがって過去分詞 embarrassed が正解。looked は SVC の V で、embarrassed は主格補語です。

(3) embarrassing を選ぶと「ジョージは(周囲を)困らせるような顔をした」という別の意味になります。

「私がジョージに歌うように頼んだとき、彼は困ったような顔をした。」

得点の差がつくポイント
  • embarrass が「当惑させる」という他動詞であることを知っているかがカギ
  • 「人だから -ed」ではなく「感情を抱いた側だから -ed」と理解すること