第6章 動名詞

動名詞の基本用法
─ 動詞に -ing をつけて「名詞」として使いこなす

動名詞とは、動詞に -ing をつけて「〜すること」という名詞の働きをさせたもの。
主語・目的語・補語・前置詞の目的語として、文のあらゆる位置で活躍します。
ネイティブが動名詞に感じる「躍動感・リアリティ」の感覚を掴みましょう。

1動名詞とは? ─ 動詞を「名詞化」するしくみ

英語には、動詞に -ing をつけるだけで名詞の働きをさせる便利なしくみがあります。 これが動名詞です。

動名詞の成り立ち
speaking(話すこと)
speaking English(英語を話すこと)
speaking English fluently(英語を流暢に話すこと)

動詞だけでなく、動詞を中心とするフレーズがひとまとまりの「パッケージ」として名詞の役割を果たします。

動名詞は文中で主語・目的語・補語・前置詞の目的語として使われます。 to不定詞の名詞的用法と似た働きですが、ニュアンスには大きな違いがあります。

ネイティブの感覚:-ing 形 = 「躍動感・リアリティ」

動詞 -ing 形のイメージは「躍動感」。生き生きとした行為をありありと描写する形です。

同じ「〜すること」でも、to不定詞が「これから」の一般論を指すのに対し、動名詞は具体的にその行為が起きている(起きた)リアルな感覚を伴います。

この「動き」の感覚こそが、動名詞と to不定詞を分けている核心です。

文法ルール:動名詞の4つの役割

1. 主語Swimming is good exercise.(泳ぐことはよい運動だ)

2. 目的語:I enjoy swimming.(泳ぐことを楽しむ)

3. 補語:My hobby is swimming.(趣味は泳ぐことだ)

4. 前置詞の目的語:I'm good at swimming.(泳ぐことが得意だ)

※ 動名詞が主語になる場合は三人称単数扱い。述語動詞に -s をつける。
※ to不定詞は前置詞の目的語にはなれない。ここが動名詞との大きな違い。

2主語としての動名詞

動名詞を主語の位置に置くと、「〜することは」という意味になります。 to不定詞の名詞的用法と同じ使い方ですが、ニュアンスが異なります。

例文で確認
Making new friends is difficult.
新しい友だちを作ることは難しい。(具体的に「作っている」感覚がある)
Missing the bus means waiting for half an hour.
そのバスに乗り遅れることは30分待つことを意味する。
ネイティブの感覚:動名詞 vs to不定詞 ─ 主語での違い

動名詞(Making new friends is ...):転校先で実際に友だちを作ろうとしている場面が思い浮かぶ。具体的なできごとを想起させる。

to不定詞(To make new friends is ...):「新しい友だちを作るということは一般的に」という、抽象的・一般論的なニュアンス。

日本語訳ではどちらも「〜すること」で十分ですが、ネイティブはこの違いを感じ取っています。

落とし穴:動名詞が主語のとき、動詞は三人称単数

動名詞(句)が主語になるとき、三人称単数扱いになります。述語動詞に -s をつけ忘れないようにしましょう。

✕ 誤:Missing the bus mean waiting for half an hour.

✓ 正:Missing the bus means waiting for half an hour.

3目的語としての動名詞

動名詞は動詞の目的語としてもよく使われます。 ただし、動名詞しか目的語にとれない動詞がある点に注意が必要です。

例文で確認
I enjoy playing video games with my friends.
友だちとテレビゲームをして楽しむ。
I finished doing my homework.
宿題を終えた。
Would you mind opening the window?
窓を開けていただけますか。
文法ルール:動名詞のみを目的語にとる主な動詞

enjoy(楽しむ)/ finish(終える)/ stop(やめる)/ mind(嫌がる)/ avoid(避ける)/ deny(否定する)/ admit(認める)/ consider(よく考える)/ imagine(想像する)/ suggest(提案する)/ practice(練習する)/ postpone(延期する)/ give up(あきらめる)

※ これらの動詞の後ろに to不定詞を置くことはできない。
✕ I finished to do my homework. → ✓ I finished doing my homework.
ここが本質:なぜこれらの動詞は動名詞をとるのか

これらの動詞に共通するのは、「具体的な行為がリアルに存在している」ことを前提にしている点です。

「楽しむ」「終える」「やめる」「避ける」── どれもすでに行われている(行われた)行為があって初めて成り立つ動詞です。

だからこそ、「躍動感・リアリティ」のイメージをもつ -ing 形がピッタリなのです。

一方、to不定詞がとる動詞(hope, decide, promise など)は「これからすること」に目が向いています。詳しくは次の記事(G-6-2)で扱います。

ワンポイント:mind の使い方

Would you mind doing ...? の直訳は「〜することを嫌だと思いますか?」。そこから「〜していただけますか」という丁寧な依頼になります。

Would you mind my doing ...? は「私が〜してもよいですか」と許可を求める表現。my は動名詞の意味上の主語です。

4補語・前置詞の目的語としての動名詞

補語としての動名詞

be動詞の後ろに動名詞を置くと、「〜することだ」という補語になります。

例文で確認
My hobby is collecting old foreign stamps.
私の趣味は古い海外の切手を集めることだ。
落とし穴:補語の動名詞と進行形の区別

「be動詞 + -ing」は進行形にも見えるので、文脈で判断する必要があります。

My hobby is collecting stamps.(動名詞 = 補語:趣味は集めること)

I am collecting stamps.(現在分詞 = 進行形:集めているところ)

前置詞の目的語としての動名詞

前置詞の後ろには名詞がきます。動名詞は名詞の働きをするので、前置詞の後ろに置くことができます。 to不定詞は前置詞の目的語にはなれません。これは入試で非常に重要なポイントです。

例文で確認
He is fond of playing soccer.
彼はサッカーをするのが好きだ。
Ken is good at playing baseball.
ケンは野球をするのが得意だ。
Riding a motorcycle is quite different from driving a car.
バイクに乗ることは車を運転することとはまったく異なる。
落とし穴:前置詞の後ろに to不定詞は置けない

前置詞の目的語に使えるのは名詞か動名詞のみ。to不定詞は使えません。

✕ 誤:He is fond of to play soccer.

✓ 正:He is fond of playing soccer.

5動名詞の意味上の主語

「誰がその行為をするのか」を明示したいとき、動名詞の前に所有格または目的格を置きます。 これを動名詞の意味上の主語と呼びます。

文法ルール:動名詞の意味上の主語

所有格(my / his / the student's など)または目的格(me / him / the student など)を動名詞の前に置く。

所有格はフォーマル、目的格はカジュアルな場面で好まれる。

※ 一般的な内容や、誰の動作か明らかなときは省略できる。
例文で確認
My mother doesn't like me [my] playing video games.
母は私がテレビゲームをするのが好きではない。
I got angry at his talking on his cell phone throughout the meal.
食事中ずっと彼が携帯電話で話していたことに腹が立った。
Would you mind my turning the TV off?
(私が)テレビを消してもよいでしょうか。
ワンポイント:意味上の主語を省略できるケース

一般的な内容:Making cookies is a lot of fun.(クッキーを作るのはとても楽しい)→ 誰がやっても同じ内容なので不要。

動作主が明確:Would you mind turning the TV off?(テレビを消してくれますか)→ 消すのは当然 you なので省略可。

一方、Would you mind my turning the TV off? は「私が消してよいか」と動作主を強調。ここでは省略できない。

6動名詞の否定・完了・受動態

動名詞の否定形(not doing)

動名詞を否定するときは、動名詞の直前に not を置きます

例文で確認
I am ashamed of not having been kind to the old woman on the train.
電車の中で老婦人に親切にしなかったことを恥じている。

完了動名詞(having + 過去分詞)

述語動詞が表す時点よりも前のことを動名詞で表すとき、having + 過去分詞(完了動名詞)を使います。

例文で確認
He is proud of having been a well-known actor 20 years ago.
彼は20年前に有名な俳優だったことを誇りにしている。
文法ルール:完了動名詞と否定の語順

完了動名詞:having + 過去分詞(「〜したこと」= 述語動詞より前の出来事)

否定の完了動名詞not having + 過去分詞(「〜しなかったこと」)

※ not は必ず having の前に置く。having not done とするのは誤り。

受動態の動名詞(being + 過去分詞)

「〜されること」を表すには、being + 過去分詞を使います。

例文で確認
She dislikes being treated like a child.
彼女は子ども扱いされるのが嫌いだ。
Nobody likes being scolded.
誰も叱られるのは好きではない。
落とし穴:need doing は受動の意味

need / want に動名詞が続くと、「〜される必要がある」という受動の意味になります。

My computer needs fixing. = My computer needs to be fixed.(修理される必要がある)

✕ 誤:My computer needs being fixed.(being は不要)

7つながりマップ

動名詞の基本を学んだら、次のトピックへ進みましょう。

  • → G-6-2 動名詞 vs 不定詞:動名詞のみ / 不定詞のみを目的語にとる動詞、そして意味が変わる動詞(remember, forget, try など)を整理します。
  • → G-6-3 動名詞を用いた慣用表現:look forward to doing, It is no use doing, There is no doing など、入試頻出の表現を網羅します。
  • → G-5 不定詞:動名詞と対比される to不定詞。「これから」の感覚と「リアリティ」の感覚の使い分けを確認しましょう。
  • → G-7 分詞:同じ -ing 形でも、名詞を修飾する「現在分詞」と動名詞は役割が異なります。違いを確認しましょう。

📋まとめ

  • 動名詞 = 動詞 -ing 形を名詞として使う用法。「〜すること」と訳す
  • 文中で主語・目的語・補語・前置詞の目的語の4つの役割を果たす
  • ネイティブの感覚:動名詞には「躍動感・リアリティ」がある(to不定詞は「これから」の一般論)
  • enjoy / finish / stop / mind / avoid など、動名詞のみを目的語にとる動詞がある
  • 意味上の主語は所有格(my)または目的格(me)を動名詞の前に置く
  • 完了動名詞(having done)は述語動詞より前の出来事を表す。否定は not having done
  • 受動態の動名詞は being done。ただし need doing は「〜される必要がある」

確認テスト

Q1. 動名詞と to不定詞の「ニュアンスの違い」を一言で説明してください。

▶ クリックして解答を表示動名詞は「躍動感・リアリティ」── 具体的に行為が起きている感覚。to不定詞は「これから」── 一般的・抽象的な内容を指す感覚。

Q2. 次の英文の誤りを正してください。
He is fond of to play soccer.

▶ クリックして解答を表示to play → playing。前置詞 of の後ろには動名詞を使う。to不定詞は前置詞の目的語になれない。

Q3. 完了動名詞の否定形の正しい語順はどれですか。
A) having not done B) not having done

▶ クリックして解答を表示B) not having done が正しい。否定語 not は動名詞の直前に置く。「〜しなかったこと」を表す。

Q4. 次の英文を和訳してください。
Would you mind my sitting here?

▶ クリックして解答を表示「(私が)ここに座ってもよろしいですか。」── mind doing は「〜するのを嫌がる」。my は動名詞 sitting の意味上の主語で、「私が座ること」を嫌がりますか?→ 座ってもいいですか?

10入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

6-1-1 A 基礎 前置詞の目的語 空所補充

He is fond of (  ) soccer.

  • ① to play
  • ② play
  • ③ playing
  • ④ played
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

③ playing

解説

判断のポイント:前置詞 of の後ろには名詞の働きをする語句が来ます。

to不定詞(① to play)は前置詞の目的語にはなれません。動名詞 ③ playing が正解です。

「彼はサッカーをするのが好きだ」

B 発展レベル

6-1-2 B 発展 意味上の主語 空所補充

When I had dinner with Tom, I got angry at (  ) on his cell phone throughout the meal.

  • ① he talks
  • ② he talked
  • ③ his talking
  • ④ he talking
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

③ his talking

解説

判断のポイント:前置詞 at の後ろには文(SV)を直接続けることはできません。

前置詞の目的語として動名詞 talking を使い、その意味上の主語を所有格 his で示した ③ his talking が正解です。①② は文(SV)なので不可、④ は主格 he で意味上の主語を表すことはできないので不可。

「トムと食事をしたとき、その間ずっと彼が携帯電話で話していたことに腹を立てた」

C 応用レベル

6-1-3 C 応用 完了動名詞の否定 空所補充

I am ashamed (  ) kind to the old woman on the train.

  • ① not of having been
  • ② of having been not
  • ③ of having not been
  • ④ of not having been
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

④ of not having been

解説

判断のポイント:2つの時間のずれと、否定語の語順がポイントです。

「恥じている(現在)」と「親切にしなかった(過去)」は時間がずれているので完了動名詞(having been)を使います。さらに否定語 not は動名詞の直前に置くので、前置詞 of の直後に not が来ます。

正しい語順は of not having been(④)です。

「電車の中で老婦人に親切にしなかったことを恥じている」

得点の差がつくポイント
  • ③ of having not been を選びがちだが、not は having の前に置くのがルール
  • 完了動名詞の否定は「not having done」の語順を確実に覚える