第3章 助動詞

mayの用法
─ 「開かれた可能性」から許可と推量を理解する

May I ...? は丁寧に許可を求める表現。It may rain. は推量を表す表現。
一見バラバラに見える2つの用法ですが、根っこは同じ「自由に開かれた可能性」という感覚です。
mayのコアイメージを掴めば、許可も推量も may well も、すべてが一本の線でつながります。

1mayの核心イメージ

助動詞 may には「許可」と「推量」という2つの主要な意味があります。 日本語の参考書ではこれらを別々に暗記させがちですが、 ネイティブの頭の中ではひとつの感覚から自然に生まれています。

💡 ここが本質:may = 「開かれた可能性」─ 道が開いている、制限がない感覚

may の核心にあるのは「道が開いている」「制限されていない」というイメージです。

この「開かれた状態」が、場面に応じて2つの意味を生みます。

許可:「あなたがそうする道は開いていますよ」→ 〜してもよい

推量:「その可能性への道は開いている」→ 〜かもしれない

根っこはどちらも同じ──「可能性が開かれている」という一点です。

🧠 ネイティブの感覚:許可は「道を開いてあげる」、推量は「可能性が開いている」

英語のネイティブスピーカーが may を使うとき、許可と推量を「別物」とは意識していません。

許可の場面:話し手が相手に対して「その方向に進んでいいよ」と道を開く。You may go. = 「行く道を開いてあげる」

推量の場面:話し手が状況を見て「その方向もありうる」と可能性が開いていることを述べる。It may rain. = 「雨が降る可能性は開いている」

may は can のような「能力・実力」ではなく、must のような「圧力・強制」でもありません。ただ静かに「開いている」だけ── それが may の感覚です。

この「開かれた可能性」のイメージを持っておけば、以降のセクションで登場する 許可・推量・慣用表現のすべてを、ひとつの感覚から理解することができます。

2許可のmay ─「道を開いてあげる」

may の「許可」用法は、話し手が相手に対して行為への道を開いてあげる感覚です。 「〜してもよい」「〜してもよろしいですか」という意味で使われます。

📏 文法ルール:許可のmay

May I + 動詞の原形 ...?(〜してもよろしいですか)── 許可を求める

You may + 動詞の原形 ...(〜してもよい)── 許可を与える

may not + 動詞の原形(〜してはいけない)── 不許可

※ May I ...? は Can I ...? よりフォーマルな表現。
※ may not は「禁止」を表し、don't have to(〜しなくてよい)とは異なる。
📝 例文で確認
May I sit here?
ここに座ってもよろしいですか。(丁寧な許可の依頼)
You may go now.
もう行ってよろしい。(話し手が許可を与えている)
You may not use your phone during the exam.
試験中に携帯電話を使ってはいけません。(不許可 = 禁止)
🔬 ワンポイント:May I ...? vs Can I ...?

どちらも許可を求める表現ですが、ニュアンスが異なります。

May I ...?:フォーマル。目上の人、初対面、公式な場面向き。「〜してもよろしいでしょうか」

Can I ...?:カジュアル。友人、家族、くだけた場面向き。「〜していい?」

入試の英作文や面接では May I ...? を使うのが無難です。

なお、厳密な文法書では「can は能力だから許可には使えない」と書かれることがありますが、現代英語では口語での Can I ...? は完全に定着しています。

⚠️ 落とし穴:may not と don't have to の混同

may not と don't have to はまったく意味が違います。

✕ 混同注意:You may not leave. = 「出て行ってはいけない」(禁止)

○ 区別:You don't have to leave. = 「出て行かなくてもよい」(不必要)

may not は「道を閉じる」= 禁止です。一方、don't have to は「義務がない」だけで、道は開いています。

3推量のmay ─「可能性が開いている」

may の推量用法は、「〜かもしれない」「〜という可能性がある」という意味です。 may のコアイメージ「開かれた可能性」がそのまま現れた用法で、 「そうなる道が開いている(= ありうる)」という話し手の判断を表します。

📏 文法ルール:推量のmay

S + may + 動詞の原形(〜かもしれない)── 現在・未来の推量

S + may have + 過去分詞(〜だったかもしれない)── 過去の推量

※ may の推量は「50%程度の可能性」のイメージ。must(〜に違いない:90%)より確信度が低い。
※ may have done は「過去のことについて今、推量している」形。
📝 例文で確認
It may rain tomorrow.
明日は雨が降るかもしれない。(未来の推量)
She may be busy right now.
彼女は今、忙しいかもしれない。(現在の推量)
He may have been right.
彼は正しかったのかもしれない。(過去の推量)
They may have missed the train.
彼らは電車に乗り遅れたのかもしれない。(過去の推量)

推量の確信度の比較

助動詞 確信度 イメージ
must 約90% 「〜に違いない」 He must be tired.
may 約50% 「〜かもしれない」 He may be tired.
might 約30% 「ひょっとすると〜」 He might be tired.
can 理論的可能性 「〜ということもありうる」 Anyone can make mistakes.
⚠️ 落とし穴:may not は「部分否定」─ must not と混同しない

推量の may not と must not は否定の仕方がまったく異なります。

may not = 「〜ではないかもしれない」(可能性の否定 → 部分否定的)

must not(推量) = 「〜ではないに違いない」(強い否定の推量) ※ただし must not は「禁止」の意味で使われることが多い

cannot = 「〜のはずがない」(可能性の全否定)

He may not be at home. = 「家にいないかもしれない」(いない可能性もある)

He cannot be at home. = 「家にいるはずがない」(いる可能性を全否定)

推量の否定を強めたいときは cannot を使います。may not は「あくまで可能性のひとつ」にすぎません。

🔬 ワンポイント:may と might の違い

might は may の過去形ですが、推量の用法では時制の違いではなく確信度の違いを表します。

may:「〜かもしれない」── 可能性がそこそこある

might:「ひょっとすると〜かもしれない」── mayより可能性が低い・控え目

might は may を「過去方向にずらす」ことで「距離感」を出した形です。仮定法と同じ原理(G-10参照)で、距離をとることにより、確信度が下がった控え目な表現になります。

4may well / may as well ─ 慣用表現

may を使った慣用表現のうち、入試で特に重要なのが may wellmay (just) as well です。 見た目は似ていますが、意味はまったく異なるので注意しましょう。

📏 文法ルール:may well / may as well

may well + 動詞の原形 ──(2つの意味あり)

① 「〜するのももっともだ」(当然の判断)

② 「おそらく〜だろう」(推量の強調)

may (just) as well + 動詞の原形

「〜した方がいい」「〜するのと同じだ」(消極的な提案・比較)

※ may well は well が「十分に・当然」の意味を添えて may を強化。
※ may as well は「他に良い選択肢がないなら、〜しても同じだ」という消極的ニュアンス。
※ might as well も同義で使われる。
📝 例文で確認:may well
You may well be proud of your son.
息子さんを誇りに思うのももっともだ。(当然の判断)
What he says may well be true.
彼の言っていることはおそらく本当だろう。(推量の強調)
📝 例文で確認:may as well
We may as well start without him.
彼を待たずに始めた方がいいだろう。(消極的な提案)
There is nothing to do here. We might as well go home.
ここにいてもすることがない。帰った方がいいだろう。(他に良い選択肢がない)
🧠 ネイティブの感覚:may well と may as well の違い

may well:may(開かれた可能性)+ well(十分に)= 「可能性が十分にある」→ 「もっともだ / おそらくそうだろう」

may as well:may(してもよい)+ as well(同様に)= 「〜しても同じだ」→ 「(どうせなら)〜した方がいい」

may well は肯定的な強調、may as well は消極的な提案。ここが最大の違いです。

⚠️ 落とし穴:may well と may as well の取り違え

入試では well と as well を読み間違えるミスが頻発します。

✕ 誤:may well = 「〜した方がいい」

○ 正:may well = 「〜するのはもっともだ / おそらく〜だろう」

○ 正:may as well = 「〜した方がいい」(消極的)

as の有無で意味が変わることに注意。問題文を慎重に読みましょう。

5つながりマップ

mayの用法を学んだら、次のトピックへ進みましょう。

  • → G-3-2 mustの用法:推量の must(〜に違いない)は may(〜かもしれない)より確信度が高い。セットで理解すると推量の使い分けが明確になります。
  • → G-3-5 canの用法:can も「可能性」を表しますが、mayとはニュアンスが異なります。canは「理論的にありうる」、mayは「実際にありうる」。
  • → G-3-10 助動詞 + have done:may have done(〜だったかもしれない)の詳細。must have done / should have done との比較も扱います。

📋まとめ

  • mayの核心 = 「開かれた可能性」── 道が開いている、制限がない感覚
  • 許可のmay:May I ...?(〜してもよいですか)/ You may ...(〜してよい)── 相手に道を開く
  • May I ...? は Can I ...? よりフォーマルな表現
  • 推量のmay:S + may + 原形(〜かもしれない:確信度約50%)
  • may have + 過去分詞:過去の推量(〜だったかもしれない)
  • may not = 「〜ではないかもしれない」(部分否定的)≠ cannot(〜のはずがない:全否定)
  • may well = 「〜するのはもっともだ / おそらく〜だろう」(肯定的強調)
  • may as well = 「〜した方がいい」(消極的提案)── as の有無で意味が変わる

確認テスト

Q1. mayの核心イメージを一言で言うと何ですか。

▶ クリックして解答を表示「開かれた可能性」。道が開いている・制限がないという感覚。ここから許可(道を開いてあげる)と推量(可能性が開いている)の2つの意味が生まれる。

Q2. 次の2文の意味の違いを説明してください。
(a) He may not come. / (b) He cannot come.

▶ クリックして解答を表示(a) may not = 「来ないかもしれない」(来ない可能性がある、という部分否定的な推量)。(b) cannot = 「来るはずがない / 来ることはできない」(可能性の全否定 or 能力的に不可能)。may not はあくまで可能性のひとつ、cannot は可能性を全否定している。

Q3. may well と may as well の違いを説明してください。

▶ クリックして解答を表示may well = 「〜するのはもっともだ / おそらく〜だろう」(肯定的な強調)。may as well = 「〜した方がいい」(他に良い選択肢がないときの消極的な提案)。as の有無で意味がまったく変わる。

Q4. 次の英文を日本語に訳してください。
She may have forgotten about the meeting.

▶ クリックして解答を表示「彼女は会議のことを忘れていたのかもしれない。」── may have + 過去分詞は「過去の推量」を表す。過去に起こったことについて、今の時点で「〜だったかもしれない」と推量している。

8入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

3-3-1 A 基礎 推量のmay 空所補充

It (  ) rain this afternoon, so you should take an umbrella.

  • ① must
  • ② may
  • ③ will
  • ④ shall
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

② may

解説

判断のポイント:後半の so you should take an umbrella(だから傘を持っていくべきだ)から、「雨が降る可能性がある」という推量の意味が求められています。

「〜かもしれない」という推量には may を使います。must だと「降るに違いない」と確信度が高すぎ、will だと「降るだろう」と断定的すぎます。

「今日の午後は雨が降るかもしれないので、傘を持っていくべきだ。」

B 発展レベル

3-3-2 B 発展 may well 空所補充

You (  ) be surprised at the news. It was really shocking.

  • ① may well
  • ② may as well
  • ③ may not
  • ④ cannot
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

① may well

解説

判断のポイント:後半の It was really shocking.(本当に衝撃的だった)から、「驚くのは当然だ / もっともだ」という文脈です。

may well = 「〜するのももっともだ」が適切。may as well は「〜した方がいい」(消極的提案)で文脈に合いません。

「そのニュースに驚くのももっともだ。本当に衝撃的だったのだから。」

得点の差がつくポイント
  • ② may as well を選ぶミスが多い。well と as well で意味がまったく違うことを理解しているかが問われる
  • may well の「もっともだ」の意味を知っているかが鍵

C 応用レベル

3-3-3 C 応用 may have done 正誤判断

次の英文の下線部に誤りがある場合、正しく直しなさい。誤りがなければ「正しい」と答えなさい。

She may have not finished her homework yet.

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

may have not finished → may not have finished

解説

判断のポイント:助動詞 + have + 過去分詞の否定形では、not は助動詞の直後に置きます。

✕ 誤:may have not finished(have と過去分詞の間に not を置いてしまっている)

○ 正:may not have finished(助動詞 may の直後に not)

「彼女はまだ宿題を終えていないかもしれない。」

助動詞の否定は常に「助動詞 + not」の語順。これは may / must / should / could すべてに共通するルールです。

得点の差がつくポイント
  • 口語では may have not ... という語順も稀に聞かれるが、文法的には may not have ... が正しい
  • 助動詞 + not + have + 過去分詞の語順は入試頻出。正誤問題で狙われやすい