英語は語順のことば。主語の次に動詞が来る── この基本語順をあえて崩す操作が「倒置」です。
語順を崩すことには必ず理由があります。それは感情の高まりであったり、否定の強調であったり。
倒置のパターンを知れば、入試の難問も「なぜこの語順なのか」が見えてきます。
英語の基本語順は「主語 + 動詞(+ 目的語/補語)」です。この語順を変えて、主語と助動詞(またはbe動詞)を入れ替える操作を倒置(inversion)と呼びます。
英語では文中の位置によって意味が決まります。この設計図である語順を動かすことは、英語において大変重要な意味を持ちます。
倒置には常に感情の動きが感じ取られます。基本語順からの逸脱── それが感情の高まりと連動しているのです。
たとえば "I am glad to see you."(会えてうれしい)は通常の文ですが、"Am I glad to see you!"(会えてうれしいよ!)は感極まった状況で使われます。
1. 主語-助動詞倒置:疑問文と同じ語順になる。否定語句が文頭、So/Neither の文など。
2. 主語-動詞倒置:場所の副詞が文頭に来るとき、動詞と主語が入れ替わる。
入試で圧倒的に重要なのは1のタイプです。
否定の意味をもつ副詞や副詞句を文頭に置くと、そのあとは疑問文と同じ語順(助動詞 + 主語)になります。否定的な発言は容易に感情を喚起するため、倒置がよく見られます。
否定語句 + 助動詞 [be動詞] + 主語 + ...
「(否定語句)+疑問文の語順」で強い感情・強調を表す
not only A but (also) B(AだけでなくBも)で、AとBの両方に文が来る場合、not only が文頭に置かれるとAの文だけ倒置形になります。
Little did S think [know / dream / imagine] that ...「…するなどとSは思ってもみなかった」は一種の慣用表現です。
この little は「ほとんど~ない」ではなく、慣用的に「決して~ない」という強い否定を表します。
等位接続詞 nor のあとに文が来る場合も倒置形になります。見落としやすいので注意しましょう。
○ 正:I did not understand a word of it, nor did I know the story.
「一言もわからなかったし、そのストーリーも知らなかった」
only + 副詞表現が文頭に来ると、そのあとは倒置形になります。only が「~してやっと」「~だけ」という限定の意味を強調する働きを持ちます。
相手の発言に対して「私もそうだよ」「私もそうではない」と応答するときに、So / Neither [Nor] を使った倒置文を使います。
肯定文を受けて:So + 助動詞 [be動詞] + S.「Sもまた…である」
否定文を受けて:Neither [Nor] + 助動詞 [be動詞] + S.「Sもまた…でない」
So + 助動詞 + S.(倒置):「Sもまた~だ」(相手に同意)
So + S + 助動詞.(通常語順):「確かにSは~だ」(事実の確認・強調)
○ 倒置:"He is smart." — "So is she."(彼女もそうだよ)
○ 通常:"He is smart." — "So he is."(確かにそうだね)
場所を表す前置詞句や方向の副詞(here, there, up, down など)が文頭に来ると、動詞と主語が入れ替わることがあります。これは主語-助動詞倒置とは異なり、主語-動詞倒置です。
場所を表す前置詞句 [副詞] + V + S
「(場所)に…がある / いる」
主語が代名詞の場合、場所の副詞が文頭に来ても通常は倒置しません。
Here it comes!(ほら来た!)── Here comes it! とは言わない。
倒置を学んだら、次のトピックへ進みましょう。
Q1. 否定語句が文頭に来たとき、あとの語順はどうなりますか。
Q2. "I like coffee." に対して「私もです」と倒置で答えてください。
Q3. "So he is." と "So is he." の意味の違いを説明してください。
Q4. 次の文の誤りを正してください。
Here comes it!
この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。
Never ( ) I dream of making a fortune by investing in the stock market.
② did
判断のポイント:文頭の否定副詞 Never に注目。そのあとは倒置形(助動詞 + 主語)になります。
空所のあとに動詞の原形 dream があるので、一般動詞を受ける助動詞 did を選びます。① had や ④ have なら dream は dreamed / dreamt(過去分詞)になるはずです。
「株式市場に投資して財産を築くなどとは、夢にも思わなかった」
As fuel prices rose, bus companies raised their fares and ( ).
① so did the airlines
判断のポイント:前文の bus companies raised their fares(肯定文・過去形)を受けて「航空会社も同様にした」と言いたいので、So + 助動詞 + S. の形を使います。
肯定文なので So を使い、raised(一般動詞の過去形)を受けて助動詞は did。① so did the airlines が正解です。
= the airlines raised their fares, too.
労働者は賃上げを要求するだけでなく、労働時間の削減も望んでいる。
Not ( )( )( )( )( ) a pay increase, but they also want reduced hours.
[ only / do / the workers / want ]
Not only do the workers want a pay increase, but they also want reduced hours.
判断のポイント:not only A but also B の構文で、not only が文頭に置かれているので、Aの文は倒置形になります。
元の文は The workers not only want a pay increase, but ... で、not only を文頭に出すと Not only do the workers want ... という疑問文の語順になります。
but 以下の B の文(they also want ...)は倒置にならないことに注意しましょう。