第11章 否定

全否定と部分否定
─ 「すべて...ない」と「すべてが...とは限らない」の違い

"Not all students passed the exam." は「全員が合格したわけではない」であって「全員が不合格」ではありません。
全否定部分否定の違いは入試最頻出テーマの1つ。
否定の範囲が「全体」なのか「一部」なのかを正確に見分ける力をつけましょう。

1全否定と部分否定の考え方

否定には、すべてを否定する全否定と、一部だけを否定する部分否定があります。 この2つの区別は、日本語の「すべて...ない」があいまいなため、特に日本人学習者がつまずきやすいポイントです。

💡 ここが本質:全否定 vs 部分否定

全否定:「どれも/誰も...ない」── 例外なくすべてを否定

部分否定:「すべてが...というわけではない」── 一部は当てはまる

英語では全体を表す語(all, every, both など)と not の組み合わせが部分否定になります。全否定には no / none / neither などの専用語を使います。

🧠 ネイティブの感覚:not は後ろを否定する

G-11-1 で学んだとおり、not は常にその後ろを否定します。

Not all students passed. → all(全員)を否定 →「全員ではない」= 部分否定

No students passed. → students 自体を否定 →「生徒は0人」= 全否定

not が「強い意味の語」(all, every, both, always など)を否定すると、その「強さ」が打ち消されて「部分的に」となるのです。

2全否定の表現(3つ以上 / 2つ)

全否定は「例外なくすべてを否定」するものです。対象が3つ以上の場合と2つの場合で使う語が異なります。

📏 文法ルール:全否定の表現

3つ以上の場合:

not ... any / no + 名詞 / none (of A) / nothing / nobody / no one

「すべて...ない / どれも...ない / 何も...ない / 誰も...ない」

2つの場合:

not ... either / neither (+ 単数名詞)

「どちらも...ない」

3つ以上を全否定

📝 例文で確認
No pets are allowed in the store.
その店ではペットは一切持ち込み禁止だ。
None of the students failed the exam.
その生徒の中で不合格者は一人もいなかった。
Nothing can stop me now.
もう何も私を止めることはできない。

2つを全否定

📝 例文で確認
I don't like either of the colors.
その2色のどちらも好きではない。
Neither answer is correct.
どちらの答えも正しくない。
🔬 ワンポイント:not A or B = neither A nor B

not A or B は「AもBも...ない」という全否定を表します。

I don't know or care what he said.「彼が何を言ったか知らないし、気にもならない」

= I neither know nor care what he said.

3部分否定の表現(not all / not every / not both)

部分否定は、全体を表す語(all, every, both)と not を組み合わせた表現です。 「すべてが...というわけではない」── つまり例外がある、ということを意味します。

📏 文法ルール:部分否定の表現

3つ以上の場合:

not ... all / not every + 単数名詞 → 「すべてが...というわけではない」

2つの場合:

not ... both → 「両方とも...というわけではない」(一方は当てはまる)

※ every の後ろは常に単数名詞。everyone, everything も単数扱い。
📝 例文で確認:部分否定
Not all the students handed in their paper.
すべての学生が論文を提出したわけではない。(提出しなかった学生もいる)
Not everyone wants to go to the beach in summer.
夏にだれもが浜辺に行きたがるわけではない。
Not both of my parents are traveling with me. Only my mother.
両親が2人とも一緒に旅行するわけではない。母だけだ。
⚠️ 落とし穴:全否定と部分否定の混同

日本語の「すべて...ない」は、全否定にも部分否定にも解釈できてしまいます。英語ではこの2つが明確に区別されます。

全否定:None of the students passed.「生徒は誰も合格しなかった」

部分否定:Not all the students passed.「全員が合格したわけではない」

「not + all/every/both」を見たら部分否定、「no / none / neither」を見たら全否定と判断しましょう。

全否定と部分否定の一覧表

全否定 部分否定
3つ以上 no + 名詞 / none / nothing / nobody
not ... any
「すべて...ない」
not ... all / not every + 単数名詞
「すべてが...とは限らない」
2つ neither (+ 単数名詞)
not ... either
「どちらも...ない」
not ... both (+ 複数名詞)
「両方とも...とは限らない」

4副詞を用いた部分否定

all や every だけでなく、副詞(always, necessarily, completely など)と not を組み合わせても部分否定になります。 これらの副詞はいずれも「強い意味」をもつ語で、not がその強さを打ち消します。

📏 文法ルール:副詞を用いた部分否定

not always:「いつも...とは限らない」

not necessarily:「必ずしも...とは限らない」

not completely [entirely / altogether / wholly / quite]:「完全に...とは限らない」

📝 例文で確認
Watching TV is not necessarily wrong.
テレビを見ることは必ずしも悪いことではない。
That's not always the case.
それがいつも当てはまるとは限らない。
I don't completely agree with you.
あなたに完全に同意するわけではない。

5つながりマップ

全否定と部分否定を学んだら、次のトピックへ進みましょう。

  • → G-11-1 否定文の作り方:not の基本的な位置と否定文の3パターン。まだ不安な人は復習を。
  • → G-11-3 「強い意味の単語」と否定のコンビネーション:hardly / scarcely / rarely など、not を使わずに否定を表す準否定語を学ぶ。
  • → G-14 代名詞:some / any / no / every の違いは代名詞の章とも密接に関連。

📋まとめ

  • 全否定 = 例外なくすべてを否定(no / none / neither / nothing / nobody)
  • 部分否定 = 一部だけ否定。not + all / every / both で「すべてが...とは限らない」
  • 2つの場合:全否定 = neither / not ... either、部分否定 = not ... both
  • 副詞の部分否定:not always(いつも...とは限らない)、not necessarily(必ずしも...とは限らない)
  • 判断の鉄則:not + 全体語 = 部分否定no系の語 = 全否定

確認テスト

Q1. 全否定と部分否定の違いを簡潔に説明してください。

▶ クリックして解答を表示全否定は「どれも/誰も...ない」と例外なくすべてを否定するもの。部分否定は「すべてが...というわけではない」と一部だけを否定し、例外があることを示すもの。

Q2. "Not everyone agreed." を日本語に訳してください。

▶ クリックして解答を表示「全員が賛成したわけではない」(部分否定)。not + everyone なので、賛成しなかった人もいるが、賛成した人もいるという意味。

Q3. 「どちらの答えも正しくない」を英語にしてください。

▶ クリックして解答を表示Neither answer is correct. 2つの場合の全否定は neither を使う。not ... either でも可(例:I don't like either answer.)

Q4. not necessarily はどのような意味を表しますか。

▶ クリックして解答を表示「必ずしも...とは限らない」という部分否定。necessarily(必ず)という強い意味の副詞を not で打ち消して、例外の存在を示す表現。

9入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

11-2-1 A 基礎 部分否定 空所補充

(  ) wants to go to the beach in summer.

  • ① Nobody
  • ② Not anyone
  • ③ Not all
  • ④ Not everyone
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

④ Not everyone

解説

判断のポイント:「だれもが...するわけではない」は部分否定。

述語動詞が wants(三人称単数)なので、単数扱いの ④ Not everyone が正解です。③ Not all は複数扱い(Not all people want ...)なので動詞の形が合いません。

「夏にだれもが浜辺に行きたがるわけではない」

B 発展レベル

11-2-2 B 発展 全否定・2つ 空所補充

"You can get this sofa in two different colors, tomato red or lemon yellow."
"Well, I don't really like (  ) of the colors. They're too bright."

  • ① all
  • ② neither
  • ③ both
  • ④ either
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

④ either

解説

判断のポイント:2色の「どちらも好きではない」は2つの全否定。

2つの場合の全否定は not ... either または neither です。空所の前に don't(否定)があるので、④ either が正解。③ both だと「両方とも好きなわけではない=片方は好き」という部分否定になり、「明るすぎる」という後続文と矛盾します。

得点の差がつくポイント
  • ③ both を選ぶと部分否定になり、文脈に合わない
  • not ... either(全否定)と not ... both(部分否定)の区別が鍵

C 応用レベル

11-2-3 C 応用 副詞の部分否定 空所補充

Watching TV is not (  ) wrong, but it is important for children to form the habit of thinking for themselves.

  • ① every
  • ② anytime
  • ③ absolute
  • ④ necessarily
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

④ necessarily

解説

判断のポイント:「必ずしも悪いことではない」という部分否定の文脈。

not necessarily で「必ずしも...とは限らない」という部分否定を表します。④ necessarily が正解。but 以下で「しかし子どもにとっては自分で考える習慣が重要」と続くことからも、完全否定ではなく部分否定が適切です。

「テレビを見ることは必ずしも悪いことではないが、子どもにとっては自分で考える習慣を形成することが重要だ」

得点の差がつくポイント
  • not necessarily / not always / not completely など、副詞の部分否定パターンを知っているかが問われる
  • but 以下の文脈から「部分否定」が適切だと判断する読解力も必要