第10章 仮定法

wish / If only + 仮定法
─ 「〜だったらなあ」を表す表現

if節を使わなくても仮定法は使えます。
I wish ... / If only ... / S would rather ... は、事実に反する願望を表す定番表現。
「距離をとる」という仮定法の原理がそのまま応用されます。

1S wish + 仮定法 ─ 基本の3パターン

wish は want や hope よりも現実感が薄く、後続の節に仮定法を要求する動詞です。 いつものように、距離を置くことによって「実際はそうではない」を表します。

📏 文法ルール:S wish + 仮定法の3パターン

(1) S wish + S' + 動詞の過去形(仮定法過去)
「S'が〜すればいいのにとSは思う」── 願う時点と同時の内容

(2) S wish + S' + had + 過去分詞(仮定法過去完了)
「S'が〜すればよかったのにとSは思う」── 願う時点より前の内容

(3) S wish + S' + would / could + 動詞の原形
「S'が(これから)〜すればいいのにとSは思う」── 願う時点より後の内容

※ be動詞は were を使う(仮定法過去のルールと同じ)。
📝 例文で確認
I wish I had a brother.
兄弟がいればいいのになあ。(現在の願望 → 仮定法過去)
I wish I were rich.
お金持ちだったらなあ。(現在の願望 → 仮定法過去。be動詞はwere)
I wish I hadn't eaten so much.
あんなに食べなければよかったのに。(過去の願望 → 仮定法過去完了)
I wish he would work more quickly.
彼がもっと速く仕事をしてくれればいいのに。(未来の願望 → would do)
⚠️ 落とし穴:wishが過去形wishedになっても仮定法は変わらない

wish が wished に変わっても、後続の仮定法は時制の一致を受けません

I wish I had a car. → I wished I had a car.(had のまま。had had にはならない)

I wish I had finished my homework. → I wished I had finished my homework.(そのまま)

🧠 ネイティブの感覚:wishは「現実と距離のある願い」

wishは「こうだったらいいのに(でも実際は違う)」という、現実との距離を含んだ願いです。だからこそ仮定法と一緒に使われるのです。

一方、hopeは「実現する可能性がある願い」なので、直説法(ふつうの時制)が続きます。

I hope it will be sunny tomorrow.(晴れるといいな = 可能性あり)

I wish it were sunny today.(今日晴れだったらなあ = 実際は曇り/雨)

2If only + 仮定法 ─ wishより強い願望

If only は wish と同じ意味ですが、より強い願望を表します。「〜でさえあったらなあ!」という切実なニュアンスです。

📏 文法ルール:If only + 仮定法

(1) If only + S + 動詞の過去形!(仮定法過去)「Sが〜するならなあ」

(2) If only + S + had + 過去分詞!(仮定法過去完了)「Sが〜していたらなあ」

(3) If only + S + would / could + 動詞の原形!「Sが〜すればいいのになあ」

※ I wish + 仮定法 の同意表現として覚えてよい。感嘆符の代わりにピリオドを使うこともある。
📝 例文で確認
If only there were forty-eight hours in a day!
1日が48時間あればいいのに!
If only Bob were here!
ああ、ボブがここにいたらなあ!
If only I had studied English much harder when I was young!
若いころもっと一生懸命英語を勉強していたらなあ。

3S would rather + 仮定法 ─ 丁寧な依頼

S would rather + S' + 仮定法 は、「S'が〜してほしいのですが」と、相手に対して丁寧に依頼するニュアンスを表します。

📏 文法ルール:S would rather + S' + 仮定法

(1) S would rather + S' + 動詞の過去形(仮定法過去)
「S'が〜してほしいのですがとSは思う」

(2) S would rather + S' + had + 過去分詞(仮定法過去完了)
「S'が〜してほしかったのですがとSは思う」

※ S wish + 仮定法 とほぼ同意の表現。
※ 注意:would rather + 原形(自分が〜したい)との混同に注意。後ろにS'(別の主語)が来る場合が仮定法。
📝 例文で確認
"May I smoke here?" "I'd rather you didn't."
「ここでタバコを吸ってもいいですか」「遠慮していただけませんか」
I would rather you finished the work by Friday.
金曜日までには仕事を終えていただきたいのですが。
🔬 ワンポイント:would rather + 原形(自分が〜したい)との区別

I would rather stay home.(私は家にいたい)── 後ろに原形が直接続く。自分の希望。

I would rather you stayed home.(あなたに家にいてほしい)── S' + 仮定法過去。相手への丁寧な依頼。

後ろに「別の主語 + 過去形」が続いたら仮定法のパターンです。

4つながりマップ

  • → G-10-5 as if + 仮定法 / It is time + 仮定法:仮定法が使われるその他の重要表現を学びます。
  • → G-10-1 仮定法過去 / G-10-2 仮定法過去完了:wish / If only の後に続く仮定法の基本形を確認しましょう。
  • → G-3 助動詞:would rather の would は助動詞の過去形。「距離感」の原理は助動詞の章と共通です。

📋まとめ

  • S wish + 仮定法:現在の願望(過去形)、過去の願望(過去完了形)、未来の願望(would/could do)の3パターン
  • If only + 仮定法:wish と同意だがより強い願望を表す
  • S would rather + S' + 仮定法:相手への丁寧な依頼。would rather + 原形(自分の希望)との区別に注意
  • wishが過去形 wished になっても、後続の仮定法は時制の一致を受けない
  • wish = 「現実と距離のある願い」、hope = 「実現可能性のある願い」

確認テスト

Q1. wish と hope の違いを仮定法の観点から説明してください。

▶ クリックして解答を表示wishは「実際はそうではない」という現実との距離を含んだ願いなので仮定法が続く。hopeは実現する可能性がある願いなので直説法(ふつうの時制)が続く。

Q2. I wish I (  ) a car. 空所に入る語は?

▶ クリックして解答を表示had。現在の事実に反する願望なので仮定法過去(動詞の過去形)を使う。「車を持っていればいいのになあ(実際には持っていない)」

Q3. If only と wish の違いは何ですか。

▶ クリックして解答を表示意味は同じだが、If onlyの方がwishより強い願望を表す。「〜でさえあったらなあ!」という切実なニュアンス。

Q4. I'd rather you didn't smoke here. の仮定法の種類は?

▶ クリックして解答を表示仮定法過去。would ratherの後ろに「別の主語 + 過去形」が続く形。「ここでタバコを吸わないでほしいのですが」という現在の事実に反する願望(=丁寧な依頼)。

7入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

10-4-1 A 基礎 wish + 仮定法 空所補充

He wishes he (  ) somewhere more exciting.

  • ① live
  • ② lives
  • ③ lived
  • ④ has lived
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

③ lived

解説

判断のポイント:wishes に注目。wishの後ろには仮定法が続きます。

「もっと刺激的な場所に住んでいればいいのに」は現在形 wishes と同時の内容なので、仮定法過去の ③ lived が正解です。

B 発展レベル

10-4-2 B 発展 wish + 仮定法過去完了 空所補充

I wish I (  ) enough money to buy the house around this time last year.

  • ① had
  • ② could have
  • ③ had had
  • ④ should have
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

③ had had

解説

判断のポイント:around this time last year(去年の今頃)は過去を表す語句です。

過去の事実に反する願望なので、仮定法過去完了(had + 過去分詞)を使います。haveの過去分詞は had なので、③ had had が正解です。

「去年の今頃、その家を買うだけのお金があったらよかったのになあ」

C 応用レベル

10-4-3 C 応用 If only + 仮定法 空所補充

(  ) I had studied English much harder when I was young!

  • ① How
  • ② If only
  • ③ What
  • ④ Wishing
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

② If only

解説

判断のポイント:when I was young は過去を表す語句。had studied(過去完了形)があるので、過去の事実に反する願望を表す表現が入ります。

If only + S + had + 過去分詞!(仮定法過去完了)で「Sが〜していたらなあ」。② If only が正解です。

「若いころもっと一生懸命英語を勉強していたらなあ」

得点の差がつくポイント
  • If only + 仮定法過去完了の形を知っているか
  • 文末の感嘆符(!)が「願望」のヒントになっている