第1章 文型と語順

主語と動詞の一致
─ 「どこに合わせる?」を見極める技術

英語では主語が三人称単数なら動詞に -s がつく ── この基本は中学で学びました。
しかし入試では、主語が相関表現部分表現のとき、動詞をどちらに合わせるかが問われます。
「both A and B は複数」「either A or B は B に一致」── ルールを体系的に整理しましょう。

1主語と動詞の一致とは ─ 基本原則の確認

英語では、述語動詞の形を主語の「人称」と「数(単数・複数)」に合わせる必要があります。これを主語と動詞の一致(Subject-Verb Agreement)と呼びます。

💡 ここが本質:動詞は「本当の主語」に合わせる

基本はシンプル。主語が単数なら動詞も単数形、主語が複数なら動詞も複数形

問題は、主語が長くなったり複雑になったりしたときに「本当の主語は何か」を見失いやすいことです。

入試では、主語と動詞の間に修飾語句が入り込んで距離が離れているケースが頻出します。

📝 基本原則の確認
The boy runs fast.
その少年は速く走る。(単数主語 → runs)
The boys run fast.
少年たちは速く走る。(複数主語 → run)
⚠️ 落とし穴:修飾語句に惑わされる

主語と動詞の間に修飾語句が入ると、直前の名詞に動詞を合わせてしまうミスが起きます。

✕ 誤:The decrease in job opportunities in recent years have been a serious blow.

○ 正:The decrease in job opportunities in recent years has been a serious blow.

主語は the decrease(単数)。in job opportunities in recent years は修飾語句にすぎません。

2相関表現が主語の場合 ─ both / either / neither / not only

相関的な表現(A and B, either A or B など)が主語になるとき、動詞の一致ルールは表現ごとに異なります。入試で最も問われるテーマです。

📏 文法ルール:相関表現の一致パターン

both A and B複数扱い(A も B も両方 → 常に複数)

either A or BB に一致(どちらか一方 → 動詞に近い方に合わせる)

neither A nor BB に一致(どちらも〜ない → 動詞に近い方に合わせる)

not only A but (also) BB に一致(A だけでなく B も → B に合わせる)

A as well as BA に一致(B だけでなく A も → A に合わせる)

※ 原則は「動詞に近い方に合わせる」。ただし both A and B は例外で常に複数。
※ A as well as B は意味上のメインが A なので A に合わせます。
🧠 ネイティブの感覚:「近い方に合わせる」原理

either A or B や neither A nor B では、なぜ B に動詞を一致させるのでしょうか。

これは英語の「近接の原理」と呼ばれるもの。動詞のすぐ近くにある名詞に形を合わせるのが自然だからです。

A as well as B で A に合わせるのも同じ原理。as well as B は挿入的な要素で、文の核は A + 動詞です。

📝 相関表現の例文
Both he and I are to go to China.
彼も私も中国に行く予定だ。(both A and B → 複数扱い)
Either she or I am to go.
彼女か私のどちらかが行くことになる。(B = I → am)
Not only Larry and David but also Peter has come.
ラリーとデイビッドだけでなくピーターも来た。(B = Peter → has)
Mr. Tanaka, as well as you, was transferred to the Sales Department.
あなただけでなく田中さんも販売部に異動になった。(A = Mr. Tanaka → was)
相関表現 一致の対象 覚え方
both A and B 複数扱い 「両方」→ 常に複数
either A or B B に一致 近い方(B)に合わせる
neither A nor B B に一致 近い方(B)に合わせる
not only A but also B B に一致 近い方(B)に合わせる
A as well as B A に一致 メイン(A)に合わせる

3部分表現・割合表現が主語の場合 ─ most of / some of / 分数

most of A / some of A / half of A / 分数 + of A などの部分・割合表現が主語になるとき、動詞はA に一致させます。

📏 文法ルール:「〜 of A」型の一致

most of A / some of A / half of A / none of A / the rest of A / 分数 + of A

→ 述語動詞はA に一致させる

※ A が複数名詞なら複数扱い、A が不可算名詞(単数)なら単数扱い。
※ 「of A」の A が何かを見極めることが重要です。
📝 部分表現の例文
Most of the students here live with their families.
ここの学生のほとんどは家族と暮らしている。(A = students → 複数扱い)
Three fifths of the work was finished.
その仕事の5分の3は終わった。(A = work → 単数扱い)
Only 20% of electric cables are buried beneath the streets in Tokyo.
東京で地中に埋設されている電線は20%にすぎない。(A = cables → 複数扱い)

4There構文と the number of / a number of

There + be動詞 + A

There構文では、be動詞のあとのA が真の主語です。be動詞は A に一致させます。

📝 There構文の例文
There have been many political and social changes in Africa.
アフリカでは多くの政治的・社会的変化があった。(A = changes → 複数)
The larger a market is, the more competition there is.
市場が拡大するほど競争が増える。(A = competition → 不可算名詞 → 単数)

the number of A vs. a number of A

入試で極めて頻出の対比です。見た目は似ていますが、単数・複数の扱いが正反対になります。

📏 文法ルール:the number of A / a number of A

the number of A(Aの数)単数扱い(主語は number = 1つの数)

a number of A(たくさんのA)複数扱い(= many A と同じ。主語は A)

※ a number of は一種の形容詞。a number of A = several A / many A と考えれば、複数扱いになることが理解できます。
📝 the number of / a number of の例文
The number of students who wish to continue their studies is increasing.
勉強を続けたい学生の数が増えている。(the number → 単数 → is)
A number of people were invited to the party.
たくさんの人がパーティーに招待された。(a number of = many → 複数 → were)
⚠️ 落とし穴:the number of と a number of を混同する

冠詞が the か a かで、意味も一致ルールもまったく異なります。

○ the number of students is(「学生の数は」→ 単数)

○ a number of students are(「多くの学生が」→ 複数)

the なら「数」が主語(単数)、a なら「Aそのもの」が主語(複数)と覚えましょう。

5注意すべきパターン ─ 複数形でも単数扱いする表現

形が複数に見えても、意味上は1つのまとまりとして単数扱いする表現があります。

📏 文法ルール:複数形でも単数扱いする表現

(1) 国家・団体・雑誌の名称:the United States, the United Nations, the Times

(2) 時間・距離・金額・重量:Fifty minutes is enough. / Ten miles is a long distance.

(3) 学問・ゲーム・病気の名称:economics, mathematics, physics, billiards, measles

※ (1) は複数の構成要素で1つの団体 → 単数。(2) は1つのまとまり → 単数。(3) は -s で終わるが不可算名詞 → 単数。
📝 複数形でも単数扱いの例文
The United Nations was established after World War II.
国連は第二次世界大戦後に設立された。(1つの団体 → 単数)
Fifty minutes isn't enough time to finish this test.
50分ではこのテストを終えるのに十分な時間ではない。(1つのまとまり → 単数)

the + 形容詞 = 「〜な人々」 → 複数扱い

逆に、the + 形容詞で「〜な人々」を表す場合は複数扱いになります。

📝 the + 形容詞 の例文
Make sure that the poor are properly cared for.
貧しい人々がきちんと世話を受けられるようにしなさい。(the poor = poor people → 複数)
🔬 ワンポイント:先行詞 + 関係代名詞節内の動詞

関係代名詞節内の動詞は先行詞に一致させます。

The number of people who were injured was greater than expected.

who 節内の動詞は先行詞 people(複数)に合わせて were。一方、主節の動詞は The number(単数)に合わせて was。

1つの文の中で、異なる一致ルールが同時に働くことがあるのです。

6つながりマップ

主語と動詞の一致を学んだら、次のトピックへ進みましょう。

  • → G-2-1 現在形の用法:時制の学習に入ります。現在形での三人称単数の -s は、まさに「主語と動詞の一致」の基本です。
  • → G-9 関係詞:関係代名詞節内の動詞の一致は、先行詞の知識が前提です。関係詞の章で復習しましょう。
  • → G-14 名詞:可算名詞・不可算名詞の区別は、動詞の一致に直結します。名詞の章もあわせて確認しましょう。

📋まとめ

  • 主語と動詞の一致:動詞の形は主語の人称・数に合わせる
  • both A and B → 複数扱い。either A or B / neither A nor B / not only A but also B → B に一致
  • A as well as B → A に一致(メインの主語はA)
  • most of A / 分数 + of A → A に一致(A の数に合わせる)
  • the number of A → 単数(Aの「数」)。a number of A → 複数(= many A)
  • 国名・団体名・時間・金額・学問名は複数形でも単数扱い。the + 形容詞は複数扱い

確認テスト

Q1. either A or B が主語のとき、動詞はどちらに一致させますか。その理由も説明してください。

▶ クリックして解答を表示B に一致させる。「近接の原理」により、動詞のすぐ近くにある名詞(B)に形を合わせるのが英語の自然なルール。例:Either she or I am to go.(B = I → am)

Q2. the number of A と a number of A の違いを説明してください。

▶ クリックして解答を表示the number of A =「Aの数」→ 単数扱い。a number of A =「たくさんのA」(= many A)→ 複数扱い。冠詞が the か a かで意味も一致ルールも変わる。

Q3. 次の空所に適語を入れてください。
The United Nations (  ) established in 1945.

▶ クリックして解答を表示was。the United Nations は「国際連合」という1つの団体なので、複数形に見えても単数扱い。

Q4. 次の英文の誤りを正してください。
Mr. Tanaka, as well as you, were transferred to the Sales Department.

▶ クリックして解答を表示were → was。A as well as B が主語の場合、動詞は A に一致させる。A = Mr. Tanaka(三人称単数)なので was が正しい。

9入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

1-3-1 A 基礎 相関表現 空所補充

Both he and I (  ) to go to China.

  • ① am
  • ② are
  • ③ be
  • ④ is
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

② are

解説

判断のポイント:both A and B が主語の場合、「AもBも両方」の意味で常に複数扱いです。

both he and I は複数扱いなので、② are が正解。are to go は「be動詞 + to do」で「予定」の意味を表します。

「彼も私も中国に行く予定だ」

B 発展レベル

1-3-2 B 発展 the number of / a number of 空所補充

A number of people (  ) invited to the party.

  • ① was
  • ② were
  • ③ have
  • ④ had
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

② were

解説

判断のポイント:a number of A は「たくさんのA」の意味で、A(= people)に動詞を一致させます。

a number of people は複数扱いなので、② were が正解。invited は過去分詞で、受動態(were invited)を構成します。

the number of A なら「Aの数」で単数扱い(was)になるので注意。

「たくさんの人がそのパーティーに招待された」

C 応用レベル

1-3-3 C 応用 主語と動詞の分離 正誤判定

次の英文の下線部のうち、誤りを含むものを1つ選びなさい。

The number of ①people who ②was injured ③was greater than they ④had expected.

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

② was → were

解説

判断のポイント:この文には2つの一致ルールが同時に働いています。

② was は関係代名詞 who の節内の動詞。who の先行詞は people(複数)なので、were が正しい。

③ was は主節の動詞。主語は The number of people ...(the number = 単数)なので、was は正しい。

「負傷者の数は彼らの予測を上回っていた」

得点の差がつくポイント
  • ② was と ③ was の両方を見て、どちらが誤りかを正確に判断する必要がある
  • 関係詞節内の動詞は先行詞に一致、主節の動詞は主語(the number)に一致、という2つのルールを同時に適用できるかが鍵