動詞の語法

自動詞と間違えやすい他動詞・他動詞と間違えやすい自動詞

discuss/mention/marry/resemble は前置詞不要の他動詞、apologize/complain は前置詞が必要な自動詞。入試で最も狙われる「前置詞の有無」を徹底整理する。

1自動詞・他動詞の本質的違い

ネイティブの感覚

他動詞は「動作のエネルギーが目的語に直接ぶつかる」イメージ。discuss the problem なら、discuss という行為が the problem にダイレクトに及ぶ。間に前置詞というクッションは要らない。

自動詞は「動作が主語の中で完結する」イメージ。apologize(謝る)という行為はまず主語の中で完結し、「誰に」という方向を示すには前置詞 to が必要になる。

本質の見分け方

他動詞:動詞の直後に名詞(目的語)が来る → V + O

自動詞:動詞の直後に名詞が来ない。名詞を続ける場合は前置詞が必要 → V + 前置詞 + 名詞

日本語訳では「〜を」「〜に」となっていても、英語で前置詞が要るか要らないかは動詞ごとに決まっている。日本語の助詞に頼らず、英語の動詞そのものの性質を覚えることが最重要。

We discussed the matter.(他動詞:直後に目的語)
私たちはその問題を議論した。
He apologized to me.(自動詞:前置詞が必要)
彼は私に謝った。
She mentioned the fact.(他動詞:直後に目的語)
彼女はその事実について言及した。

2自動詞と間違えやすい他動詞

以下の動詞は日本語訳に「〜について」「〜に」「〜と」が含まれるため、つい前置詞を付けたくなるが、英語では前置詞不要の他動詞である。

前置詞不要の他動詞 一覧
動詞意味誤りやすい形
discuss〜について議論する× discuss about
mention〜について言及する× mention about
marry〜と結婚する× marry with
resemble〜に似ている× resemble with/to
enter〜に入る× enter into(場所の意味で)
reach〜に到着する× reach to/at
attend〜に出席する× attend to(出席の意味で)
approach〜に近づく× approach to
answer〜に答える× answer to(質問に対して)
obey〜に従う× obey to
なぜ discuss に about が要らないのか

discuss はラテン語の「dis-(離す)+ cutere(打つ・揺さぶる)」が語源で、「問題を叩いてバラバラにする」というイメージ。つまり discuss 自体が「〜について」という方向性を含んでおり、about を付けると意味が重複する。

同様に、mention も「〜に言及する」という行為が目的語に直接及ぶ動詞。日本語の「〜について」に引きずられないことが大切。

最頻出の誤り

× We discussed about the problem.

◯ We discussed the problem.

× She married with him last year.

◯ She married him last year.

× He resembles with his father.

◯ He resembles his father.

※ be married to 〜(〜と結婚している)は受身+前置詞の形であり、marry の他動詞用法とは別。

We need to discuss this issue immediately.
私たちはこの問題をすぐに議論する必要がある。
He didn't mention the accident at all.
彼はその事故について全く言及しなかった。
We finally reached the summit.
私たちはついに頂上に到着した。
She entered the room quietly.
彼女は静かに部屋に入った。

3他動詞と間違えやすい自動詞

以下の動詞は日本語訳では「〜に」「〜を」と訳せるが、英語では前置詞が必要な自動詞である。

前置詞が必要な自動詞 一覧
動詞 + 前置詞意味誤りやすい形
apologize to 人 for 事〜に〜を謝る× apologize 人
complain about/of〜について不平を言う× complain 名詞
graduate from〜を卒業する× graduate 学校名
reply to〜に返答する× reply 人/名詞
object to〜に反対する× object 名詞
look at〜を見る× look 名詞
listen to〜を聞く× listen 名詞
wait for〜を待つ× wait 人
agree with/to〜に賛成する× agree 名詞
participate in〜に参加する× participate 名詞
前置詞の忘れに注意

× He apologized me for his mistake.

◯ He apologized to me for his mistake.

× She complained the noise.

◯ She complained about the noise.

× I graduated high school.

◯ I graduated from high school.

なぜ apologize に to が要るのか

apologize は「謝罪する」という行為自体が主語の中で完結する自動詞。「誰に対して」という方向を示すためには前置詞 to が必要になる。日本語では「彼に謝る」と直接的に表現するが、英語では「謝る行為をする → その方向は to で示す」という二段階構造。

He apologized to his teacher for being late.
彼は遅刻したことを先生に謝った。
The residents complained about the noise.
住民たちはその騒音について不平を言った。
She graduated from the university last year.
彼女は昨年その大学を卒業した。
I haven't replied to his email yet.
私はまだ彼のメールに返信していない。

4自動詞・他動詞の両方の用法がある動詞

同じ動詞でも、自動詞として使う場合と他動詞として使う場合で意味が変わるものがある。

自動詞・他動詞の両用を持つ動詞
動詞自動詞の意味他動詞の意味
run走る〜を経営する
open開く〜を開ける
close閉まる〜を閉める
begin始まる〜を始める
change変わる〜を変える
move動く〜を動かす
stop止まる〜を止める
ネイティブの感覚 ― 自動詞用法と他動詞用法

自動詞用法では「主語自身が変化する」、他動詞用法では「主語が他の何かを変化させる」。The door opened.(ドアが開いた)では主語 door 自身の変化。He opened the door.(彼がドアを開けた)では he が door に力を及ぼしている。

The door opened slowly.(自動詞:主語自身が変化)
ドアがゆっくり開いた。
He opened the door slowly.(他動詞:目的語に働きかけ)
彼はゆっくりドアを開けた。
His father runs a small restaurant.(他動詞:経営する)
彼の父は小さなレストランを経営している。
自動詞と他動詞で形が異なるペア

rise(自・上がる)/ raise(他・〜を上げる)、lie(自・横たわる)/ lay(他・〜を横たえる)のように、自動詞と他動詞で形が別の語になるペアにも注意が必要。

× The sun raises in the east.

◯ The sun rises in the east.(太陽は東から昇る)

5入試頻出パターン

入試で狙われるパターン TOP5

1. discuss + 目的語(about を付けない)
最も出題頻度が高い。空所補充・誤り指摘どちらでも出る。

2. marry + 目的語(with を付けない)
be married to との混同に注意。married は形容詞的用法。

3. resemble + 目的語(受身にしない・前置詞を付けない)
resemble は状態動詞なので進行形にもならない。

4. apologize to 人 for 事(前置詞の組み合わせ)
to と for のセットで問われる。

5. graduate from + 学校(from を忘れない)
アメリカ口語では from を省略することもあるが、入試では from 付きが正答。

覚え方のコツ

「日本語の助詞に騙されるな」が鉄則。「〜について議論する」の「について」に引きずられて about を付けるのが典型的ミス。

覚え方:DMERR-AA(ディーマーエーエー)
Discuss / Mention / Enter / Reach / Resemble / Approach / Attend
→ これら全部「前置詞なしで目的語を取る他動詞」と覚える。

紛らわしいペアの整理

say / tell / speak / talkの使い分け:

say + 内容(他動詞)/ tell + 人 + 内容(他動詞)

speak to 人(自動詞)/ talk about 事(自動詞)

hear / listenの使い分け:

hear + 目的語(他動詞:自然に聞こえる)/ listen to + 名詞(自動詞:意識して聴く)

まとめ
  • 他動詞は動詞の直後に目的語。前置詞は不要。
  • 自動詞は前置詞がないと目的語を取れない。
  • discuss / mention / marry / resemble / enter / reach / attend / approach は前置詞不要の他動詞。
  • apologize to / complain about / graduate from / reply to / object to は前置詞必須の自動詞。
  • open / close / run / begin 等は自動詞・他動詞の両方の用法がある。
  • rise / raise、lie / lay のように自動詞と他動詞で形が変わるペアに注意。

確認テスト

問1 次の文の誤りを指摘し、正しく直せ。
We discussed about the new project.
▶ クリックして解答を表示 about を削除 → We discussed the new project.(discuss は他動詞なので前置詞 about は不要)
問2 空所に適切な前置詞を入れよ。
He apologized ( ) her ( ) his rude behavior.
▶ クリックして解答を表示 to / for(apologize to 人 for 事 の形。apologize は自動詞なので前置詞が必須)
問3 次の文の誤りを指摘し、正しく直せ。
She resembles with her mother.
▶ クリックして解答を表示 with を削除 → She resembles her mother.(resemble は他動詞なので前置詞は不要)
問4 空所に適切な前置詞を入れよ(不要な場合は × と記せ)。
She married ( ) a famous actor.
▶ クリックして解答を表示 ×(前置詞不要)→ She married a famous actor.(marry は他動詞。be married to とは別の形)

入試問題演習

A(基礎)
次の文の空所に入る最も適切なものを選べ。
We need to ( ) the problem before it gets worse.
  1. discuss about
  2. discuss
  3. talk
  4. speak
▶ クリックして解答・解説を表示
解答:2. discuss
discuss は他動詞なので直後に目的語 the problem を取る。1 の discuss about は前置詞が余分で誤り。3 の talk、4 の speak は自動詞なので直後に名詞を取れない(talk about / speak about なら可)。
B(発展)
次の英文のうち、文法的に正しいものを選べ。
  1. She complained the bad service to the manager.
  2. She complained about the bad service to the manager.
  3. She complained the manager about the bad service.
  4. She complained the bad service about the manager.
▶ クリックして解答・解説を表示
解答:2
complain は自動詞なので、不満の内容を述べるには前置詞 about(または of)が必要。complain about A to B で「BにAについて不平を言う」という語順になる。1・3・4 は complain を他動詞として使っており誤り。
C(応用)
次の文の下線部のうち、誤っている箇所を1つ選び、正しく直せ。
After (a) graduating college, he (b) entered a large company and (c) married with his (d) colleague.
  1. (a) graduating → graduating from
  2. (b) entered → entered into
  3. (c) married with → married
  4. (a) と (c) の両方
▶ クリックして解答・解説を表示
解答:4.((a) と (c) の両方が誤り)
(a) graduate は自動詞なので from が必要 → graduating from college。(c) marry は他動詞なので with は不要 → married his colleague。(b) enter は他動詞として「場所に入る」の意味で直後に目的語を取るので正しい。(d) colleague(同僚)は正しい。このように、同一文中に自動詞・他動詞の誤りが複数含まれる問題は難関大で頻出。