第7章 分詞

知覚動詞・使役動詞と分詞
─ do / doing / done の3択を攻略する

I saw him cross the street. と I saw him crossing the street. ── この違い、わかりますか?
知覚動詞と使役動詞は、目的格補語に原形不定詞(do)・現在分詞(doing)・過去分詞(done)の3パターンをとります。
それぞれの意味の違いと、受動態での変化を正確に押さえましょう。

1知覚動詞 + O + do / doing / done

知覚動詞(see, hear, feel, watch, listen to, look at, notice など)は、SVOC の補語 C に3つの形をとります。

文法ルール:知覚動詞の3パターン

(1) 知覚動詞 + O + do(原形不定詞):「Oが〜するのをVする」── 動作の始めから終わりまで

(2) 知覚動詞 + O + doing(現在分詞):「Oが〜しているのをVする」── 動作の途中

(3) 知覚動詞 + O + done(過去分詞):「Oが〜されるのをVする」── O と done は受動関係

例文で確認:3パターンの比較
I heard him sing the song.
彼がその歌を歌うのを聞いた。(最初から最後まで聞いた)
I heard him singing the song.
彼がその歌を歌っているのを聞いた。(歌っている途中を耳にした)
I heard the song sung by him.
その歌が彼によって歌われるのを聞いた。(song = sung → 受動)

2do と doing のニュアンスの違い

知覚動詞 + O + do と + O + doing は、どちらも O が能動的に行う動作を知覚する形ですが、ニュアンスが異なります。

ネイティブの感覚:do = 一部始終、doing = 途中の一場面

do(原形不定詞)を使うと、動作の始まりから終わりまでを知覚したニュアンスになります。歌なら「最初から最後まで聞いた」という感覚です。

doing(現在分詞)を使うと、動作の途中経過を知覚したニュアンス。歌なら「歌っているところを耳にした(全部は聞いていないかもしれない)」です。

doing には -ing 形特有の「まさに今やっている最中」という躍動感が感じられます。

do(原形不定詞) doing(現在分詞)
知覚の範囲 動作の一部始終 動作の途中
I saw him cross the street.
(渡りきるのを見た)
I saw him crossing the street.
(渡っている途中を見た)
受動態 He was seen to cross ...
(to 不定詞に変わる)
He was seen crossing ...
(現在分詞のまま)

3知覚動詞の受動態

知覚動詞 + O + do / doing を受動態にすると、O が主語になります。このとき補語の形が変わる点に注意が必要です。

文法ルール:受動態での補語の変化

do(原形不定詞)→ 受動態では to do(to 不定詞)に変わる

doing(現在分詞)→ 受動態でも doing のまま

※ 能動態:I saw him cross the street.
→ 受動態:He was seen to cross the street.
※ 能動態:I saw him crossing the street.
→ 受動態:He was seen crossing the street.
落とし穴:受動態で原形不定詞を使ってしまう

誤:He was seen cross the street.

正:He was seen to cross the street.

知覚動詞の受動態では、原形不定詞が to 不定詞に変わります。これは入試で非常によく問われるポイントです。

例文で確認:受動態
She was seen to go into the theater with her boyfriend.
彼女はボーイフレンドと劇場に入るところを見られた。(do → to do)
He was seen coming out of the house.
彼は家から出てくるところを目撃された。(doing → doing のまま)

4使役動詞 + O + done

使役動詞 haveget は、O + done の形で「O を〜してもらう / O を〜される」という意味を表します。

文法ルール:have / get + O + done

have + O + done:「Oを〜してもらう」(依頼)/「Oを〜される」(被害)

get + O + done:「Oを〜してもらう」(依頼・努力して)

※ 文脈によって「依頼」と「被害」を区別する。
※ have は「依頼・被害」の両方、get は主に「依頼(努力を伴う)」。
例文で確認:have / get + O + done
I had my hair cut yesterday.
昨日、髪を切ってもらった。(依頼:美容師に切ってもらった)
I had my purse stolen on the train.
列車で財布を盗まれた。(被害:盗まれてしまった)
I got my computer repaired.
コンピュータを修理してもらった。(依頼・努力して修理してもらった)
ワンポイント:have + O + do との違い

have + O + do(使役:Oに〜させる)と have + O + done(受動:Oを〜してもらう/される)を混同しないようにしましょう。

I had him repair my computer.(彼にコンピュータを修理させた = 能動)

I had my computer repaired.(コンピュータを修理してもらった = 受動)

O と補語の関係が能動か受動かで、do か done かが決まります。

5make oneself understood / heard

make oneself understoodmake oneself heard は、make + O + done の形をとる重要な慣用表現です。

ここが本質:make + O + done の構造

make oneself understood:自分自身(oneself)= 理解される(understood)ようにする → 「自分の考えを理解してもらう」

make oneself heard:自分自身(oneself)= 聞かれる(heard)ようにする → 「自分の声を届かせる」

いずれも oneself と done が受動関係(oneself が understood / heard される)であることがポイントです。

例文で確認
I couldn't make myself understood in English.
英語で自分の考えを理解してもらえなかった。
I couldn't make myself heard because the room was terribly noisy.
部屋がひどく騒々しかったので、自分の声を届かせられなかった。

6つながりマップ

  • → G-7-2 補語としての分詞:知覚動詞・使役動詞以外の SVOC + 分詞パターンを確認しましょう。
  • → G-7-4 分詞構文の基本:分詞が文全体を修飾する形に進みます。
  • → G-5 不定詞:知覚動詞・使役動詞 + O + do(原形不定詞)の基本を振り返りましょう。

📋まとめ

  • 知覚動詞 + O + do:動作の一部始終を知覚
  • 知覚動詞 + O + doing:動作の途中を知覚
  • 知覚動詞 + O + done:O が〜されるのを知覚
  • 受動態では do → to do に変化、doing はそのまま
  • have / get + O + done:「Oを〜してもらう / Oを〜される」
  • make oneself understood / heardは必須の慣用表現

確認テスト

Q1. I saw him cross the street. と I saw him crossing the street. のニュアンスの違いを説明してください。

▶ クリックして解答を表示cross(原形不定詞)は「通りを渡りきるのを見た」(一部始終)。crossing(現在分詞)は「通りを渡っているところを見た」(途中の場面)。

Q2. 知覚動詞 + O + do の受動態では、do はどう変化しますか。

▶ クリックして解答を表示to do(to 不定詞)に変化する。例:I saw him cross → He was seen to cross。一方、doing は受動態でもそのまま。

Q3. I had my purse stolen. の had は「依頼」と「被害」のどちらですか。

▶ クリックして解答を表示「被害」。文脈から「財布を盗まれた」と解釈する。have + O + done は「依頼(〜してもらう)」と「被害(〜される)」の両方の意味をとりうるので、文脈で判断する。

Q4. make oneself understood の構造を説明してください。

▶ クリックして解答を表示make(V)+ oneself(O)+ understood(C: 過去分詞)のSVOC構造。oneself が「理解される」という受動関係なので過去分詞 understood を使う。「自分自身を理解されるようにする → 自分の考えを理解してもらう」の意味。

9入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

7-3-1 A 基礎 知覚動詞 + O + doing 空所補充

I heard him ( ) a song in the bathroom.

  • (1) singing
  • (2) having sung
  • (3) to sing
  • (4) to be singing
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) singing

解説

判断のポイント:知覚動詞 hear の目的格補語を選びます。

him と sing は能動関係(彼が歌っている)。知覚動詞 + O + doing で「Oが〜しているのを聞く」の意味になるので、(1) singing が正解です。

「私は彼が浴室で歌を歌っているのを聞いた。」

B 発展レベル

7-3-2 B 発展 知覚動詞の受動態 空所補充

She was seen ( ) into the theater with her boyfriend.

  • (1) go
  • (2) going
  • (3) gone
  • (4) went
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(2) going

解説

判断のポイント:知覚動詞 see の受動態です。

能動態 "Someone saw her going into the theater." を受動態にした形。doing は受動態でもそのまま現在分詞が残るので、(2) going が正解です。

(1) go は原形不定詞ですが、受動態では to go にする必要があります。選択肢に to go がないので不可。

「彼女はボーイフレンドと劇場に入っていくところを見られた。」

C 応用レベル

7-3-3 C 応用 make oneself understood 誤り指摘

次の英文の誤りを含む箇所を指摘し、正しく直しなさい。

I had no difficulty in making myself (1)understand in English when I (2)went to America last summer.

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) understand → understood

解説

判断のポイント:make oneself understood の構造を理解しているかが問われています。

myself と understand の関係は「自分自身が理解される」という受動関係です。したがって過去分詞 understood を使わなければなりません。

「この前の夏アメリカに行ったとき、私は英語で自分の考えを理解してもらうことに苦労しなかった。」

得点の差がつくポイント
  • make oneself understood を丸ごと覚えているだけでなく、SVOC の受動関係として理解できているか
  • have no difficulty in doing(〜するのに苦労しない)も重要イディオム