to不定詞は「to + 動詞の原形」で、文の中で名詞・形容詞・副詞のように働く万能パッケージです。
まずは最も基本の名詞的用法── 主語・目的語・補語になる使い方をマスターしましょう。
「〜すること」という日本語訳だけでなく、toがもつ「これから」のイメージを掴むことがカギです。
英語の動詞はそのままでは主語や目的語の位置に置くことができません。 「走る」を「走ること」に変えるように、動詞を名詞のかたまりに変換するパッケージがto不定詞です。
to不定詞は「to + 動詞の原形」という形をしています。 動詞だけでなく、動詞を中心とするフレーズ全体がひとまとまりのパッケージになります。
to不定詞は動詞を含むフレーズを「パッケージ化」する仕組みです。
英語は「配置のことば」── 表現を置く位置によって働きが決まります。
to不定詞を主語の位置に置けば主語に、目的語の位置に置けば目的語に、補語の位置に置けば補語になります。
この使い方が名詞的用法── to不定詞が名詞のように働く用法です。
to + 動詞の原形(to speak / to read / to make new friends など)
動詞単独でも、動詞 + 目的語・副詞のフレーズ全体でもパッケージにできる。
to不定詞の使い方をマスターするための最強のヒントがあります。 それは、toがもつ「→(指し示す)」というイメージです。
前置詞のtoは「〜に向かって」という方向を示す語です。to不定詞のtoも同じイメージをもっています。
「→(指し示す)」から「これから」が連想されるのです。
I want to travel abroad.(海外旅行に行きたい)── want(欲しい)のは「これから」すること。toとの組み合わせがピッタリです。
ready to leave(出発の準備ができた)── 「準備」は常に「これから」することに対して行うもの。だからtoが使われます。
to不定詞は常に「これから」を表すわけではありませんが、このニュアンスを意識すれば、多くの場面でto不定詞が使われる理由が見えてきます。
to不定詞を文頭の主語の位置に置くと、「〜することは...」という意味になります。 Baseball is not so easy.(野球はそれほど簡単ではない)の Baseball の代わりにto不定詞を置くイメージです。
実は、to不定詞を主語に置く形はフォーマルな印象があり、日常会話ではあまり使われません。 語句が長く内容も複雑になるため、主語としては「重たさ」が感じられるからです。
そこで日常会話では、主語をitで前置きして、to不定詞を後ろに回す「It ... to不定詞」の形が好まれます。
It is + 形容詞 + to不定詞 = 「〜することは...だ」
It is not so easy to make new friends.(新しい友だちを作ることはそれほど簡単ではない)
It is important to wash your hands before eating.(食事前に手を洗うことは大切だ)
「時間・労力がかかる」を表す It takes も、to不定詞の「あと出し」パターンです。
It takes me two hours to get to school.(学校に着くのに2時間かかる)
It takes a lot of effort to master a foreign language.(外国語を習得するには多大な努力が必要だ)
to不定詞を目的語の位置に置くと、「〜することを/が」という意味になります。 I like dogs. の dogs の代わりにto不定詞を置くイメージです。
want to ~ の組み合わせに注目しましょう。「したい」と言うとき、それは「(これから)したい」ということ。 「これから」のイメージをもつto不定詞との組み合わせがピッタリなのです。
enjoy, finish, mind, avoid などの動詞は、to不定詞ではなく動名詞(-ing)を目的語にとります。
× 誤:I enjoyed to play tennis.
○ 正:I enjoyed playing tennis.
to不定詞は「これから」、動名詞は「すでに経験した・している」イメージ。enjoyは「すでに楽しんでいる」ので動名詞と結びつきます。(詳しくは動名詞の章で学習します)
主語と同じように、目的語が長くなる場合もitを前置きにして「あと出し」ができます。
S + V + it + 形容詞/名詞 + to不定詞
I think it strange to put pineapple on a pizza.(ピザにパイナップルを載せるのは変だと思う)
I make it a rule to exercise every day.(毎日運動することにしている)
be動詞の後ろの補語の位置にto不定詞を置くと、「〜することです」という意味になります。 I am a student. の a student の位置にto不定詞を置くイメージです。
dream(夢)や goal(目標)は「これから」実現したいこと。to不定詞の「これから」のイメージとの相性が抜群です。
to不定詞は疑問詞と組み合わせて名詞のかたまりを作ることもできます。 「これから」のニュアンスが強く、「〜すべきか」という意味になります。
what to do(何をすべきか)/ when to start(いつ始めるべきか)
where to go(どこへ行くべきか)/ how to use(どのように使うか=使い方)
which to choose(どちらを選ぶべきか)
名詞的用法を押さえたら、次のトピックへ進みましょう。
Q1. to不定詞の名詞的用法とは、文中のどの位置で使われる用法ですか。
Q2. 次の文を、形式主語itを使って書きかえてください。
To learn a foreign language is difficult.
Q3. toの核心イメージは何ですか。なぜ want to ~ という組み合わせが自然なのか説明してください。
Q4. 次の英文の空所に適語を入れてください。
I don't know ( )( ) do next.
この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。
It is not easy ( ) a foreign language.
② to learn
判断のポイント:It is + 形容詞 + to不定詞 の形式主語構文です。
Itが形式主語で、to learn a foreign language が本当の主語。「外国語を学ぶことは簡単ではない」
He found ( ) difficult to maintain his speed throughout the race.
③ it
判断のポイント:found ( ) difficult to maintain ... の形から、S + V + it + 形容詞 + to不定詞(形式目的語構文)と判断します。
itは形式目的語で、to maintain his speed throughout the race が本当の目的語。「レース中ずっとスピードを維持するのは難しいとわかった」
次の日本語の意味になるように語句を並べ替えなさい。
「このガイドブックのおかげで、どの国を訪問したらいいかがより決めやすくなる。」
This guidebook makes (countries / decide / easier / for / it / to / us / visit / which).
This guidebook makes it easier for us to decide which countries to visit.
判断のポイント:3つの文法事項が組み合わさった問題です。
1. 形式目的語it:make it easier(それをより簡単にする)
2. 意味上の主語for A:for us to decide(私たちが決めること)
3. 疑問詞 + to不定詞:which countries to visit(どの国を訪問すべきか)
make + it + 形容詞 + for A + to不定詞 の構文をしっかり押さえましょう。