第4章 受動態

注意すべき受動態
─ SVOO・SVOC・群動詞・by以外の前置詞

受動態の基本は「be + 過去分詞」。しかし、もとの文が SVOO や SVOC のとき、あるいは群動詞のときは、少し注意が必要です。
また、受動態で使う前置詞は by だけではありません。
この記事では、入試で差がつく受動態の応用パターンを一気にマスターしましょう。

1SVOO(授与型)の受動態 ─ 2通りの形

SVOO の文(「人に物をあげる」型)には目的語が2つあります。 受動態にするとき、どちらの目的語を主語にするかで2通りの受動態が作れます。

📏 文法ルール:SVOOの受動態(2通り)

能動態:She gave me a present.

パターン1(人を主語にする):I was given a present by her.

パターン2(物を主語にする):A present was given to me by her.

※ パターン1(人が主語)のほうが一般的に多く使われる。
※ パターン2では前置詞 to(または for)が必要になることに注意。
📝 例文で確認
I was given a present by her.
私は彼女からプレゼントをもらった。(人が主語)
A present was given to me by her.
プレゼントが彼女から私に与えられた。(物が主語)
He was sent the letter.
彼にその手紙が送られた。
The letter was sent to him.
その手紙が彼に送られた。
🔬 ワンポイント:buy / make 型は「物が主語」が自然

give / send / teach / tell などは「人が主語」の受動態も「物が主語」の受動態も自然に作れます。

しかし buy / make / find など「利益」のニュアンスが強い動詞では、「物が主語」+ for のほうが自然です。

A paper airplane was made for me by my father.(自然)

I was made a paper airplane by my father.(不自然)

2SVOC(目的語説明型)の受動態

SVOC の文では、目的語(O)を主語にして受動態を作ります。補語(C)は過去分詞のうしろにそのまま残ります。

📏 文法ルール:SVOCの受動態

能動態:We call the dog "Momo."(SVOC)

受動態:The dog is called "Momo."(S + be + 過去分詞 + C)

※ 補語(C)は動詞のうしろにそのまま残る。消えたり移動したりしない。
📝 例文で確認
He was chosen captain of the team.
彼はチームのキャプテンに選ばれた。
The gate was kept closed.
門は閉められたままにされていた。
I was asked to make a speech in English.
私は英語でスピーチするよう頼まれた。
🧠 ネイティブの感覚:受動態でも「主語 = 説明される側」は変わらない

SVOC の能動態では「O = C」の関係が成り立っていました(He = captain, gate = closed)。

受動態にしても、この「主語 = 補語」の関係はそのまま保たれます。The dog is called "Momo." なら、the dog = "Momo" です。

受動態は形が変わっても、「主語がどういう状態/立場にあるか」を説明している点は同じなのです。

3群動詞の受動態 ─ ひとかたまりで扱う

群動詞とは、「動詞 + 前置詞 / 副詞」でひとまとまりの意味を持つ表現です(look after, take care of, laugh at など)。 群動詞を受動態にするときは、ひとかたまりの動詞として扱います。

📏 文法ルール:群動詞の受動態

群動詞は「ひとつの他動詞」とみなして受動態にする

能動態:A stranger spoke to the girl.

受動態:The girl was spoken to by a stranger.

※ 前置詞(to, at, of など)は過去分詞のうしろに残す。切り離さない。
📝 例文で確認
He was laughed at by everyone.
彼はみんなに笑われた。(laugh at = 〜を笑う)
The child was taken care of by the nurses.
その子どもは看護師たちに世話をされた。(take care of = 〜の世話をする)
She was brought up in a big family.
彼女は大家族で育てられた。(bring up = 〜を育てる)
⚠️ 落とし穴:前置詞を落としてしまう

群動詞の受動態で最も多いミスが、前置詞の脱落です。

✕ 誤:He was laughed by everyone.(at が抜けている!)

○ 正:He was laughed at by everyone.

laugh at で「〜を笑う」という1つの動詞です。at を落としたら「笑う」の意味が成立しません。前置詞はセットで残すと覚えましょう。

特に注意:spoken to by, taken care of by のように前置詞 + by が連続する形は入試頻出です。

4by 以外の前置詞を使う受動態

受動態の前置詞は by だけではありません。 前置詞はそのイメージに応じて選ばれるのであって、機械的に by がつくわけではないのです。

📏 主要な「by 以外の前置詞 + 受動態」

be known to 〜:〜に知られている(to → 「〜に向けて」)

be known for 〜:〜で有名だ(for → 「理由」)

be interested in 〜:〜に興味がある(in → 「〜の中に」のめり込む)

be surprised at 〜:〜に驚く(at → 「時点・瞬間」)

be covered with 〜:〜で覆われている(with → 「共に」一緒にある)

be filled with 〜:〜でいっぱいだ(with → 「共に」一緒にある)

be satisfied with 〜:〜に満足している(with → 「共に」寄り添って)

be disappointed with [at / in] 〜:〜に失望する

🧠 ネイティブの感覚:前置詞はイメージで選ばれている

受動態の前置詞を「丸暗記」する必要はありません。前置詞にはそれぞれ基本のイメージがあり、そのイメージに従って自然に選ばれています。

at = 「点」→ surprised at はその結果を「聞いた瞬間に」驚く感覚

with = 「共に」→ covered with snow は雪「と一緒に」ある状態

in = 「中に」→ interested in は関心の「中に」入り込んでいる感覚

to = 「方向」→ known to everybody は人々「に向けて」知られている

前置詞のイメージを掴んでいれば、初めて見る組み合わせでも推測できます。

📝 例文で確認
He is known to everybody in the town.
彼は町のみんなに知られている。
Kyoto is known for its beautiful temples.
京都は美しい寺で有名だ。
The mountains were covered with snow.
山々は雪で覆われていた。
We were surprised at the news.
私たちはそのニュースに驚いた。
🔬 ワンポイント:感情を表す受動態

英語では「驚く」「喜ぶ」「退屈する」などの感情は受動態で表すのが基本です。

surprise は「驚かせる」、excite は「興奮させる」という他動詞。受動態にすると「驚かされる→驚く」「興奮させられる→興奮する」となります。

be surprised at / be pleased with / be excited about / be bored with / be disappointed in ── すべて「外からの原因によって感情が引き起こされた」という英語の発想が根底にあります。

5つながりマップ

注意すべき受動態を学んだら、次のトピックへ進みましょう。

  • → G-4-4 受動態のバリエーション:完了形・進行形・助動詞と受動態の組み合わせ。受動態の最後の仕上げです。
  • → G-4-1 受動態の基本:基本の形と書き換えに不安がある場合はここへ戻りましょう。
  • → G-1 文型:SVOO・SVOCの文型がわからない場合は、まず文型の基本を確認しましょう。
  • → G-12 前置詞:by 以外の前置詞のイメージを深く理解するには、前置詞の章が役立ちます。

📋まとめ

  • SVOO の受動態は2通り:「人を主語」にする形と「物を主語」にする形がある
  • SVOC の受動態:目的語を主語にし、補語は過去分詞のうしろにそのまま残す
  • 群動詞の受動態:ひとかたまりの動詞として扱う。前置詞を落とさないこと
  • 受動態の前置詞は by だけではない。known to / interested in / surprised at / covered with など、前置詞のイメージで選ばれている

確認テスト

Q1. "She gave me a present." を「人が主語」の受動態にしてください。

▶ クリックして解答を表示I was given a present by her. ── 「人」(me → I) を主語にし、「物」(a present) はそのまま残す。

Q2. "We call the dog Momo." を受動態にしてください。

▶ クリックして解答を表示The dog is called Momo. ── SVOC の目的語 the dog を主語にし、補語 Momo は過去分詞 called のうしろにそのまま残す。

Q3. "Everybody laughed at him." を受動態にしてください。前置詞に注意。

▶ クリックして解答を表示He was laughed at by everybody. ── 群動詞 laugh at をひとかたまりとして扱う。at を落とさないこと。

Q4. be known ( ) と前置詞を組み合わせて、「〜に知られている」「〜で有名だ」をそれぞれ答えてください。

▶ クリックして解答を表示be known to 〜 = 〜に知られている / be known for 〜 = 〜で有名だ。to は「方向」、for は「理由」のイメージ。

8入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

4-3-1 A 基礎 SVOCの受動態 空所補充

He (  ) captain of the team by his classmates.

  • ① chose
  • ② was chosen
  • ③ has chosen
  • ④ is choosing
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

② was chosen

解説

判断のポイント:by his classmates があるので受動態。主語 He と動詞 choose の関係は「彼が選ばれる」。

SVOC(His classmates chose him captain)の受動態で、② was chosen が正解。captain は補語で、過去分詞のうしろにそのまま残ります。

「彼はクラスメートによってチームのキャプテンに選ばれた」

B 標準レベル

4-3-2 B 標準 群動詞の受動態 空所補充

On her way home from school, the little girl was (  ) a stranger.

  • ① spoken to by
  • ② spoken to
  • ③ spoke
  • ④ spoken by to
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

① spoken to by

解説

判断のポイント:群動詞 speak to(〜に話しかける)の受動態です。

speak to をひとかたまりとして受動態にするので、spoken to が先に来て、そのあとに動作主の by a stranger が続きます。

「学校からの帰宅途中、その幼い少女は見知らぬ人に話しかけられた」

④ spoken by to は語順が逆で誤り。to は speak to のセットなので by より先に来ます。

得点の差がつくポイント
  • spoken to by と前置詞が2つ連続する形に違和感を持つ受験生が多いが、これが正しい
  • 群動詞はひとかたまり → 前置詞は切り離せないと理解しておく

C 発展レベル

4-3-3 C 発展 群動詞の受動態 語順整序

次の日本語に合うように、( )内の語句を並べ替えてください。

「だれも人前で笑いものにされるのは好まない。」

Nobody ( be / fun / in / likes / made / of / to ) public.

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解答

Nobody likes to be made fun of in public.

解説

判断のポイント:群動詞 make fun of(〜を笑いものにする)の受動態を、to 不定詞の中で使う問題です。

likes to do(〜することを好む)の do の部分に受動態の不定詞 be made fun of を入れます。

make fun of はひとかたまりなので、受動態にしても made fun of と切り離しません。in public(人前で)は副詞句として文末に置きます。

得点の差がつくポイント
  • to be made fun of という「受動態の不定詞 + 群動詞」の形を正確に作れるか
  • fun と of を切り離して並べてしまうミスに注意