「トムがその手紙を書いた」と「その手紙はトムによって書かれた」── 同じ事実でも、主語が変わると目線が変わります。
英語の受動態は、特別な構文ではなくただの be 動詞の文。その感覚を掴めば、受動態は一気にシンプルになります。
この記事では、受動態の基本の形と、能動態との書き換えをマスターしましょう。
日本語で「トムがこの本を書いた」と言えば、主語は「トム」。行為をする側の目線で語っています。 一方、「この本はトムによって書かれた」と言えば、主語は「この本」。行為を受ける側に目線が移っています。
英語でもまったく同じことが起こります。行為をする側を主語にした文が能動態、行為を受ける側を主語にした文が受動態です。
受動態は「特別な文法」ではありません。英語には「だれを主語にするか」で視点を切り替えるしくみがあり、受動態はその1つです。
能動態:「する人」を主語にする → Tom wrote this book.
受動態:「される人/もの」を主語にする → This book was written by Tom.
どちらも同じ事実を述べていますが、主語が違う = 目線が違うのです。
英語は日本語と違い、主語を省略できない言語です。だからこそ、「何を主語に選ぶか」が文の視点を決定づけます。
能動態は「する人」の目線 ── 「トムが書いたんだよ」と、行為者にスポットライトが当たっています。
受動態は「される人/もの」の目線 ── 「この本は書かれたんだよ」と、行為の結果や対象にスポットライトが当たっています。
ネイティブは「どちらに注目してほしいか」で能動態と受動態を自然に使い分けています。
受動態の形はとてもシンプルです。be 動詞 + 過去分詞 ── たったこれだけ。 実は受動態は、"We are happy." と同じ構造のただの be 動詞の文なのです。
S + be動詞 + 過去分詞 (+ by 動作主)
「Sは(動作主によって)〜される / 〜された」
"We are happy." の happy のかわりに過去分詞を使って、be 動詞でつないでいるにすぎません。 主語が「どういう状態か」を過去分詞で説明している ── それが受動態の正体です。
受動態を「be 動詞の文」と捉えると、疑問文や否定文の作り方もすぐにわかります。
疑問文 → be 動詞を前に出すだけ(Was the letter written by Tom?)
否定文 → be 動詞のうしろに not を置くだけ(The letter was not written by Tom.)
特別な操作は何もいりません。ふだんの be 動詞の文とまったく同じです。
| 時制 | 能動態 | 受動態 |
|---|---|---|
| 現在 | Tom writes the letter. | The letter is written by Tom. |
| 過去 | Tom wrote the letter. | The letter was written by Tom. |
| 未来 | Tom will write the letter. | The letter will be written by Tom. |
どの時制でも原理は同じ ── be 動詞を時制に合わせて変化させるだけです。 未来形では助動詞 will のうしろに原形 be を置きます。
受動態を作る手順を、能動態との対応で整理しましょう。 初心者のうちは「能動態の目的語を主語にする」と考えると、正確に作ることができます。
ステップ1:能動態の目的語を、受動態の主語にする
ステップ2:動詞を「be 動詞 + 過去分詞」にする(be 動詞は新しい主語と時制に合わせる)
ステップ3:もとの主語を by 〜 にして文末に置く(不要なら省略)
ただし、ネイティブは能動態をいちいち思い浮かべてから受動態を作っているわけではありません。 受動態を「be 動詞 + 過去分詞」で直接組み立てる感覚に慣れていきましょう。
受動態にできるのは目的語をとる動詞(他動詞)だけです。目的語のない自動詞は受動態にできません。
✕ 誤:The accident was happened yesterday.(happen は自動詞)
○ 正:The accident happened yesterday.
同様に、arrive, exist, occur, appear なども自動詞なので受動態にはできません。
受動態の文には by 〜 がつくイメージがありますが、実際にはby 〜 がない受動態のほうがはるかに多いのです。 次の3つの場合、by 〜 はふつう省略されます。
1. 動作主が不明なとき:My bike was stolen last night.(誰に盗まれたかわからない)
2. 動作主が一般の人々のとき:English is spoken in many countries.(by people は言うまでもない)
3. 動作主より行為・結果が重要なとき:The bridge was built in 1990.(誰が建てたかより、いつ建てられたかが重要)
受動態が使われる一番の理由は「する人」より「される人/もの」に注目したいから。だから by 〜 は不要になることが多いのです。
受動態の基本を学んだら、次のトピックへ進みましょう。
Q1. 受動態の基本の形を答えてください。
Q2. 次の能動態を受動態に書き換えてください。
Tom wrote this letter.
Q3. "The accident was happened yesterday." はなぜ間違いですか。
Q4. by 〜 が省略される3つのケースを挙げてください。
この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。
This building ( ) about 50 years ago.
② was built
判断のポイント:主語 this building と動詞 build の関係は「建物が建てられる」という受動の関係。
受動態の「be動詞 + 過去分詞」が必要です。50 years ago(50年前)という過去の時点を表す語があるので、過去形の was built が正解。
③ has been built は現在完了の受動態ですが、ago という明確な過去の時点がある場合、現在完了は使えません。
A serious accident ( ) on this road last night.
② happened
判断のポイント:happen は「起こる」という意味の自動詞で、目的語をとりません。自動詞は受動態にできないため、① was happened は誤りです。
last night という過去の時点を表す語があるので、過去形 ② happened が正解。③ has happened は現在完了で、last night と共起できません。
The next Olympic Games ( ) in Los Angeles in 2028.
② will be held
判断のポイント:主語 The next Olympic Games と動詞 hold(開催する)の関係は「オリンピックが開催される」という受動の関係。受動態が必要です。
in 2028 は未来の時点を示しているため、未来の受動態 will be held が正解。① are going to hold は能動態で、「オリンピックが開催する」となり意味が通りません。
未来の受動態は「will + be + 過去分詞」。will のうしろに原形 be が来ることに注意しましょう。