canの意味は「できる」だけではありません。「ありうる」「していい」── canは「潜在的な可能性」を表す万能選手です。
能力・許可・可能性、そしてcannotの推量まで、すべてを1本の糸でつなぐ核心イメージを掴みましょう。
canと聞くと、多くの学習者が真っ先に「〜できる」という意味を思い浮かべます。 しかし canには「〜してよい(許可)」「〜でありうる(可能性)」といった意味もあります。 これらがバラバラの暗記事項に見えるのは、canの核心イメージを掴んでいないからです。
canの核心は「〜する力がある」「〜する可能性がある」「〜する道が開いている」という1つのイメージです。
能力:She can speak French. → 「フランス語を話す力がある」
可能性:Accidents can happen. → 「事故が起きる可能性がある」
許可:Can I use your phone? → 「電話を使う道が開いている(= 使っていい)」
すべて「そうなる潜在的な力・道がある」で繋がっています。
ネイティブにとって canは「能力の can」「許可の can」「可能性の can」と別々に意識されているわけではありません。
どの用法でも根底にあるのは「その方向に道が開いている・そうなりうる」という感覚です。
日本語では「できる」「していい」「ありうる」と訳し分けますが、英語ではすべて同じ canの守備範囲です。この「1つの感覚で多くの意味をカバーする」のが助動詞の特徴です。
canの3つの主要用法を整理しましょう。核心イメージ「潜在的な可能性がある」から、それぞれの意味がどう派生しているかに注目してください。
1. 能力「〜できる」:主語に「〜する力がある」
2. 可能「〜しうる / ありうる」:状況的に「〜が起こる可能性がある」
3. 許可「〜してよい」:「〜する道が開いている」(カジュアルな許可)
| 用法 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 能力 | 〜できる | He can swim very fast. |
| 可能(理論的) | 〜しうる / ありうる | It can be cold in April. |
| 許可 | 〜してよい | You can go home now. |
| 知覚の可能 | 〜が見える / 聞こえる | I can hear music. |
couldはcanの過去形ですが、単なる「過去のcan」にとどまりません。 英語の過去形がもつ「距離感」(→ G-10-1 仮定法の基本)が加わることで、 丁寧さや控え目な推量など、幅広い意味を生み出します。
1. canの過去「〜できた」:過去の一般的能力
2. 丁寧な依頼「〜していただけますか」:can you ...? より丁寧
3. 控え目な推量「〜かもしれない」:canより弱い可能性
couldの正体は、canに「距離」を加えた形です。この距離は3種類あります。
過去への距離:I could swim when I was five.(5歳のとき泳げた)
相手への距離(丁寧さ):Could you help me?(手伝っていただけますか)
現実との距離(仮定法):It could be true.(本当かもしれない ── 確信は薄い)
どれも「canの意味をワンクッション遠くに置いている」感覚です。
「〜できた」を英語にするとき、couldとwas able toは同じではありません。
could:一般的な能力(「以前は〜する力があった」)
was able to:特定の1回の行為で実際にできた(「あのとき実際に〜した」)
✕ 不自然:The fire spread quickly, but everyone could escape.
○ 自然:The fire spread quickly, but everyone was able to escape.
「火事のとき全員が(実際に)逃げられた」のように、特定の1回の出来事には was able to を使います。couldは「逃げる力があった」という一般的能力に聞こえてしまいます。
ただし、否定文では could not = was not able to で同じ意味になります。「できなかった」はどちらでもOKです。
canの否定形 cannotには、能力の否定「〜できない」のほかに、推量の否定「〜のはずがない」という重要な用法があります。 「可能性がゼロだ」→「〜であるはずがない」という意味です。
cannot + 動詞の原形:「〜のはずがない」(現在の推量の否定)
cannot have + 過去分詞:「〜だったはずがない」(過去の推量の否定)
推量を表す助動詞は、確信の強さで並べると次のようになります。
must(〜に違いない)── 確信度が高い
may / might(〜かもしれない)── 中程度
could(〜でありうる)── 弱い可能性
そして否定方向では:
may not(〜ではないかもしれない)── 中程度の否定
cannot(〜のはずがない)── 強い否定 ← mustの反対極
must(〜に違いない)と cannot(〜のはずがない)は推量の対極にあたります。この対比は入試でも頻出です。
| 確信度 | 肯定 | 否定 |
|---|---|---|
| 高い | must do(〜に違いない) | cannot do(〜のはずがない) |
| 中 | may do(〜かもしれない) | may not do(〜ではないかもしれない) |
| 低い | might / could do(〜でありうる) | might not do(〜ではないかもしれない) |
can / could を学んだら、次の関連トピックを確認しましょう。
Q1. canの核心イメージを一言で説明してください。
Q2. 次の2文の違いを説明してください。
a) He could swim when he was a child.
b) He was able to swim to the shore.
Q3. cannot と may not の推量における違いを説明してください。
Q4. Could you ...? が Can you ...? より丁寧に聞こえる理由を「距離感」の観点から説明してください。
この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。
Earthquakes ( ) happen at any time without warning.
② can
判断のポイント:「地震はいつでも前触れなく起こりうる」という「理論的な可能性」を述べている文です。
canには「〜しうる(理論的可能性)」の用法があり、「一般論として起こる可能性がある」ことを表します。② can が正解です。
① must(〜に違いない / 〜しなければならない)、③ should(〜すべき / 〜のはず)、④ will(〜だろう)はいずれも文意に合いません。
The exam was very difficult, but I ( ) pass it.
② was able to
判断のポイント:「とても難しかったが、合格できた」── 過去の特定の1回の出来事で「実際にできた」ことを述べています。
couldは「一般的能力(〜する力があった)」を表すため、特定の1回の成功には不自然です。② was able to が正解。
「試験に受かる一般的能力があった」のではなく「実際にその試験に受かった」なので、was able to を選びます。
Tom was with me all day yesterday. He ( ) the window at that time.
③ can't have broken
判断のポイント:前文「トムは昨日一日中私と一緒だった」から、「あの時トムが窓を壊したはずがない」という過去の推量の否定(〜だったはずがない)と判断できます。
cannot have + 過去分詞 =「〜だったはずがない」。③ can't have broken が正解です。
② must have broken(壊したに違いない)では文脈と矛盾します。① must break、④ shouldn't break は過去の推量を表す形ではありません。