第12章 疑問詞・疑問文

疑問詞を使った疑問文
─ 「何を知りたいか」を指定して情報を引き出す

「誰が?」「いつ?」「どこで?」── 相手から情報を引き出すには、疑問詞が不可欠です。
疑問詞は「知りたい情報の種類」を指定するマーカー。この仕組みを理解すれば、
どんな疑問文も自在に組み立てられるようになります。

1疑問文の基本 ─ 倒置に宿る「教えて」の気持ち

英語の疑問文は、助動詞(または be動詞)を主語の前に送ることで作られます。 つまり本来の語順が崩され、「倒置」した形になっているのです。

📝 疑問文の基本形
Can you speak English?
英語を話せますか?(助動詞がある場合 → 助動詞を前に出す)
Do you like sushi?
寿司は好きですか?(助動詞がない場合 → do を補って前に出す)
Are you happy?
あなたは幸せですか?(be動詞の場合 → be動詞を前に出す)
🧠 ネイティブの感覚:語順を崩す=気持ちが動いている

英語は「語順のことば」です。配置を変えるときには、必ず話者の意図があります。

主語と助動詞を入れ替える倒置は、感情の動きに伴って現れる形です。「教えて・知りたい」と気持ちが動く疑問文がこの形をとるのは、ごく自然なことなのです。

この基本を踏まえた上で、疑問詞を加えると、Yes / No では答えられない、具体的な情報を引き出す疑問文が作れます。 「誰が?」「何を?」「いつ?」── 疑問詞は、求めている情報の種類を相手に知らせるマーカーです。

2疑問代名詞 who / what / which の使い方

疑問代名詞は、名詞の代わりに使われる疑問詞です。 文中の「主語」「目的語」「補語」の位置にある情報を尋ねます。

疑問詞 意味 引き出す情報
who
what モノ・コト
which どちら・どれ 選択(限られた範囲から)
whose 誰の 所有
📏 文法ルール:疑問代名詞の疑問文の作り方

疑問詞 + 疑問文の語順(助動詞 + S + V ...)+ 空所

1. 尋ねたい情報の種類を疑問詞で指定

2. 疑問文の形(倒置)を続ける

3. 尋ねたい箇所は空所にする

📝 例文で確認:目的語を尋ねる
What do you like?
何が好きですか?(what = likeの目的語を尋ねる)
Who do you like?
誰が好きですか?(who = likeの目的語「人」を尋ねる)
Which do you prefer, coffee or tea?
コーヒーと紅茶、どちらが好きですか?(which = 選択)
Whose is this umbrella?
この傘は誰のですか?(whose = 所有を尋ねる)
🔬 ワンポイント:whom は消えつつある

whom は who の目的格ですが、21世紀の英語では日常的にはほぼ使われなくなっています。目的格であっても圧倒的に who が使われます。

ただし、前置詞の直後では whom を避けられません:To whom did you send the email?

このような形は非常にフォーマルであり、会話ではほとんど使われません。

3疑問副詞 when / where / why / how の使い方

疑問副詞は、文中の修飾語句(時・場所・理由・方法)の部分を尋ねます。 疑問代名詞が「主語・目的語・補語」を尋ねたのに対し、疑問副詞は「副詞的な情報」を引き出します。

疑問詞 意味 引き出す情報
when いつ
where どこ 場所
why なぜ 理由
how どのように 方法・程度・様子
📝 例文で確認:修飾語句を尋ねる
When do you get up every morning?
毎朝いつ起きますか?(every morning の位置を尋ねる)
Where do you live?
どこに住んでいますか?(in Osaka などの場所を尋ねる)
Why didn't he come?
なぜ彼は来なかったのですか?(because ... の理由を尋ねる)
How did you do that?
どうやってそれをやったのですか?(by car などの方法を尋ねる)

前置詞の目的語を尋ねる場合

前置詞の目的語を尋ねるときは、前置詞が文末に残るのが一般的です。 フォーマルな場面では前置詞を疑問詞の前に繰り上げることもできます。

📝 例文で確認:前置詞の目的語を尋ねる
What are you looking for?
何を探しているの?(カジュアル:前置詞が文末に残る)
Who are you talking to?
誰と話しているの?(カジュアル)
To which universities are you applying?
どの大学に願書を出していますか?(フォーマル:前置詞を前に出す)
⚠️ 落とし穴:疑問詞を使った疑問文のイントネーション

疑問詞を使った疑問文の基本イントネーションは文末を下げる(下降調)です。

Yes/No 疑問文のように文末を上げるのではないので注意しましょう。

ただし、相手の発言を聞き返す場合は文末が上がります:What? What did you say?

4主語を尋ねる疑問文 ─ 倒置が起こらない理由

疑問詞で主語を尋ねる場合は、特別な注意が必要です。 この場合、倒置は起こりません。疑問詞をそのまま主語の位置に置くだけで疑問文が完成します。

📏 文法ルール:主語を尋ねる疑問文

疑問詞(= 主語)+ 動詞 + ...

疑問詞が主語の位置に入るため、入れ替える相手(主語)がなく、倒置が起こらない。

※ 主語の疑問詞は単数として扱い、動詞が現在形の場合は三単現の -s がつく。
📝 例文で確認
Who told you that?
誰がそんなことを言ったの?(Who = 主語。倒置なし)
What makes you happy?
何があなたを幸せにしてくれるの?(What = 主語。makes と三単現の -s がつく)
🧠 ネイティブの感覚:なぜ倒置が起こらないのか

倒置とは「主語と助動詞を入れ替える」操作です。ところが、主語を尋ねる文では、主語の位置がまさに空所になっています。

入れ替える主語がなければ、倒置のしようがありません。だから Who told you that? のように、平叙文と同じ語順になるのです。

⚠️ 落とし穴:主語を尋ねるか、目的語を尋ねるかで語順が変わる

次の2つの文の違いを区別できますか?

Who called Mary? ─ 「誰がメアリーに電話したの?」(主語を尋ねる → 倒置なし)

Who did Mary call? ─ 「メアリーは誰に電話したの?」(目的語を尋ねる → 倒置あり)

疑問詞が尋ねているのが主語か目的語かで、語順がまったく異なります。

5「大きな疑問詞」─ How old / What kind of など

疑問詞は、ほかの語と自由に組み合わせて「大きな疑問詞」を作ることができます。 まとめて文頭に置き、通常の疑問詞と同じように使います。

大きな疑問詞 意味 引き出す情報
How old 何歳 年齢
How tall どのくらいの身長 身長
How much いくら / どのくらい 量・金額
How many + 名詞 いくつの〜
How often どのくらいの頻度で 頻度
How far どのくらいの距離 距離
How long どのくらいの長さ・時間 時間の長さ・物の長さ
How soon あとどのくらいで 残り時間
What kind of + 名詞 どんな種類の〜 種類
📝 例文で確認
How old are you?
何歳ですか?
How many books do you have?
本は何冊持っていますか?
How far is it from Osaka to Kyoto?
大阪から京都まではどれくらいの距離ですか?
What kind of music do you like?
どんな音楽が好きですか?
⚠️ 落とし穴:How long と How soon の混同

この2つは非常に紛らわしいので、答え方で区別しましょう。

How long will it take? ─ An hour.(1時間。= 長さ)

How soon will it start? ─ In an hour.(1時間後に。= 残り時間)

How long は「どのくらいの時間」(長さ)、How soon は「あとどのくらいで」(残り時間)です。

6つながりマップ

疑問詞の基本を学んだら、次のトピックへ進みましょう。

  • → G-12-2 間接疑問:疑問詞の疑問文を文の中に組み込む方法を学ぶ。Do you know + 疑問詞...? と 疑問詞 + do you think...? の語順の違いが重要です。
  • → G-12-3 否定疑問文と付加疑問文:否定疑問文の答え方や、付加疑問の作り方を学びます。日本語との違いに要注意。
  • → G-12-4 修辞疑問文・慣用的な疑問文:疑問の形をとりながら別の意図を伝える表現を学びます。
  • → G-9 関係詞:疑問詞の what と関係代名詞の what は形が同じですが、働きが異なります。両者を比較しておきましょう。

📋まとめ

  • 疑問文は助動詞(またはbe動詞)を主語の前に送る「倒置」で作られる
  • 疑問代名詞(who / what / which / whose)は主語・目的語・補語を尋ねる
  • 疑問副詞(when / where / why / how)は時・場所・理由・方法を尋ねる
  • 主語を尋ねる疑問文では倒置が起こらない(入れ替える主語がないため)
  • 「大きな疑問詞」(How old / How many / What kind of など)は疑問詞 + 他の語をまとめて文頭に置く
  • 疑問詞を使った疑問文の基本イントネーションは文末下降調

確認テスト

Q1. 疑問代名詞と疑問副詞の違いを簡潔に説明してください。

▶ クリックして解答を表示疑問代名詞(who / what / which / whose)は文中の名詞の位置(主語・目的語・補語)を尋ねる。疑問副詞(when / where / why / how)は副詞的な情報(時・場所・理由・方法)を尋ねる。

Q2. 主語を尋ねる疑問文で倒置が起こらないのはなぜですか。

▶ クリックして解答を表示倒置は「主語と助動詞を入れ替える」操作だが、主語を尋ねる文では主語の位置が空所になっているため、入れ替える対象がなく、倒置が起こらない。

Q3. How long と How soon の違いを、それぞれの答え方の例とともに説明してください。

▶ クリックして解答を表示How long は「どのくらいの時間(長さ)」を尋ねる。答え方:An hour.(1時間)。How soon は「あとどのくらいで(残り時間)」を尋ねる。答え方:In an hour.(1時間後に)。

Q4. 次の2文の意味の違いを説明してください。
(a) Who did you call? / (b) Who called you?

▶ クリックして解答を表示(a) は目的語を尋ねている:「あなたは誰に電話しましたか?」(倒置あり)。(b) は主語を尋ねている:「誰があなたに電話しましたか?」(倒置なし)。

9入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

12-1-1 A 基礎 疑問副詞 空所補充

(  ) did you spend your summer vacation?

  • ① Who
  • ② How
  • ③ What
  • ④ Which
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

② How

解説

判断のポイント:文の要素がそろっているかを確認します。

you(S) spend(V) your summer vacation(O) という文構造で、主語・動詞・目的語はすべてそろっています。欠けているのは「どのように」という修飾語句です。

疑問代名詞(Who / What / Which)は名詞の位置を尋ねるものですが、本問では名詞は欠けていません。「方法・様子」を尋ねる疑問副詞 How が正解です。

「夏休みをどのように過ごしましたか?」

B 発展レベル

12-1-2 B 発展 大きな疑問詞 空所補充

(  ) does it take to go from this hotel to the airport?

  • ① How far
  • ② How soon
  • ③ How long
  • ④ How often
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

③ How long

解説

判断のポイント:it takes ... to do の構文に注目します。

How long does it take (A) to do ...? は「(Aが)...するのにどのくらいの時間がかかりますか」という定番表現です。It takes + 時間 + to do ... の「時間」を尋ねています。

① How far は「距離」、② How soon は「残り時間(あとどのくらいで)」、④ How often は「頻度」を尋ねるので不適切です。

「このホテルから空港に行くのにどのくらい時間がかかりますか?」

C 応用レベル

12-1-3 C 応用 主語を尋ねる疑問文 空所補充

(  ) makes you think so?

  • ① How does it
  • ② What does
  • ③ What
  • ④ Why do you
▶ クリックして解答・解説を表示
解答

③ What

解説

判断のポイント:makes が三人称単数形であることに注目します。

空所に入る疑問詞が主語を尋ねている場合、倒置は起こりません。What makes you think so? は「何があなたにそう思わせるのですか?」という意味で、What が主語です。

主語を尋ねる疑問詞は単数扱いなので、動詞に三単現の -s がつき makes となっています。② What does とすると does makes と助動詞が重複してしまうので不可です。

得点の差がつくポイント
  • ② What does を選んでしまう受験生が多い(「疑問文だから do/does が必要」という思い込み)
  • 主語を尋ねる疑問文では倒置が起こらず、do/does も不要であることを理解しているかが鍵